【配信】AYAKASHI本舗をヨロシク！【妖怪】～故郷の妖怪たちのために、新しい箱作ってバズらせる！！～

プロローグ

配信：１ かまいたちのジロウ 【配信】適当にやっても段位は上がるんだよ！【雀弾】

「あーい、視聴者の人類人外ども～、こんばんスラッシュー。ＡＹＡＫＡＳＨＩ本舗所属の妖怪Ｖｔｕｂｅｒ、かまいたちのジロウで～す」

　▼ＣＨＡＴ▼

『みらく：こんばんスラッシュー！！！』

『syui：紺すら！』

『ふーみん：こんスラー！』

『名無しさん＠ゴリラ族：ウホウホ』

『松：ケモナーの時間だぁぁぁぁ！！』

『フギン７７１：おつ』

『naisyo：ゴリラもよう見とる』

『声オタ＠マエストロ：ダウナー系イケボが聞けると聞いて来ました。ありがとうございます』

「今日は前に言ってた通り、麻雀配信でぇ～す。やるのはもちろんこれ、雀弾（じゃんたま）。半荘３回、さくさくっと連対決めて段位上げてくぞ～」

　▼ＣＨＡＴ▼

『syui：誤字った……orz』

『蹄鉄カピパラ：こんばんスラッシュ』

『どっとまん：雀弾！』

『フギン７７１：今日の成績予想３３４』

『福の神モドキ：誤字は誰でもするもの、気にせぬことじゃ』

『松：な阪関』

『ふーみん：ジロウさん頑張れー』

「誰だよ３位３位４位予想してる奴。今日は１位１位１位取っから、見てろよ。あ、対局は遅延入れっから指示されても対応できねぇーんで、そこんとこよろしくな～」

　▼ＣＨＡＴ▼

『AL76：いつもの定期』

『みらく：いつもの』

『naisyo：りょーかーい』

『声オタ＠マエストロ：デフォルメ２Ｄイタチのビジュアルから出るダウナーイケボが私を狂わせる……』

『赤雅ヒカル：かまいたちって麻雀出来るの？　牌持てなくない？』

『フギン７７１：お？　初見か？』

『ふーみん：なんかヤバい人いて草』

『AL76：ヤバいのしかいない定期』

「あ？　おー、そうだそうだ。取ってなかったわ。えーと、こうで、こうか？　ほい、こんなんなりました～。別に俺の手はカマじゃねぇんだなぁ。持ってるだけなんですわ」

　▼ＣＨＡＴ▼

『松：エッッッッッッ！！！』

『声オタ＠マエストロ：エッッッッッッ！！』

『AL76：カマ着・脱・式』

『名無しさん＠ゴリラ族：無邪気に晒されたイタチの肉球がオレを狂わせる……』

『syui：※諸説あります』

『ジュジュ：ふーん、エッチじゃん』

『ふーみん：可愛いということだけは理解しました』

「さっきの誰さん？　だったか覚えてねぇけど、納得出来たならいいんだがね」

　▼ＣＨＡＴ▼

『syui：わたしです』

『フギン７７１：黙れ小僧！』

『ジュジュ：XD』

『みらく：肉球のせいでそれどころではない件』

『名無しさん＠ゴリラ族：ウホウホ』

『赤雅ヒカル：回答ありがとうございます！　でもその可愛い手じゃやっぱり牌握れないのでは？』

「……へっ。そりゃリアルで小さな牌を掴むのは難しいかもしれないが、今の俺が掴むのは、マウスだからな」

　▼ＣＨＡＴ▼

『声オタ＠マエストロ：ぁっ（消滅）』

『松：ガチ恋距離！』

『ジュジュ：ふーん、エッチじゃん』

『ふーみん：イタチの手って意外と物掴めそうだよね』

『どっとまん：雀弾、起動！』

「おーし、そんじゃこっからしばらくお待たせするぜ～。５分後に会おうや」

　▼ＣＨＡＴ▼

『ふーみん：いってら！』

『松：いくぜいくぜいくぜぇぇぇ！！』

『syui：果たしてｐｔは上げられるのか……！』

『《￥１０,０００》声オタ＠マエストロ：ガチ恋距離から叩き込まれるダウナー系イケメンボイスが私を狂わせる……ありがとうございます！　ありがとうございます！！』

『フギン７７１：３３４』

『天天天：かまいたちを見に来たらただのイタチが配信してた件』

「お。プレチャあんがとな、こえおた……あっとまえすとろ？　さんきゅ～」

　▼ＣＨＡＴ▼

『naisyo：あ…』

『松：バカそれはオーバーキルだぞ！』

『ふーみん：おそろしくしぜんなウィンク、俺じゃなきゃ見逃しちゃね』

『みらく：このあざと妖獣がよぉ……』

『松：ありがとうございます！』

『フギン７７１：終わったな』

『《￥１００》名無しさん＠ゴリラ族：うほうほ』

　　　　　　※　　　　　　※　　　　　　※　

「っあ～……マジかぁぁぁぁ。今の待ちで裏ドラが２つものるとかありえん……んぁ～～。え、終局？　南４局だった？　ボエッ！！」

　３半荘目の終盤、逆転の一手を決められた“かまいたちのジロウ”の演者が呻き声をあげる。

「ぁー、ほんと。麻雀って楽しいねぇ！！」

　言葉と裏腹にやや上ずった声が出たのは、その日の成績が奮わなかったからだ。

　ＣＨＡＴ欄には慰めの言葉や彼をからかう言葉など、視聴者それぞれの物言いが並ぶ。

「ポイント終始マイナスかぁ、ま、やってくしかねぇなぁ……ってことで、今日の配信はここまでで～す。お前ら、ちゃんと歯ぁ磨いて寝ろよ？」

　夜の配信らしい締めの言葉を添えて、画面のかまいたちの手にカマを持たせて手を振る。

「んじゃ、チャンネル登録、高評価、俺以外の奴の配信の応援とかもよろしくなぁ～……ふぅ」

　最後に配信を終了させる手順を踏んで、アプリケーションを落とし、ようやくのひと心地。

　配信終了したタイミングでやってきた若者から、お茶の入った湯飲みを受け取り。

「んっんっんっ……ぷはぁー。今日も喋ったわぁ」

　喉を潤し、心地よさそうにため息を吐く、“かまいたちのジロウ”の、その姿は。

「さぁて、俺のカマ、カマ……よしっと」

　――どこからどう見ても、カマを手に持つ二足歩行のイタチであった。

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https://kakuyomu.jp/users/natsumeya/news/16817330661195951791

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