転生して森で暮らしていたら買い物帰りに王女様を拾いました
みみっく
第1話 買い物帰りに王女様を拾いました。
#2024/06/26 誤字脱字の訂正、文章の編集を行いました。
前世の記憶を持ったまま転生をした少年が居た。
何故か転生をした場所が、大型の猛獣が出ると恐れられ稀に群れを作り襲ってくるという森の山道に、しかも子供の姿で転生し放置されて途方に暮れ彷徨っていた。
当時、王国の暗殺部隊を任されていた隊長が無理難題、とても嫌な仕事を命令された。
その内容は、国王の命令では無かったが一部の王国の上層部の派閥争いに巻き込まれた形で、王国からの正式な命令では無かったが上層部の命令なので簡単には断れないだが今回は……王の長女5歳の少女の暗殺である。
弟を王としたい派閥からの任務で、この派閥のメンバーには上層部が多く属しているので厄介で機嫌を損ねては不味い。
隊長は、色々と思い出してしまう。王女様は容姿は可愛く性格も大人しく優しく王城で、お会いした時も優しく声を掛けて頂いた事が忘れられなく、暗殺の命令にとても苦悩をし日々を過ごしやっと決断した。
それは暗殺の命令を断っても自分が消される事になるのは確実なので、国外へ逃亡し余生を静かに暮らすと言う決断だった。
見つかれば即座に殺される事は間違いないが、逃げきる自信はあった。どちらにしろ断れば消されるなら自由に生きる道を選ぶ。
その逃亡先は、常人では近づく事が難しく避けて通る場所で、猛獣などが多数生息する恐ろしい森を逃亡先を選んだのだ。
男が決断をすると即日に実行に移し、誰にも気付かれずに闇に紛れて旅立ち数日間歩き続け、森に入り森の中に小屋を少しずつ作りあげ獣を狩って食べ川で水と魚を調達したりして暮らし始めた。
そんなある日、狩りの帰り道に衰弱をしていた子供が捨てられているのを見つけたが厄介事には関わりたくなく放置し帰宅した。今更、戻っても猛獣が出る森なので、あの子供が生きているはずは無いと思っていたが……
何故か気になり引き返してみると衰弱はしているが気配を消して山道の岩陰に隠れていた5歳くらいの子供を無事に連れて帰ってきた。
月日は流れ……
子供は男の子で病気や大きなケガもする事なく順調に育っていった。
実の父親の様に育ててくれ武術、剣術、暗殺術、狩りの仕方などを教えてくれた。
だが俺が10歳の時に父親が病気で亡くなった。
最後まで、自分の子供として育ててくれたが転生していたので当時の記憶もあり、血が繋がっていない事は知っていたが、そう言った話は一切した事が無く、こちらからも聞く事はなかった。
血が繋がっていなくても、この世界で育ててくれた俺の父親は父親で、育ての父親ただ一人だ。
10歳の頃には一人で猛獣を狩れるようになっていたので問題なく暮らせていた。
武器の調達は、猛獣に倒されたハンター達の遺品をもらって必要なのは倉庫に保管し、他は町まで売りに行って現金を得て森で調達ができない塩や調理器具を買って残りは貯めていた。
この行為は、この世界では一般的で違法ではないし問題はない。前の世界では嫌な顔をされそうだが、そもそも落ちていた物は発見者の物になるし、前世の様に警察と同じ様な役割の兵士達に届けても受け取った兵士が自分の物にしてしまうし、落とし物を管理をする法律もシステムも存在しない。
亡くなった者は所有者では無くなる為に装備品、所持品は落とし物扱いでは無く、発見者の物となるのが一般的だ。
それと、獣の素材、革、牙、ツノや肉も売れる。
問題なく静かな暮らしをしていたのだが……
家に帰る途中に猛獣に襲われてボロボロになった馬車を見かけ、兵士らしき護衛の者も数人亡くなっていた。
武器や金目の物がないか見ていると馬車の下に隠れるようになっていた少女を発見してしまった。同じ年頃の少女はキレイだったであろうドレスがボロボロになり血に染まり傷を負っていて気を失っていた。
この少年も父と同じく放って置こうと思っていたが、放置しておくと人拐いに拐われ売られるか獣に殺されるかだと思い背負って家まで連れ帰ってきた。
父親から『あまり人と関わらないように!』と言われていたが治癒魔法を使い傷の手当てをして寝かせているが、この娘が起きた後どうしよう……と、後悔していた。
この世界に来てからは、もちろん友達も居たことはないし、女の子を良く見た事もないので興味は……あった。
背負っている時に胸が背中に当たっていたので胸の感触が忘れられないが触る分けにはいかない……見るだけならと思って服が切れて下着や胸が少し見え観察していると目を覚ました女の子。
気まずい……忘れよう。
女の子「ここは、どこでしょうか?わたしは確か……」
少年「ここは、俺の家だ」
女の子「そうですか、わたしは獣達に襲われてケガをして……」
少年「ああ、護衛の兵士達は皆、死んでたぞ。お前もケガして死にそうになってたから家に連れてきて治療した」
女の子「そうでしたか。感謝いたします」
少年「元気になったなら町まで送っていくぞ。どこに送ればいいんだ?」
名残惜しいが仕方ない……それに厄介事はゴメンだ。
女の子「ご両親にも、お礼をしたいのですが」
少年「両親は居ない。亡くなった」
女の子「それは……すみません」
少年「で、どこまで送れば良いんだ?」
女の子「実は、私は王国の王位継承権第1位、長女のエリーと言います」
この王国では正室から生まれた順に男女問わず王位継承権が与えられるらしい。
