第13話 初めてのステータスアップ

 前回のステータスを一部変更致しました。また、今回も少し長めです。

――――――――――――――――――


 僕の最初の質問をした。内容はシンプル。「ステータスがあるわけ」だ。


『それはですね。ざっくり言うと、自分の力を確認するためですよ。ただ、ステータスが絶対ということではありませんので過信しないようにしてください』


 まあ、これは大して気になっていたわけではない。ただ、詠唱にあった言葉と一部が一致することがわかった。


「では次の質問だ。ざっくりではなく、詳しく教えてほしい」


『申し訳ありませんが、お答えすることはできません』


 これは答えられないのか。これで、詳しいことは質問しても答えられない可能性があることがわかった。


「では、ステータスを確認するためにあの長い詠唱をする理由は何だ?」


 ここからが本題だ。詠唱のことは何かと引っ掛かるからな。


『「とあるスキル」がないと失敗する可能性があるからです』


 この答えで幾つか気になったことがある。それは、「どうして失敗するのか」と、「スキルのことを訊くことができるのか」などだ。


「詠唱がないと失敗する理由は? また、「とあるスキル」とは何だ?」


『申し訳ありませんが、どちらの質問にもお答えすることはできません』


 そうか……なら、ストレートに訊いてみよう。


「アドミンが答えられる質問の内容の例を全て挙げてほしい」


『申し訳ありませんが、お答えすることはできません』


 これも答えられないのか。どうしてなのか訊いてみよう。


「答えられない理由は?」


『理由の一つは、私のlvが低いからです。更に詳しいことを訊きたい場合はスキルlvをあげてください』


 「理由の一つ」。引っ掛かる答えだな。


「理由を一つではなく、全て答えろ。それが無理なら、他の理由を教えてほしい」


『申し訳ありませんが、どちらの質問にもお答えすることはできません』


 これも無理か。なら、解決するためにスキルlvを上げる方法を訊こう。


「既存のスキルのlvを上げる方法は?」


『熟練度を上げることと、スキルポイントを消費することです』


 なるほど、スキルポイントはそのために使うのか。でも、念のために他の使い道も訊いておこう。


「他のスキルポイントの使い道は?」


『新たなスキルを獲得することです』


「熟練度を上げる方法は?」


『スキルを使用することで上がります。尚、熟練度がMAXになった場合には、n.bでお知らせします』


 スキルのことについて大まかなことはわかった。次は、ステータスポイントだ。名前で何に使うのか予想できるが、これも訊いておく。


「ステータスポイントは何に使う?」


『指定したステータスの値を上げることができます。これはアドバイスですが、スキルやステータスのことは実践じっせんした方がわかりやすいですよ』


 実践か。確かにその方がわかりやすいだろう。


 手にある漆黒の本ステータスのページを見る。


「そういえば、この本を何と言えばいいのだろう?」


『特に決まっていませんが……「神導書しんどうしょ」と呼ぶことにしませんか?』


 何故そんな名称になったのかわからないが異論はないので、この漆黒の本を「神導書」と呼ぶことにした。


 それではステータスを更新(?)しよう。現在のステータスがこちら。


―――――――――


〈ステータスⅠ〉

基本情報:レイ 男 12歳

人種:魔族、■■

種族:吸血鬼ヴァンパイア

位階ランク:Ⅰ

LV:1(1/10)

MP :10/10

筋力:11

耐久:8

魔力:12

魔耐:9

敏捷:6

持久:6

器用:5

幸運:0

ステータスポイント:10

スキルポイント:100

ユニークスキル:管理者アドミニストレータlv1、復讐ふくしゅうちかいlv2

スキル:吸血lv1

魔法:

称号:転生者、吸血鬼の■■■■


―――――――――


 ステータスポイントは10、スキルポイントは100ある。


『能力値を上げたいステータスの項目に触ればステータスアップの選択肢(Yes/No)が出てきますので、Yesに触れてください。それから、上げる値の数量を入力すれば、その分だけステータスがアップします。変更すると、戻すことはできないので気をつけてください』


 僕が「教えてほしい」と言わなくても説明してくれた。早速それを試そうと思ったが、またもや声が頭の中に響いた。


『忘れていましたので、各項目のことについて補足します。

〈筋力〉…力が上昇します。

〈耐久〉…物理耐久力の略です。物理に対しての耐久力が上がります。

〈魔力〉…魔法力の略です。魔法の力が上昇します。

〈魔耐〉…魔法耐久力の略です。魔法に対しての耐久力が上がります。

〈敏捷〉…移動速度や反射神経(反射速度)が上昇します。また、スキルや魔法の

     発動速度も微量に上昇します。

〈持久〉…持久力の略です。持久力(スタミナ)が上昇します。

〈器用〉…何かを製作するときに、品質が良くなったり失敗しにくくなります。

     また、スキルや魔法、弓や投擲などの精度(命中力)も上昇します。

〈幸運〉…運が良くなります。これは他の項目と比べて特殊でステータスポイント

     による上昇ができません。

〈MP〉…スキルや魔法を使うと減少しますが、一定時間で回復します。これも

     特殊で、MPが枯渇すると最大値が上昇します。


 ステータスは元の力に加算されるものです。〈筋力〉を例にすると、鍛えておらず筋肉があまりついていない人と、鍛えて筋肉がついている人がいます。その2人のステータスの〈筋力〉の数値は同じです。このときに筋力が強いのは後者です。

