天才の俺がなんか異世界に飛ばされたから仲間と知識で攻略してやるよ
和
見知らぬ世界
緑の草原。奥に見える高い山。雲ひとつない青空。
空気が清々しくてとてもいい。
しかし…
「ここはどこだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺はさっきまで抹茶フラペチーノを作業のお供にして、ス⚪︎バでPCアピール(ちゃんと仕事はしてたから完全アピではない)していたはずだった。
「ふぉっふぉっふぉ…聞こえるか?勇者よ」
誰もいないのに声聞こえる。
「…幻聴とか俺死ぬやん」
ならばこれは幻覚か。俺の体もいよいよらしい。なんで死ぬ運命になったのかはわからないが、来世は…
「幻聴ではない!儂が話しかけているのじゃ!勇者よ。よく聞け」
どっかの知らない爺さんが怒ってるが相変わらず姿が見えない。
「何かを言う前にまず自分の名前を名乗るって小学校で習わなかった?」
「おっと、それは失礼。コホン。儂は神だ。数々の世界線の創造主であるぞ」
あ、自分そういうの信じない主義なんで。
神なんてそこらの宗教の信者が拝む遠いように見えて近い存在なのだからな。
それにこんなジジイの声したのが神とは…うん、信じたくないね。
「そういうのいいから真面目に名乗ってください。」
「なんだと!儂に名前などあるわけないだろう。儂は神なのだからな。実際、お前には儂の姿が見えていないだろう。それが証拠じゃ。」
俺の幻聴という選択肢はないのか。この声の主は本当に神なのか。
「儂がお前をこの世界に飛ばしてやったのじゃ。どうやらあの世界線では勇者、お前は上手くやっていけてないそうではないか。」
「え?」
そんなことはない。俺は確かに至って普通(?)の大学生だが、大学生活は楽しいし、休日に少し贅沢できるくらいのお金はあるし、趣味もあるので十分リアルをエンジョイできている。
「な、なんじゃ。お前の名前は東崎陣ではないのか?」
東崎陣?
「それ、俺のいとこじゃん。」
東崎陣は、大学に通いながらネットでゲーマーの活動をしている二つ年下のいとこなのだが、大学でいい成績をとれず、高校の文化祭でゲームの神と賞賛された技術も、ネットではあまり伸びていないようだった。
「なんだと?!では、お前の名前はなんじゃ?」
「湯沢伊吹」
湯沢伊吹。東京都立大学、人文社会学部四年生。小中一貫校を受験し、高校も名門高校に入学した経験がある。本当は大学も東大に行こうと思っていたのだが、ちょっとした事情で都立大学に入学した。
「湯沢伊吹?!あの世界でも十分幸福に生きられている人間ではないか!それに超高学歴…じゃあ儂は人間違えをしたのか?!なんてことじゃ…」
つまり俺は俺自身関係ないのに異世界に飛ばされたわけか。
「勇者よ。申し訳ないが、一度別の世界へ飛ばした者を元の世界に戻す方法はまだわかっていないんじゃ。お前のような別世界に飛ばしても無意味どころか逆効果になりそうな人間にこのようなことをしてしまったのでは、儂の責任が重くなる。なんとかして元の世界に返す方法を探すから、お前は新たな異世界ライフを頑張ってくれい」
こんなのが本当に神なのか?
俺の学問の努力返せ、そう叫びたかった。
「ちなみに俺が今いる世界ってどんな世界なんだ?」
「おお、言い忘れておったわ。お前がいる世界はお前たちの世界からしたら「ファンタジー」や「異世界」と言われるものじゃ。騎士や剣士がいたり、魔法使いや魔女がいたり、魔法が使えたりするぞい。そういえば勇者よ、お前にはこの世界での特別能力がないみたいだな。」
ファンタジーの世界で能力がないなんて、自殺行為みたいなものではないか。俺は確かに体育はできる方だったけれども、最近は昔みたいに活発に外に出ていないから使える体術もない。
「それは困る…何か、何か能力をくれ。欲は言わないから最強な能力をくれ」
「それは無理じゃ。」
このジジイぶっ⚪︎してやろうか?お前のせいなんだぞ?
「でもそうじゃな、能力の一つくらいはくれてやろう。これで、私の役目は一旦終わりじゃ。あとは、自分で頑張ってくれい。」
マジか!一体どんな能力をくれるのだろう。火を操る能力?竜巻を起こす能力?空を飛べる能力?はたまた、時間を止める能力?非物理的な力をもらえることにワクワクが止まらない。
ぴっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
「あのクソ神ぃぃぃぃぃぃぃ!魔法も何も使えねえじゃねえかぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
神は俺に魔法が使える能力をくれなかった。足が速くなったわけでも、パンチの威力や握力も変わらない。空も飛べないし、時間も止めることはできない。
じゃあ俺の能力とは一体なんなのか?
能力がわからないまま、とりあえず俺は歩くことにした。
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