淫魔に囲まれるドキドキハーレム学校生活! ~けど俺は縦ニットでロングスカートの清楚な女の子が好きだからお断りします。おい、こら! お断りだって言ってるだろ! 来るなぁぁぁぁぁっ!~

界座 道化

第1話 告白

「好きです、付き合ってください」

「あー、ごめん、無理」


 高校の校舎裏で告白された俺は、食い気味に断った。

 小麦色の肌、綺麗に色が抜けている髪、極め付けはタイトなジーパンにヘソ出しルック。うちの高校が私服OKだからこそ許される格好だ。

 紛う事なきギャルからの告白。加えてはち切れんばかりのバストを携えている。普通なら嬉しいことなんだろう。

 けど……。


「ていうか曽根崎そねざき、お前みたいに学校が休みの日でも俺が熱出してる時でもお前が風邪引いている時でも告白してくるめんどくさいやつ、好きになる人間の方が少ないだろ!」


 俺はビシッと人差し指で曽根崎美智そねざきみちを指差した。


「そんな……だって、溢れるラブを伝えたかったんだもん」

「そんなのはいらん! 俺は去年の入学式からずっと言ってきたはずだ! ……


 俺は選手宣誓のように高らかに言った。


 いや、そんな自慢気に言うことでもないのは分かっている。分かっているが、ここが俺の人生にとってもっとも大事なところなんだ。


「知ってるよ。マジヤバデストロイヤーな勢いでそういうのラブだもんねぇ」

「そうだ、だから……」

 

 曽根崎は俺の言葉をかき消すように「でも……!」と付け足すと、蛇のように素早い動きで俺にまとわりついてきた。

 弾力のある乳房が俺の腕に押し付けられる。


「う……おほぉぉ」


 情けない声が漏れた。

 何度触れても飽きないこの感触!

 弾力がある癖にスライムのように柔らかく変形する。

 

「アラポンも分かるよね? あたしがどれだけアラポンを愛しているか……」


 首筋に伝う艶めかしい舌の感触。

 クソたれ、どうして俺の人生はこうも上手くいかないんだ……!


 ◇


 俺、新藤新しんどうあらたは病気だ。

 病名は【縦ニットでロングスカートの女の子以外好きじゃない病※縦ニットは白色、ロングスカートは紫色で巨乳であれば尚良し】という。


 もちろん正式名称じゃない。

 というか、最初はただの性癖だと思っていた。けど、成長するにつれて、本当に特定の女の子以外はまるで興味がないことが発覚した。

 俺は別にいいと思ってたけど、なぜか母さんが怒り狂って病院に行くことになった。

 当然医者には相手にされず、「ここに行ってみな」と言われてもらった電話番号は精神病院だった。


 それ以来医者は信用してない。

 つーか、別に縦ニットでロングスカートの女の子が好きでも別にいいだろうに。


 だが、災難はそれだけでは終わらなかった。

 

 俺は自分で言うのもなんだがよくモテた。

 クラスの半分の女子は俺に擦り寄ってきていたと思う。

 

 そこまではいい。

 俺も男子、女の子が寄ってくることは嬉しい。


 だが、こともあろうに寄ってくる女の子はどいつもこいつも【露出の激しい女の子】……そう、だった。

 谷間を出し、パンツを見せびらかすような女の子なんか、女としてはまっっったく興味ないというのに。

 しかも、なぜか俺の好みの女の子はまっっったく寄ってこないという始末。


 ああ、神よ、なぜ俺にこんな試練を与えたというのか。

 こんなハードモードな人生、俺は望んでねぇ!


 ◇


「ぬりゃあ!」


 俺は曽根崎の攻撃【からみつく】からなんとか抜け出して距離をとった。


「あぁん、もう、アラポンのいけずぅ」

「うるせぇ。ま・じ・で、俺はお前には興味がないんだ。つーか、お前は顔がいいんだからいい加減諦めて他の男に行けばいくらでもモテるだろ」


 お世辞抜きで曽根崎は美少女だ。

 ギャル特有のメイクの濃さはあるものの、元の顔立ちのよさがあるからこそギャルメイクが光っている。

 ……ま、俺には関係ない話だけど。


「だってぇ、アラポン以外はマジでgmって言うかぁ、なんていうの? 生ごみ?」

「言い換えても意味がほとんど変わってねぇよ。つかそんな酷いこと言うな」

「んじゃあ粗大ごみでもいいや。とにかく、あたしの中でアラポンの存在が宇宙並みにデカくてどうしようもないの! だから今日こそ、あたしに振り向いてもらうんだから!」


 曾根崎はプロレスラーのように両手を上げてにじり寄ってくる。

 

 こいつ、今日はマジだ。

 ……と、問答をしている内に鐘が鳴った。

 今日は始業式。ゾロゾロと生徒たちが体育館に移動している姿が見える。


「おっと、ここまでだな、俺は品行方正な生徒故、始業式はさぼれない。さらば!」


 俺は後ろを振り向いて全力疾走で校舎裏を駆けた。

 後ろから何事か喚く声が聞こえたが、気にしている場合ではない。


 他の生徒からすればダルいイベントだろう。

 けど、俺からすれば意地悪な神がたまに授けてくれるグッドイベントなのだ。


「待っててくださいよ、白鳥先輩……! あなたのエロコスチュームを見るまで俺は死ねません!」


 俺は胸の高鳴りを右手で押さえながら体育館へと駆けていった。

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