神じゃない
Androidbone
第1話 衝撃の真実
「もうすぐ、あたしたちの旅も終わるんだね......」
「うん......なんか、ありがとね、アイリ。こんなあたしの旅に付き合わさせて......」
「いいのいいの!リカは16年ず~っと友達0人だったあたしに、ようやくできた親友だもん......リカのためだったら、あたしは何だってするよ!」
「そんな......ありがと。......しかし、これまでの旅は本当に苦難の連続だったね......」
「うん。ジャングルに行ったときはあたしが蛇に食われそうになるし、森を抜けたと思ったらあたしが川に流されるし、山を登ったらあたしが崖から落ちるし、シベリアに行ったらあたしだけが迷子になるし......ホント、苦難の連続だった......」
「やたらとアイリばかり不幸に遭ってるよね、ホント(笑)」
「いやー、よく生きてここまで来れたよね、あたし......(笑)」
「ホント、アイリが機械に巻き込まれたときは思わず気絶しちゃったもん......(笑)」
「あれ、丁度人一人分くらい歯車に隙間があったから奇跡的に助かったんだよね。まぁ、今となってはどれもいい思い出だよ~(笑)」
――――
「うふふ......とにかく、ここの神殿の大扉の奥に、私がずっと探し続けたものがある......はず。」
「いやー、あるといいね。じゃなきゃあそこまで怖い目に遭ったあたしが報われない......(笑)」
「それに関しては大丈夫だよ。なんか......感じるんだよね。本能で。」
「あー、そういうのあるよね~。大丈夫、あたしはリカを信じてるから!!!」
「うふふ、ありがとね。やっぱりリカは私の親友だよ!」
「うん、親友、親友!(ハ~ァ、いい響き......やっぱ親友って、素晴らしい......!!!)」
――――
ギィ~
「......え?」
「何......ここ?」
そこは、床から天井まで全てが金でできている、とてもこの世のものとは思えない空間があった......
そこかしこに神聖な雰囲気を漂わせる装飾や調度品が施されており、この空間の中に全ての黄金比が詰まっているのではないか、というほど、美しい空間だった......(黄金だけに(笑))【語り手:アイリ】
「あ、あそこに誰かいる......」
「......何か、あそこだけ雰囲気、違わない?」
「......うん。」
人影が見えたのは、ランプのような形をした謎の舞台だった......しかし、そこかしこが黄金でできている舞台の外側の空間とは何かが違う。具体的にはこの舞台は白をベースにサファイア色の幾何学的なアクセントが際立つという、†
「......行こう、アイリ。」
「.....うん。......どわっ!!!!!(足を踏み外して落下する音)」
【3時間後☆】
「あー怖かった......まじで死ぬかと思った......」
「いやー、相変わらずタフだねー、アイリは......」
「リカだって......こんな場所であたしが這い上がるまで3時間も待ってくれて、ホントにありがと......」
「いやいや、親友のためならこれくらいお茶の子さいさいだよ!」
「親友、ね!そうだよね!」
「さ、......今度こそ、行こう。」
「うん......」
――――
こうしてあたしとリカは、謎の人影が待つ白い舞台に到着した。
舞台は想像以上に広く、中央には、こちらも神々しいテーブルと椅子が置かれている。
そして、待っていた人影もまた、神々しかった......若い女性だ。「これぞ女神!」って感じの服だけれど、細かな装飾にやはりサイバー味が感じられて、カッコいい。
「うわぁ......何、ここ?そして、あなたは......?」
『よくぞここまでたどり着きました、リカさん......』
「うわぁ喋った」
『あんまなめんなよ』
「ご、ごめんなさい......」
どうやら彼女は、見た目の割にはあたしに近い性格のようだ。
『とにかく、私はリカさん、あなたのことをずっとここで待っていましたよ。』
「え、ど、どうして......」
『簡潔に言いましょう。私たちはリカさん、あなたの力を必要としているのです。』
「......?それって......」
『かつて、この世界はひとつの「神」を中心に回っていました......』
【長すぎてアイリの意識が飛んだのでカット】
「......つ、つまり私が?」
『えぇ、そうです。あなたがこの世界の全てを統べる「神」なのです......』
「そんな......まさか。」
『困惑しているでしょう......当然です。今のあなたには「神」だったころの記憶がない......いや、上書きされている、といった方が正しいですね。』
「上書き......?」
『はい。事件が起きて俗世に降りてしまったあなたは、人間として生きるために記憶を圧縮して、外側から「人間としての記憶」で固めたのです......』
