第27話 第2の桐谷先生殺害事件


 この3人流星と理生と友樹は、自分達に嫌疑がかかるのを恐れ、猟奇的殺人事件に見せかけて首をちょん切って殺し、生首を持ち帰るという猟奇的殺人事件を演出した。


 そして…この一連の事件に使われた車だが、友樹の父親の会社〈グレイト株式会社〉産業廃棄物処理場では、車は加工処理して再生資源として販売。様々な設備を用いて適正解体を行い、最後はシュレッダープラントにて自動車のボディーを破砕して鉄・非鉄・ダストに分別して再生資源として販売している。だから、例え血痕が付着していたとしても車は破砕されて、原形を留めなく粉々になり全く新しく生まれ変わるという事だ。だから……犯行の実態も跡形もなく消えて、新しく生まれ変わる。

 

 それでは第2の事件桐谷先生殺害事件の全容を紐解いて行こう。

 使われていない校内の倉庫で夜の見回りにやって来た桐谷先生は、あの夜理生と友樹が全裸で抱き合っている姿を目撃した。それを知られては困る2人理生と友樹は、勝が仕出かしてくれたLINE事件で散々な目に遭っていたので、もしゲイだという事が学校側にバレたら大ごとだと思った。


 それから……実は…理生は家から一歩外に出れば家での完璧な息子とは大違いで、18歳以下の高校生なのに、化粧をして「レンタル彼女」という学校に知れてしまえば、退学処分も十分考えられる校則違反を繰り返していた。

 

 また、この桐谷先生は自分は女にだらしがないくせに、自分に甘く生徒に厳しい先生だった。実は…理生が他校の先生と「レンタル彼女」として会った事があるとの情報をいち早く入手していた。その事で理生は桐谷先生に追い詰められていた。


 あのLINE事件の時も散々な目に遭ったが、今度は「レンタル彼女」やパパカツの実態を先生に知られてしまったので、以前よりも更に話は拡大する。


 だから、一番困ったのは理生だった。


 完璧だけしか許されない家庭環境の中で、「レンタル彼女」やパパカツの実態をバラされ、ましてやゲイだったなど以ての外、両親は卒倒してしまうだろう。何としても親にだけは知られたくない。もし退学にでもなったら人生終わったも同然。


 こうして自暴自棄になり、あの最初の事件から日にちも立っていなかった事から、1人殺すも2人殺すもさして変わらない。そして事件は、またしても起こった。


 理生は一歩外に出れば目茶苦茶な行動を取っているが、それは家で良い子を演じている反動で、自分の性自認ゲイである事を少しでも忘れる為に、一気に外では本来のありのままの自分をさらけ出し、想いのまま弾け放題になっている。


 両親に自分の欠点を晒す事も許されず、甘えることも出来なかった理生は、本当は両親に真実の姿を知って欲しかったし、そんなゲイの自分でも見捨てずに深い愛で包み込んで欲しかったが、増長し有頂天になっている母が、今の理生の本当の姿を受け入れる訳がない。誰にもこの苦しみを話せない。


(でも……でも……母だけでも理解して欲しい)

 到底叶わない夢と悟り、その捌け口を外で見出していた。

 そのうっ憤を滅茶苦茶に弾けて、自分の今のゲイの辛さを滅茶苦茶に壊れる事で一時的に、忘れることが出来るのだった。


 こうして第2の殺人事件は起きた。理生達が先生に見られてしまったと気付いたので先生を追いかけた。そして…とうとう桐谷先生は追い付かれてしまい更衣室に連れ込まれて、側にあった古びた金属バットで頭を強打されて気を失ってしまった。


 咄嗟に考えた2人は、近くに友樹の家の〈グレイト株式会社〉が有った事を思い付き、以前使った車といっても、山積みの順番待ちの車に紛れ込ませてあったので、父親には気付かれていない。電動のこぎりは当然隠してあったので持って来て、合羽を着て首を切り落としその車で生首を持ち帰った。


 生首はどうしたかって……?

 次回全ての謎が解ける


「オイ!ヤレ」


「ギャギャ————————————————ッ!」


    ***


 銀さんと田淵両刑事が使われていない更衣室入ると、一気に強烈な血液の臭いがして一瞬息が詰まった。


 そこで目にしたものは床や壁に一面に広がるおびただしい血の海地獄だった。 余りにも悲惨な光景に、今までも何回も現場を見てきた両刑事だったが、生首を切断した時に天井に血が勢い良く噴射したのだろう。これだけの血の海は今まで経験がなかった。床が見える場所は全くなく完全に血まみれで、恐怖で足がすくみ戦慄を覚えた。



 いよいよ次回最終話です。







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