第2話 町へ買い物に行く。

#2024/06/26 誤字脱字の訂正、文章の編集を行いました。一部、セリフの追加をしています。


あまり寝られずに朝になってしまい、少しづつ外が明るくなってきた。


隣を見ると美少女が俺のブカブカの服を着て寝ていて腕を組まれている……しかも顔が近いし髪の毛から良い匂いがしてくる。


エリーが恥ずかしそうに目を覚ました。


エリー「昨夜は、ありがとうございます」


昨日も思ったけどドロワーズって下着なんだよな……見られるのも恥ずかしいよな?


ユウ「向こう向いてるから着替えろよ」


エリーがボロボロのドレスに着替えた。


ユウ「俺は朝を食べ終わったら、町に行ってきてお前の服を買ってくる」


エリー「悪いんで買わなくても良いですよ」


ユウ「このままじゃ、お互いに気を遣うだろ」


エリー「は、はい……では、お願いします」


ユウ「この家は親父が結界を張ってくれてあるから猛獣でも入って来れなくなっているから安心しろ」


エリー「はい。大人しく待っています。気を付けてくださいね」


朝食を食べ終え、1人で町へ向かった。


途中で昨日の猛獣に襲われた女の子乗っていた馬車が視界に入ってきた。


これ隠しておいた方が良いよな……逃げてるって言ってたしな。


兵士を埋葬して馬車は魔法で燃やした後に燃やした跡を解らないように隠した。


あ、昼食用意してあげるの忘れたな……色々と考えながら走った。


町に着き女の子用の服と下着を数着を買った。


「知り合いから頼まれてな……」


と、女性物の服や下着を買った事が無くて、つい恥ずかしくて言い訳をしてしまった。


お昼には家に帰れたのでセーフだろ。


ユウ「今、帰った」


エリー「お帰りなさい」


ユウ「お前その髪どうしたんだ?」


金髪のサラサラのロングヘアーで前髪を後ろでリボンで結んであったはずだが……バッサリ切られてセミロングになっていた。


エリー「長いと邪魔ですし。洗うの大変なので……」


ユウ「別人かと思ったぞ」


エリー「では、見つかり難くなって好都合ですね」


ユウ「これに着替えろ」


エリー「ありがとうございます」


ユウ「庶民の服で悪いな。ドレスは目立つし売ってないからな。それに動きづらいだろ」


エリーが庶民の服に着替えた。


エリー「着替えましたよ。どうですか?」


絶対に分からなくなった気がする。


ユウ「可愛い。良く似合ってるよ。あ、庶民の服じゃなくてもドレスでも何を着ても似合ってる」


エリー「ありがとうございます」


エリーは、ここ数年間いつも作り笑いだたがユウの慌てように久しぶりに心から自然に笑えた。


そして何故か涙が落ちる。


ここには命を狙ってくる者もいないし。王女として振る舞わなくても良いという解放感と安心して過ごせるという実感したせいであろう。


まだ出会って1日程度だが頼れる存在になっている。


ユウ「どうしたんだ?大丈夫か?」


エリー「何でもないです」


ユウ「何でも無くて泣くやつがいるか!俺が何かしたか?服が嫌だったか?」


エリー「ここに来れて良かったと思って嬉し泣きです」


ユウ「ホントか?ホントだったら良いが……」


エリー「あと私がユウさんの手伝いが出来なくて悔しくて泣けてきます……」


ユウ「俺の手伝いなんかしなくて良いぞ。気にするな」


エリー「私もユウさんに頼りにされたいのです!」


こんな口調王城で言ったら大騒ぎだ。とエリーは思い、こんなに感情的になるのは……多分初めてだと思う。いつもは感情を抑え、落ち着き笑顔でいなくてはと教えられていた。


ユウ「それじゃ皿洗いでもしてもらうか。出来るか?」


エリー「頑張ってみます」


王女が皿洗い……王城でお皿を洗ったらと想像していると周りが驚き慌てる姿が思い浮かんで、なんだか笑えてくるエリー。


皆が見たら卒倒するだろう・・・ニヤけてしまう。


結果、昼食で使った皿が全部割れて無くなった。


エリー「ごめんなさい……」


ユウ「ケガが無くてよかったよ」


ユウも打ち解けてきたのか口調が変わってきたが本人に自覚は無いがエリーは気づいた。


エリーは腹の探り合いの戦いの中に生まれてから今までその最前線で戦っていたため無意識で相手の顔の表情、仕草、口調など探ってしまう。


髪が短くなったと、いってもセミロングなので、まだ邪魔そうだ。


