余生
勝利だギューちゃん
第1話
「後、どのくらいもつかな」
自室のベットで、窓から見える空を見る。
今宵は満月だ。
病気になってから、僕はずっと家にいる。
死にたいと言えばウソになる。
出来る事なら、もう少しは生きたい。
ただ、神様は許してくれなさそうだ。
『やあ、元気?』
「嫌味?」
見知った女の子に声をかけられる。
確か、死神だったか・・・
僕の担当だそうだ。
「後、僕はどのくらいもつの?」
『訊く気になった?』
「うん」
怖くて訊けなかった。
運命なんて知らない方がいいと思った。
でもさすがに・・・
そろそろ終活したほうがよさそうだ。
『じゃあ、はっきり言うね』
「うん」
『残念だけど、少しだけ伸びだよ』
「どうして?」
『自殺する人が多くてね、あの世の満杯なんだ』
「そうなんだ」
『今、拡張工事をしているから、あの世での君の生活場所が出来るまで、待っててね』
この状態で待つのか・・・
それは逆に苦痛だな・・・
「少しってどのくらい」
『本来は1年だったんだけど、2年延びて3年になったわ。3年後のちょうど今日』
「もう、決定?」
『うん。さすがにね』
後3年か・・・
それなら、出来るかもしれない。
『何をするの・』
「本を出すよ」
『本?』
「残りの3年で、自分の生きた爪痕を残すんだ」
そして3年後。
僕の本は、幸いにもヒット作となり、映画化もされた。
その公開日は、あれからちょうど3年後。
『じゃあ、行こうか』
「うん。待たせたね」
『こっちのセリフだよ、映画の興行収入は気になる?』
「ならない。いい人生だったよ」
余生 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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