『神』の記憶が卵で、人間としての記憶がひき肉......ナルホド、ミートローフメモリ......【語り手:アイリ】
『アンタは変な例えをするんじゃない!』
うわっ、心も読めるのね。
『一応私も神のはしくれだからねぇ。』
「へぇー、凄いねー。凄いといえばリカも凄いよー!だって『神』だよ!『神!』」
「う、うん......何だか実感湧かないけど。」
「いやー、流石だわー。流石あたしの親友なだけあるわー。ところではしくれー。あたしは?」
『ないよ』
「......え?」
『なんもないよ』
「......いや、何か......なくない?」
『なくなくないよ』
「......」
『......』
「......まじ?」
『まじ。アンタは本当に、本当の本当に、ただの人間。』
「......あそこの床から落ちても無傷だったのに?」
『アンタが頑丈なだけだよ』
「......激流に流されても問題なく泳げたのに?」
『魚の才能があるだけだよ』
「歯車に奇跡的に巻き込まれなかったのに?」
『知らんよ!!!幸運なんだろ!!!??』
「......何でキレてるの?」
『うるせえ!!!!!アンタが言うかよそれ!!!!!(グスン)』
「あっ、あっ、はしくれ泣いちゃった」
『「はしくれ」やめろ!!!そもそもアンタは元から呼ぶつもりはなかったし、来て欲しくもなかったんだよ!!!』
「ど、どういう意味?」
『大体話を聞いてわかったろ!!?リカさんはこの世界を統べる「神」!!!その神が居ない今は異常事態!!!その神をここに越させたい!!!そんな重大な舞台に人はいらない!!!』
「Yeah」
『ラップじゃねぇよ!!!』
「すまないはしくれ」
『許さん!!!とにかく、アンタにこの神聖かつ重要な場面に水を差されるのはこの世界の存続にも関わるんだよ!!!だから私は何度も......』
「何度も?」
『何度も!!!アンタを排除しようとしたのに!!!!!』
「......え?」
「排除、って......?はしくれさん、アイリを排除しようとしたの......?」
『そうです、リカさん......ジャングルで蛇を使わせたのも、森でアイツを川に流したのも、山でアイツを落としたのも、シベリアでアイツをホワイトアウトさせたのも、全部、私です......』
「そ、そんなことできるの?」
『できるよ!!!一応神の......』
「はしくれ。(ニヤニヤ)」
『......(殺意)』
「そんな......惨い、どうしてそんなに苦しませようとしたの?」
『こちらだって苦しませるつもりはなかったですよ!(隠しきれない怒り)毎回一発でけりをつけるつもりだったのに!!!アイツ!!!!!全く死なない!!!!!何やっても死なない!!!!!頑丈すぎるんだよ!!!!!』
「なんか......ゴメンなさい。」
『許さん!!!』
「......でも、世界のためとはいえ、私の親友を殺そうとするなんてやっぱり惨いですよ。私はそんな殺生を好む神様たちの上には......立ちたくないです。」
(キラキラキラキラ)
「(うおー!輝いてるー!!!リカ、カッコいいよ!!!)」
『あのー......申し訳ないのですがリカさん。私たち、全く殺生は好まないです。』
「えっ?でも......」
『リカさん。あなたにアイツ以外友達はいましたか?』
「......いない、です。」
『それは私が操作したのです。今回の様なことをさせるには、リカさんには友達が居ないとが望ましい。無関係な人間を巻き込んでしまうからです。』
「はい......」
『だから私はあえて、リカさんを友達が出来にくい体質にしました。』
「......え?」
「え待ってそれってどゆこと」
『文字どおりです。リカさんは天性のぼっち体質なのです。しかし不運なことに偶然、リカさんの近くにはもう一人、天性のぼっち体質の人間がいた......』
「アタシ テンセイノ ボッチ?(慟哭)」
『残念ながら。......でもこれでわかったでしょう、リカさん。私たちは殺生を好まない。それはリカさんがアイツと友達であるという事実が証明しているのです!』
「......そんな。」
「ボッチ......ナチュラルボーンボッチ......(収まらない慟哭)」
『もう嫌がる理由はない、ですね?リカさん。』
「......」
『友達と別れたくない気持ちはわかりますが、これはこの世界のためなのです。リカさん......本来の姿に戻ってください。』
「......でも......」
「リカ......モウ、イイヨ。」
「......え?」
神じゃない Androidbone @FRICAKE_UNIT
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