君がみるもの
梅林 冬実
君がみるもの
遠くの空が大きな音を立てるから
そちらの方を見やるけれど
君は無表情で川べりの野草を見ている
ひゅうっと火の玉が空を駆け上り
すっと消えた瞬間
大輪の花が
色を形を違えながら
清高な輝きを放つ
見て、花火だよ
君は川の流れに視線を移して
うん
と微かに応じるだけで
流水を眺めはじめる
空模様が乱反射するなら
私だって君と同じに
川面を見つめるけれど
そうではないから
言葉をなくしてしまう
夜空にきらめく花々の美しさを
君と称えられたらいいのに
繋がれるものをそうやって
サラリ手放してしまうから
同じ場所で同じ時を過ごしているのに
涙が零れそうになるんだ
君がみるものを躊躇いなく
同じにみることができたなら
この心を
君に紡げるのかな
君がみるもの 梅林 冬実 @umemomosakura333
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