レンタルおっぱい
かささぎの渡せる橋
レンタルおっぱい
休日の朝、一人の若い女性が自転車で住宅地の中を走っていた。名を結城愛奈という。
愛奈は近所では評判のボランティア精神溢れる好人物である。特に子供の世話を焼くことには人一倍熱心で、児童館の手伝いで勉強を教えたり、学校に居場所がなく不登校の子供の相手をしてあげたり、長期休暇中のキャンプやスキー旅行に同行したりしている。
愛奈は今日も子供の相手をするために自転車でどこかへ向かっている。しかし、今回はボランティアとは少し趣が異なる。愛奈は少々突飛な発想と商売っ気の持ち主であり、自分で思いついた商売によってけっこうな利益を上げている。今日はその商売のために、休日の朝から街へ繰り出しているのである。
依頼人の家は、愛奈の自宅から自転車で5分ほど走った場所にあった。最近になって新規造成された区画の一軒家である。いかにも真新しい家は、新生活の始まりを祝うかのように外壁を陽光で輝かせている。愛奈は家のインターホンを鳴らした。
「はい……あ、愛奈ちゃん。入って入って」
と、女性の声が応対する。ここは愛奈が住んでいるマンションの元住民一家の家で、最近になってここに引っ越したのだった。つまるところ、ここの住人で、今回の依頼人である竹田一家と愛奈とは以前から見知った仲であった。愛奈は女性に招き入れられた通り、竹田邸に入る。
竹田一家は愛奈より一回り年上の夫婦と、その夫婦の間にできた長男の三人家族である。愛奈に対して依頼を出したのは、竹田夫妻の妻である明美だった。愛奈と明美は居間にあるテーブルに着き、応対を始めた。
「えーっと、何回か話を聞いたんですけど、光生くんのことですね?」
と、愛奈が口火を切る。それに対し、明美は
「え、ええ、そうね……」
と、口ごもった後、
「あの、折角来てもらったのに悪いんだけど、やっぱり、こんなことを頼むなんてちょっと『うっ』てなるっていうか……いや、愛奈ちゃんを否定するわけじゃないんだけど、こんなサービス、受けたなんて知れたら……」
と、迷いを見せる。その様子に、愛奈は、
「そこは約束します。明美さんの悪いようにはしません。明美さんや光生くんがサービスを受けたことは、分からないようにします。明美さんが嫌だったり、光生くんが嫌がったりするようなら、すぐに帰りますし、依頼料もいただきません。でも、この後何か他に力になれることがあったらって思うから、詳しいお話だけでも聞きたいです」
と、明美を安心させるべく、説明を付け加えた。それを聞いた明美は、
「じゃあ、話だけでも……」
と、愛奈に打ち明け始めた。
愛奈が明美から聞いた話はこうだった。長男の光生は3歳で、もうすぐ幼稚園生になる。しかし、明美には心配なことがあった。それは、光生がおっぱいをとても恋しがることだった。明美は幼稚園に上がる準備のため、育児書や育児情報サイトに当たって光生を離乳させようとした。だが、どれもあまり効果はなく、それどころか離乳を試みれば試みるほどますます光生はおっぱいに執着するようだった。それが明美と光生の母子との間だけで済めばよかったのだが、光生を公共の場に連れて行こうとすると、他の母親仲間のおっぱいや、挙句には無関係な女性のおっぱいまで触ろうとするため、周囲にも多大な迷惑が掛かりかねないそうだ。悩んだ挙句、明美は意を決して愛奈に連絡を取ったのだった。
「もういっそのこと、好きなだけおっぱいに触ったら飽きるのかなって……本当に変な話だけど」
「いいえ、『レンタルおっぱい』の大事な役目です」
「レンタルおっぱい」―それが、愛奈が行っているサービスの名前である。未成年者、または未成年の子供を持つ親の依頼で、愛奈のおっぱいをレンタルするのだ。レンタル費用は1回5000円。愛奈のおっぱいをレンタルした人は、愛奈のおっぱいに何をしても、おっぱいをどのように使っても構わない。
「マンションにいた頃の光生くん、おっぱいいっぱい飲むから大変だって、明美さん、言ってましたよね。食欲旺盛なだけじゃなくて、おっぱい自体が大好きなんだと思います。別に変じゃないですよ。子供ってみんなそうですから。ホントは光生くんのペースでゆっくり離乳するのがいいんですけど、幼稚園は待ってくれないですからね。なら、お家の中でぐらい自由に触れるおっぱいを用意してあげるのもいいんじゃないかなって思います」