エリー「何を作ってるんですか?」


ユウ「まだ秘密だ」


エリー「秘密ですか……」


ユウ「そうだ、秘密だ。」


エリー「私にも秘密ですか?そうですか……」


慌て出すユウを見て、ニヤニヤしだすエリー。


ユウ「そ、そうだ……秘密だ。だから他の事をしていてくれ」


エリー「そうですか……分かりました」


エリーは残念そうに部屋の掃除をしていると……作り終えたのか、ユウが不安そうな表情で近寄ってきた。


木を削ってカチューシャを作ってプレゼントした。


エリー「え?私にですか?」


生まれて初めて手作りのプレゼントをもらった。てっきり売り物を作っていると思っていた。


また、涙が出てくる。。。


エリー「何でですか?どうして優しいんですか?」


ユウ「泣くほどじゃないだろ。髪の毛が短くなってもまだ、邪魔そうだったからな」


エリーがカチューシャを付けてみた。


エリー「どうですか?」


涙を流しながら笑顔になった。


ユウ「良いんじゃないか。可愛いぞ……」


言った後に恥ずかしそうにするユウ。


それを見逃さないエリーだった。


エリー「ユウさんは私を可愛いって思ってくれるのですね!」


追い討ちをかけるエリーに、後ろを向いてしまうユウ。


ユウ「え、ああ、可愛いんじゃないか」


そこにエリーが抱き付きお礼を言った。


エリー「ありがとうございます」


何だこの状況!前世でも体験した事ないし対応不能だ。どうする!?


慌てるユウだが、それを気にしないエリー。


ユウ「そう、くっつくな」


エリー「可愛い子に、くっつかれて嫌ですか?」


エリーには勝てそうにない。。。と、ユウは思った。


ユウ「嫌ではないが。恥ずかしいぞ」


エリー「プレゼントのお礼です」


ユウ「ありがとな。十分だ」


エリー「もう少しこのままで、いさせてください」


ユウ「もう、好きにしてくれ」


エリー「はい。好きにさせて頂きます……」


何だこの状況!!エリー雰囲気かわってるぞ!髪形が変わったからか?いや、雰囲気っていうより性格が変わってるぞ。


10分くらい経ち……


エリー「うん。落ち着いた!ありがとうございます」


ユウ「俺は夕飯の準備をするけど」


エリー「私は……大人しく待ってます。すみません。」


ユウ「明日は狩りに行かないと」


エリー「そうなんですか。一緒に居られないんですね」


ユウ「そうだな。危ないからな」


エリー「一緒に行きたいんですけど。寂しいんで……」


ユウ「そういってもな……まぁ……近場なら良いか……」


エリー「やったぁー!!ユウさんと一緒に居られる!」


ユウ「じゃあ、この短剣を念のため持っといてくれ」


エリー「はいっ!」


ユウ「いつも同じメニューで悪いな」


エリー「美味しいんで大丈夫です」


食事が終わり暗くなってきた。


ユウ「そろそろ寝るか」


布団が用意されたが……布団がくっついてるんですけど?


まぁ昨日みたいに1枚で寝るより良いですけど。


エリー「昨日の服に着替えたいんですけど良いですか?」


ユウ「俺の服?」


エリー「はい!」


ユウ「ブカブカで大きくないか?」


エリー「ユウさんの匂いがして安心できます!」


ユウ「え?もう、好きにして」


エリー「はい!向こう向いててください」


ユウ「もう寝るから」


反対を向いて布団に入った。


するとエリーが同じ布団に入ってきた。


えっ!?布団2枚用意してたよね?


ユウ「布団2枚用意してたよね?」


エリー「はい」


ユウ「なんで、こっちに入ってくるの?」


エリー「一緒に寝たいので……」


ユウ「なんで2枚用意したの?」


エリー「ユウさんに安心してもらう為ですかね?」


ユウ「それ逆じゃないか?そういう事をするのは男がする事じゃないのか?」


エリー「いいんです」


ユウ「そうですか」


エリー「あっちで寝ても、どっちにしても寂しくてこっちの布団に入るので、どちらにしても一緒です」


ユウ「もう、好きにしてくれ」


エリー「はい!好きにさせて頂きますね♪」


腕を組んでくる。


はぁ……また寝れない気がする。


 

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