首なし死体の謎

tamaちゃん

第1話 謎の少女



 梅雨の雨に打たれて、慌てて紫陽花が咲き乱れるお寺の境内に駆け込んだ高校2年生の立花流星だったが、そこには既に雨宿りをする女子がいた。だが、傘に隠れて顔は見えない。


 するとその女の子がカバンから携帯を取り出し電話を掛け始めた。

「ママ雨が止みそうにないので迎えに来て」


 その時一瞬その女の子の顔が見えた。ハッと息を吞むほどに美しい長い髪の少女は、こんな雨なので家族に迎えに来てもらうために母に電話したのだった。どこか儚げな、それは銀河鉄道999の謎の美女メーテルのような物憂げな表情だった。余りの美しさに見惚れていると次の瞬間想像も出来ない恐ろしい羽目になった。


 一瞬余りの美しさに魅惚れていると、次の瞬間流星を意味ありげな鋭い目付きで凝視した挙句、凍り付くような表情で含み笑いを投げかけて来た。それは、さっきまでの儚げな表情とは打って変わって、余りの狂気の眼差しに、余りの二面性に身体が凍り付いて、恐怖からその場から立ち去ろうと思えば思う程恐怖で足がすくみ、まるで磁石のように地面に足がへばり付いて離れないのだった。



     ***

 ある日流星はクラスの野郎達5~6人で、カラオケボックスに行った。流行りの歌で盛り上がっていたが、トイレがしたくなったのでトイレに立った流星。


 するとその時、あの日出会った少女によく似た少女が飲料水コーナ—に向かう所を発見。そこで慌ててその後を追った。その少女の跡をそ~っとつけて見ると、やがて2階の201号室に入った少女。


 こっそりと後をつけた流星だったが、一瞬にして少女が入って行ったその部屋を横切ったのだが、それは気付かれては不味いと思ったからだったが、その201号室はすりガラスで覆われている部分と、普通の透明ガラス面で覆われている部分に別れていて、中の様子が見えにくくなっていた。


 安心した流星は再度その201号室を通り抜けようとした。するとその時一瞬だったが少女の顔が見えた。(アッやっぱりあの美少女だった)


 どう見ても自分達と同じくらいの年頃の少女なのに、透明なガラス越しにかなり年配の男性に抱き付いているところだった。そこでこれは年配の男性に騙されてついて来たのかも知れないと思い、心配になり影からこっそり様子を伺っていた。


 すると今度はソファーに腰掛けたらしく影が離れて薄れた。そこで少しかがんで見て見た。何とあの謎めいた美少女、銀河鉄道999の謎の美女メーテルのような物憂げな表情の少女が、まだあどけなさが残る表情でありながら、その中年の男の膝の上に乗って、一緒に何と男に合わせて鳥羽一郎の「兄弟船」を一緒に歌いだした。


 それも…その男は美少女の身体を手で抱き寄せて、さも慣れた様子で歌っているではないか、こんな事絶対に有ってはならぬ事、淫行条例で定められている「みだらな性行為」そこで、もっとハッキリ男の正体を突き止めようと、もう少しかがんで見た。


(何ともにやけた気持ちの悪い男。寄りによってあんなに可愛い娘が、なんであんな男と一緒にいるんだろう?)


 すると気付かれてしまったのか、男が女の子に何か……話している様子。とその時クルリと顔を流星に向けた美少女は、またしても流星を意味ありげな目で凝視した挙句、一瞬含み笑いを投げかけて来た。余りの狂気の眼差しに、余りの二面性に身体が凍り付いて、恐怖からその場から立ち去ろうと思えば思う程恐怖で足がすくみ、まるで磁石の様に地面に足がへばり付いて離れないのだった。


 この女子は何者?


 ※淫行条例(いんこうじょうれい)は、日本の地方自治体の定める青少年保護育成条例の中にある、青少年との淫行を禁止する為の規定であり、青少年(18歳未満=17歳以下の男女)との「淫行」「みだらな性行為」「わいせつな行為」「みだらな性交」を教え・見せる行為」などを規制する条文(淫行処罰規定)の通称。


 正式な法令上の用語では無いが法律用語としては通用する。この条例ができたことによって相手が18歳未満である場合に限って使われるようになってきた。










 

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