と、愛奈は明美に意見してみる。すると明美は少しだけ顔が明るくなった。
「分かった。今、光生は遥人とお散歩中だから、帰ったら、おっぱい、貸してくれる?」
「勿論。じゃあ、『レンタルおっぱい』の依頼、お受けしました」
しばらく待っていると、光生が父親の遥人に連れられて帰宅した。光生は愛奈の姿を見ると、
「あー、5階のお姉ちゃん!」
と愛奈を呼ぶ。愛奈の自宅はマンションの5階に位置しているので、光生は愛奈をそう呼んでいたのだ。
「おはよう!」
と、愛奈が挨拶する。光生と遥人が挨拶を返すと、愛奈は遥人に事情を説明し、光生の部屋に、光生と愛奈の二人きりにしてもらう。
光生の部屋は、この頃の子供にはありがちなことだが片付けが行き届いておらず、幼児向けのおもちゃの類が散乱している賑やかな部屋だった。愛奈は早速本題に入ることにした。
「ねえ、光生くん、おっぱいは好き?」
大人が聞けばとてつもなく羞恥に襲われる質問だが、子供には関係ない。光生は、
「うん!やーわらかくて、ぷにぷにで、ぼく、おっぱいだーいすき!」
と、元気よく答える。愛奈は
「そっかそっか!じゃあ……今日は、光生くんにプレゼントがあるんだ~」
と、着ていた服を少しずつ脱ぐ。光生は、期待に満ちた表情で愛奈のことを見つめている。そして、愛奈はブラジャー姿になると、そのブラジャーのホックを外し、ゆっくりとおっぱいを露出させていく。愛奈のおっぱいはバストサイズ112cmのKカップ。釣鐘型に下膨れしたおっぱいの先端は、茶色く色づいた乳首が蕾のように実り、乳輪で彩られている。
「じゃじゃ~ん!お姉さんのおっぱいだよ~!今日はこのおっぱいで、光生くんが好きなだけ遊んでいいからね!」
愛奈が笑顔でおっぱいを光生に差し出すと、光生はためらわず、
「やったぁ、おっぱい~!」
と、愛奈のおっぱいに飛び込んでくる。愛奈のおっぱいは顔から飛び込む光生を、柔らかくもちもちとした感触でクッションのように受け止めた。光生はおっぱいに頬擦りをして楽しむ。
「どう?柔らかい?」
「うう~ん、やわらかい、あったかい……」
と、おっぱいに包まれていた光生だったが、しばらくするとおっぱいから顔を離し、手でおっぱいに触れてくる。愛奈のおっぱいの大きさは子供の手に余るほどであり、光生が両手でおっぱいを懸命に掴んでも、まだ手がおっぱい全体に回らない。光生はしばらくおっぱいの感触を楽しんでいたが、突然、
「ねえねえ~、怪獣ごっこしよ~!お姉さんのおっぱいが怪獣だよ!」
と愛奈に遊びを持ちかけた。愛奈は
「よ~しいいよ!がおがお~!怪獣・オバケおっぱいが現れた~!」
と、自分のおっぱいを捧げ持ち、たぷたぷと揺らして見せた。光生は、
「むぅ~っ、巨大怪獣め!おりゃ、おりゃ、どうだ!」
と、愛奈の巨大なおっぱい―怪獣・オバケおっぱいと戦うべく、勇敢にも怪獣・オバケおっぱいの懐に飛び込み、力を込めて揉んだり、叩いたりしてみた。だが愛奈のおっぱいは光生の攻撃をまったく通さず、愛奈は
「がお~!どうだどうだ、そのぐらいじゃ怪獣・オバケおっぱいはびくともしないぞ~?」
と、光生をからかってみる。光生はますますむきになり、愛奈のおっぱいをしつこく揉みしだき、攻撃を加えてみる。すると、怪獣・オバケおっぱいは先端にある茶色い珠から唐突に白い液体を吐き出し、その液体が光生の頬を濡らした。
「うわわっ!」
と、光生が怯んだ。
「ほらほら~、怪獣・オバケおっぱいの必殺技、おっぱいビームだ、グオオオオ~!」
愛奈が乳輪の周りを摘まむと、愛奈のおっぱいが、母乳を噴き出す―怪獣・オバケおっぱいは、必殺技おっぱいビームを発射し、光生の身体をびしゃびしゃと濡らしていく。
「わあ~っ!最強のおっぱいビームだ~!」
と、光生が逃げると、
「がおおおお~!怪獣・オバケおっぱいからは逃げられないぞ~!おっぱいビーム!」
と、怪獣・オバケおっぱいは、おっぱいビームを乱射しながら光生に迫る。やがて、光生はとうとう部屋の隅にまで追いつめられた。