 ちなみに、元の力に減算されることもまれにあります。その現象が起こるのが最も多いのは〈幸運〉です。〈幸運〉の数値が負の数(マイナス)だと、運が悪くなります。0だと変わりません。


 ステータスはLVアップによっても上昇しますが、上昇値は基本的に固定です。しかし、幸運だけは例外で、LVアップによっても上昇しません。ただ、上昇したり減少したりすることはあります。条件は私ではわかりません。

 今からマスターのステータス上昇値を言いますので、参考にしてください。尚、n.bにも情報を送っておきますので、今後見たくなったらn.bを開いてください。

 評価はE〜Sの6段階です。


ステータスの上昇値は、


筋力:11 A

耐久:8 B

魔力:12 A

魔耐:9 B

敏捷:6 C

持久:6 C

器用:5 C

総合:57 B


です。


尚、現在のステータスの評価は


筋力:11 E

耐久:8 E

魔力:12 E

魔耐:9 E

敏捷:6 E

持久:6 E

器用:5 E

総合:57 E


となっております。


ステータス上昇値は「才能」、ステータスの数値は「実力」のようなものと思って頂ければいいです』


 アドミンのステータス説明が終わった。……これを言い忘れる訳ないよな?


『言い訳に聞こえるかもしれないですが、本当に忘れていました。誠に申し訳ありません』


 アドミンを責めるつもりはない。しかし、次からは気をつけてほしいものだ。



 ……気を取り直して、ステータス更新をしよう。うーむ、どういう風にステータスポイントを振り分けるのか悩む。強いところを伸ばしたり、足りない部分を補うこともできるからな。


 あれこれ悩んだ結果、こう振り分けた。


―――――――――


〈ステータスⅠ〉

基本情報:レイ 男 12歳

人種:魔族、■■

種族:吸血鬼ヴァンパイア

位階ランク:Ⅰ

LV:1(1/10)

MP :10/10

筋力:12(1up)

耐久:10(2up)

魔力:12

魔耐:10(1up)

敏捷:9(3up)

持久:9(3up)

器用:5

幸運:0

ステータスポイント:0

スキルポイント:100

ユニークスキル:管理者アドミニストレータlv1、復讐ふくしゅうちかいlv2

スキル:吸血lv1

魔法:

称号:転生者、吸血鬼の■■■■


―――――――――


 僕は数値が低いところを上げることにした。とは言っても、今のところ優先度が低そうな〈器用〉は上げていないけどな。


 残念ながら、ここでは、ステータスが上がってどうなったのかを試すことはできない。やはり、拠点に戻らなければならない。


 しかし、まだスキルについて試していないので拠点に戻るのは遅れそうだ。……いや、スキルのことを質問しながら歩けばいいのか。


 行きのときはゆっくりと歩いたので約40分掛かったが、帰りは普通の速度で歩くから10〜20分程で着くだろう。


 その間にスキルについて訊けば、拠点に戻ってすぐにステータスを更新できる。


 あ、そういえば角兎つのうさぎの死体を解体しきれていなかった。

 仕留めてから随分と時間が経ったので鮮度も落ちていたり、最悪の場合は食べれなくなっているだろう。


「角兎を諦めるしかないか……」


『マスター、あれは角兎ではなくホーンラビットです』


 僕が「ホーンラビット」のことを「角兎」と言うと、アドミンが訂正してきた。

 個人的には角兎でもホーンラビットでもいい気がする。


『いいえ、よくありません。あれは角兎ではなくてホーンラビットです。角兎は種族名なので間違っています』


 アドミンからただならぬ気迫を感じたので、このことには足を突っ込まないことにした。


「それは置いておいて、今は出発の準備を整えよう。“ステータスⅠ・クローズ”」


 武器を持ち運ばなければならないので、神導書を閉じる(消滅させる)。


 角兎……じゃなくて、ホーンラビットは食べることができないのでここに放置する、なんて勿体もったいないことはしない。

 ホーンラビットは罠に使うからだ。これを置いておけば、何もない罠よりも捕獲成功率が上昇するだろう。


 僕は今後のことを考えながら、出発の用意をした。

 



――――――――――――――――――


 説明が長引いてしまい、申し訳ありません。


 次回はスキルについて少し詳しくやっていきます。


追記


 アドミンの説明を一部変更・追加、ステータスの数値に「(○up)」というものを追加致しました。

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