少年「俺の事はユウって呼んでくれ」
エリー「わかりました。ユウさん」
ユウ「俺は、王国とか王位とか分からない。何だそれ?偉いってのは何となくわかるけどな」
知ってるけど面倒だ……係わらないようにしとこう。
エリー「分からないのでしたら、お気になさらないでください。大した事ではありませんので……」
ユウ「悪いな、教わらなかったからな。で、何があったんだ?森に入ってきて……」
エリー「悪い方に何度も殺され掛けて逃げている途中で獣達に襲われたのです。行くあてもないので・・・しばらくお世話になっても大丈夫でしょうか?」
ユウ「問題はないけど、良い物は食えないぞ?」
エリー「大丈夫です」
ユウ「部屋も狭いし同じ部屋で寝る事になるぞ?」
エリー「大丈夫です」
ユウ「なら……好きにしてくれ。俺は夕飯を作ってくるな」
エリー「お手伝い出来るか分かりませんけど手伝います」
ユウ「火をおこせるか?」
エリー「すみません。出来ません」
ユウ「獣の解体でき……ないよな」
エリー「すみません」
ユウ「休んでろよ」
エリー「は、はい。お役に立てずに申し訳ありません」
ユウ「別に謝らなくても良いぞ」
エリー「ありがとうございます」
ユウ「今日は、獣の肉を焼いたのとパンとスープだ。これしかないぞ」
エリー「大丈夫です。十分にご馳走です。ありがとうございます」
ユウ「味は大丈夫か?」
エリー「とても美味しいですよ」
ユウ「もっと良い物を出したかったんだけどな」
エリー「気を遣わないでください」
ユウ「そういえば服がボロボロだな。胸も少し見えてるし。明日買ってきてやるよ」
エリー「えっ!?きゃ。見ないでください!」
恥ずかしそうに胸を隠すエリー。
ユウ「あ、悪い。そんなに嫌がると思ってなかった」
エリー「嫌ではありませんが、恥ずかしかったので……」
ユウ「そうか。見ないように努力する」
エリー「あまり気にしないでください」
ユウ「お前はどれくらい、ここに居るんだ?好きなだけ居て良いぞ」
エリー「ご迷惑をおかけする事になると思うので……」
ユウ「俺は気にしないし、迷惑では無いな」
エリー「ありがとうございます。それに私は人に見つかるといけないので表を歩けないのです」
ユウ「大丈夫だ。ここは森の中で人は居ないぞ?」
エリー「そうですか……安心しました」
ユウ「でも、外には猛獣がいるから1人で外出るなよ。死ぬぞ」
エリー「え?……は、はい」
ユウ「飯も食べたし寝るか」
エリー「はい」
一応……離れて寝るか、恥ずかしいって言ってたしな。
ボロボロのドレスは可哀想だよな……
ユウ「嫌かもしれないが俺の服着るか?その服では寝づらいだろ」
エリー「え?良いのですか?」
ユウ「暗くなってきたし、後ろを向いているから着替えろ」
エリー「はい。でも、ズボンがないです」
あ、ズボンがないか……サイズも問題だしな……
ユウ「寝るだけだ暗いし問題ないと思うぞ」
エリー「そうですね」
ユウ「俺は、こっちで寝るからお前はそっちで寝ろ」
エリー「は、はい」
そとで獣が吠え、獣同士で争う音がする。
音が急に無くなり急に静かになり不気味さが増した……そして、また近くで獣が吠える。
エリーは、段々と恐くなった。
エリー「そっちで寝ても……良いでしょうか?」
ユウ「お前が良ければ、どこで寝ても良いぞ」
暗い中だったがダボダボの服を着て片方の肩の出た姿のエリーが見えた。かなりエロい姿だ。。。
自分のダボダボの大きい服を美少女が着ている事にもドキドキした。
それに下はドロワーズという下着で小さなピンクのリボンが見えてそれも可愛い。
エリー「一緒に寝かせてください」
恥ずかしそうに言うと布団から出て枕を持ってユウの布団に入ってきた。
え!?布団ごと来るんじゃないのか……?
「隣に布団を持ってくれば良いんじゃないか?」
狭いし……胸が当たるのが気になって寝れない。
仕方ないので布団から出て隣で寝る事にしたが、エリーに見つかり腕を引っ張られて布団に寝かされた。
エリー「ユウさん布団から出ちゃってますよ……寝相が悪いのですね……うふふ♪」
エリーに腕を組まれながら寝る事になって更に胸が当たってる感触が気になって眠れない……
翌朝……
あまり眠れずに朝になった。
ユウは前世でも女の子との交流は無かったのでエリーとの接し方に困っていた。
どうやって接すれば良いかを考えるが分からず昔を……というか前世の記憶を思い返すと……いい思い出は無かった。
中1の頃に、些細な事で学校を休んだ事が切っ掛けで学校に行けなくなった。
2、3日は学校を休んで家でゲームなどをして楽しんでいたが1週間もすると学校に行かなきゃと思うが行きづらくなってしまった。
当時、両親が共働きでスマホが普及していて学校にアプリで欠席届けが出せるようになっていて子供でも欠席届けが送れた。
両親にバレたのは欠席をしだして2週間後だった。
引きこもり生活をしていて、中学を卒業した頃に勇気を出して出掛けた先で、何かが起きて死んだみたいだ。覚えてはいないし転生をした時点で、それは重要ではない。
それより引きこもり生活でインターネットで得た知識は今、多いに役立っているので引きこもっていた時間は決して無駄になってはいない。逆に学校で習うことより役立っている気がする。
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