「グルルルル~、怪獣・オバケおっぱいが光生くんを食べちゃうぞ~?」
と、怪獣・オバケおっぱいがおっぱいビームの残滓を滴らせながら光生の顔前に迫った。
「子供は大好物~、えいっ!」
怪獣・オバケおっぱいに、光生の顔がムギュッ、と挟まれる。
「うわああああ~、助けて~!」
光生は怪獣・オバケおっぱいから逃れるため、顔をブンブンと振り、身をよじらせる。だが、怪獣・オバケおっぱいの身体はとても暖かく挟まれていると心地いいのも事実であり、光生は本気で抵抗できないでいた。しかし、
「あれあれ~?そんなんじゃ怪獣・オバケおっぱいは光生くんを離さないぞ~?」
と、怪獣・オバケおっぱいはさらに力をこめ、光生の顔をふにふにと挟み込んできた。光生は怪獣・オバケおっぱいの言葉に抵抗を増し、なんとか怪獣・オバケおっぱいの身体から抜け出す。すると光生は、
「むぅ~っ、怪獣・オバケおっぱいめ、こうなったら!」
と、口を開けて右おっぱいに吸い付いた。光生に吸われるたび、愛奈のおっぱいは光生の口の動きに反応して母乳を噴き出す。光生は母乳を吸う息継ぎの間に、
「どうだ、吸い取り攻撃っ!」
と、愛奈のおっぱい―怪獣・オバケおっぱいに向かって叫ぶ。愛奈はその言葉に乗るように、
「う、うわあ~!怪獣・オバケおっぱいの弱点が見つかった~!子供におっぱいビームのエネルギーを吸われたら、ただのおっぱいに戻っちゃうんだ~!」
と返す。光生の吸引に応え、愛奈のおっぱいは母乳を作り出した。光生は、
「よーし、怪獣・オバケおっぱいをやっつけるぞ!」
と、怪獣・オバケおっぱいの乳首からおっぱいビームのエネルギーを吸い出していく。愛奈は
「ああ~っ、エネルギー吸われる、ただのおっぱいに戻っちゃう~!」
と身悶えてみせた。しばらくすると、右の怪獣・オバケおっぱいから、母乳が出ないようになった。
「うわあっ、右おっぱいが、ただのおっぱいに戻っちゃった~!左おっぱいは、左おっぱいは許してくれ~!」
「許すもんか、怪獣・オバケおっぱいめ!吸い取り攻撃っ!」
怪獣・オバケおっぱいの命乞いにも構わず、光生はもう片方のおっぱいに大口を開けてかぶりついた。怪獣・オバケおっぱいは悲鳴を上げるが、光生は容赦せず、左おっぱいからも母乳―おっぱいビームのエネルギーを吸い取っていく。
「うわ~っ、やめろ~!ただのおっぱいに戻っちゃう~!」
と、怪獣・オバケおっぱいが絶叫する。やがて、愛奈のおっぱいは、光生に母乳をすっかり吸い尽くされ、乳首からの噴出が止まる。それを感じた愛奈は、
「うう~ん、や、やられたぁ……」
と降参してみせ、光生は
「やったー!怪獣・オバケおっぱいをやっつけた~!」
と大喜びした。
その後、しばらく光生は愛奈のおっぱいに顔をうずめてその感触を楽しんでいた。愛奈は光生に
「お姉さんのおっぱい、気に入った?」
と訊いてみた。光生はおっぱいに埋もれながら、
「うん」
と返事をする。
「じゃあさ、お姉さんと約束しよ?お姉さんのおっぱいは、いつでも触ったり、揉んだり、吸ったりしていいし、ミルクも飲んでいいよ。その代わり、お母さんとか、他の女の人のおっぱいは、あんまり見ないで欲しいな……じゃないとお姉さん、寂しくなっちゃうぞ~?」
愛奈はやんわりと、公共の場でむやみやたらに女性のおっぱいに興味を示さないよう、光生を諭してみた。すると光生は、
「うん、分かった!お姉さんのおっぱいだけ!ウワキはだめだね!」
と、明るく返事をした。3歳の幼子が発する「浮気」という言葉に、愛奈は少しばかり面白みを感じた。
もう少しばかり光生をおっぱいに甘えさせていると、気づけば帰らなければならない時間だった。愛奈は明美に光生との約束を話し、向こう数ヶ月は「アフターサービス」で、光生に対し追加料金なしで自由におっぱいをレンタルすることを伝えた。明美は「レンタルおっぱい」のサービスを大層気に入ったようだった。
愛奈の「レンタルおっぱい」は、こうして何人もの子供を癒し、街のちょっとした名物になっている。
レンタルおっぱい かささぎの渡せる橋 @KOOkakuyoumu
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