第18話 スキルの検証
目が覚めたと思ったが、視界は闇に覆われているかのように暗い。意識が戻ってはいるが、身体が動かないのだ。
……とりあえず、スキルのことを考えるか。
《鑑定》も《アイテムボックス》もあまり役に立たないスキルだった。でも、何かが引っ掛かる。ただ、その「何か」がわからないのでスルーしておこう。
まだ試しに使用していないスキルは《吸血》と《
そんなことを考えていたら、不意にアドミンとのやり取りを思い出す。
あれはホーンラビットを狩った場所から拠点へと移動をしている時だった。
◇
「なあ、アドミン。質問の時に訊き忘れていたことを思い出したから、答えてくれないか?」
ステータスを更新したことと、スキルのことは実践するときに訊く、ということに気を取られていたので忘れていた。
『はい、いいですよ。それくらいはお安いご用です』
では遠慮なく訊こう。スキルのlvを上げる方法は以前に教えてもらったが、これは訊いていなかったからな。
「スキルのlvが上がったときの効果を具体的に知りたい」
スキルのlvが上がると、その能力も上がっていくと思っている。ただ《テンポラリーステータスブースト》を例にすると、持続時間が上昇するのか、増加量が上昇するのか、それとも両方が上昇するのか。ということが知りたい。
『スキルのlvが上がると、その能力も上がります。ただ、スキルによって何が上昇するのかは違います。単純に効果や持続時間が上昇したり、MP消費量が減少したり、など様々です。一概には言えませんが、スキルのlvが1上昇するだけで大幅な強化が見込めます。ちなみに場合によっては数倍になることもあります」
そういうことなら、幅広くスキルを取得するか、少ないスキルを強化するのかなどの方針も考えた方がよさそうだ。
◇
完全に失念していた。初めはあまり役に立たないようなスキルでも、lvを上げれば役に立つ可能性が十分にあるということを。
こんなに大切なことを忘れていた自分の
……いいや、呆れてる場合ではない。今回の反省を次に活かそう。
視界に広がる闇に
段々と重たい瞼が開いていく――
*
目覚めた後に僕はスキルに関する検証を始めた。調べる内容はスキルを使用したときのMP消費量である。
「導きの神 ヒューフォロス
己の力量を見極め、昇華する
“導きたまえ―― ステータスⅠ・オープン”」
神導書を出した理由はご存知の通り、消費したMPの量を調べるためだ。
いつも通り青白く光る粒子と共に出てきた神導書。それのステータスページを開く。
―――――――――
〈ステータスⅠ〉
基本情報:レイ 男 12歳
人種:魔族、■族
種族:
LV:1(1/10)
MP :10/10
筋力:12
耐久:10
魔力:12
魔耐:10
敏捷:9
持久:9
器用:5
幸運:0
ステータスポイント:0
スキルポイント:5
ユニークスキル:
スキル:吸血lv1、
魔法:
称号:転生者、吸血鬼の■■■■、復讐の道を歩む者(new)
―――――――――
……新しいユニークスキルや称号が増えていたり、一部のユニークスキルのlvが上がっていることはひとまず置いておく。
現在注目するべきところはMPだからだ。
アドミンによると、MPが枯渇するとMP最大値が上昇するらしいのでそれも検証したい。
『MPの枯渇……通称「魔力枯渇」ですが、あまりお勧めはしません。魔力枯渇が起きると、
唐突にアドミンがアドバイスをしてきた。
……僕が気を失った原因はそれではないか?
まさかの事実。スキルを使用する前に言ってほしかった。そうすれば少なくとも意識は失うことがなかった。
やはりアドミンは有能だけど、どこか抜けている。
……それはさておき、《鑑定》のMP消費量を調べていこう。近くの石に右手をかざして唱える。
「《鑑定》」
出てきた画面には『石』の文字が書いてある。いいや、それはどうでもいいか。今は神導書を確認しなければ。
MP:9/10
MPが1減っている。《鑑定》のMP消費量は1のようだ。
次に、《アイテムボックス》のMP消費量を調べていく。右手の
「《アイテムボックス》」
青白く光った箱が掌に出現した。僕はその箱に入っている石を取り出していく。……いけない、関係ないことをしてしまった。
MP:7/10
MPが2減っている。《アイテムボックス》のMP消費量は2のようだ。
さて、次は《
『《
……アドミンの助言がなかったら立ち止まったまま《
よし、気を取り直して発動しよう。僕は障害物がない方向に走りながらこう唱えた。
「《
その瞬間、風が発生したと思ったら僕の目と鼻の先に地面が現れた。いいや、違う。地面が現れたのではなく、僕が転んだのである。
「何が起きたんだ……?」
起き上がろうとすると全身が
一旦起き上がることを諦め、神導書を確認する。
MP:2/10
MPが5も減っている。《
「これでは気軽に使えないな。身体に相当な負荷が掛かるし」
全身が痛むのを我慢して起き上がる。後ろを振り返ると、《
効果は強力なものだが、燃費が悪い上、身体に負荷がかかるというデメリットが存在するということが判明した。
次は《吸血》の検証をする。そう考えた時に、未だに満たされない喉の渇きが顔を覗かせた。
――そろそろこの渇きを満たすか。《吸血》を使ってな。俺は遂にきたその時を思ってほくそ笑んだ。
――――――――――――――――――
更新が遅くなって誠に申し訳ありません。最近は同じことで沢山の謝罪をしているのはきっと気のせいでしょう。
次回は再び「狩り」をします。
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