八月 コスプレをする

 零子れいこ優一ゆういちはインテックス大阪に来ていた。コミックシティに参戦するためでる。


「うわーっ、やっぱりえらい人やな。人の熱気でただでさえ、暑いのに温度五度ぐらいあがったきぃするわ。あっやっと列うごきだしたわ。ほら、これ参加証がわりのパンフレットやで。うちはコスプレするから、優君サークルまわってきてよ。友達がサークル参加してるから、挨拶しにいかなあかんしな。うちのロムの委託販売も頼んでんねん。ほらっこの前、海にいったときの写真もはいってるねん。ロムの編集ほんまありがとうな。ほなっ、うちはきがえてくるわ」


 三十分ほどして零子は優一と合流する。

「わあっもうこんなに買ったんや。なあ、ちょっと見せてーや」


「そんな隠さんでええやん。なあ見せてーや」


「うわっこれはえげつないな。めちゃくちゃエッチなんばっかりやん。へえーでも優君の趣味わかったわ。この戦艦ガールとかファイナルクエストとかが好きなんやな。うふっこんど戦艦ガールの大大和だいやまとのコスプレしたろか。ほんでそのあとオフパ……」


「ゲフォゲフォ……」


「ちょ、ちょっとちょけただけやんか。そんな必死こいて口ふさがんでもええやんか。けっこう苦しかったやん」


「あっそんなあやまらんでええで。ふざけたうちも悪いしな」


「せやな、そんな悪いと思うんやったらジュース奢ってもらおうかな。インテックス暑いさかいな」


「ほな、きいとりなおしてコスプレエリアいこか」


 二人はコスプレエリアへと向かう。


「なあ、このキャラなんか知ってる?」


「けっこうマニアックなキャラ選らんだんやけど」


「せや、そうや。けっこう前にやってたドリームイーターの魔女ジャック・オー・ランタンや。ほらっこれ見てみ。黒いドレスにつばのでっかい魔女帽子ウイッチハット。手にはかぼちゃのランタン」


「とくにここ見てみい」

 しゃがみこんで胸の谷間を優一に零子は見せた。

「どや、スキットルちゃんと挟まってるやろ。魔女ジャックはこのスキットルに夢魔むまを閉じ込めるんやから、重要アイテムやろ。それにうまいこと乳袋もできたしって、優君ちゃんとうちのコスプレ見てよ。今日のインテックス参戦も動画アップするんやから」


「さあ、優君撮影たのむよ」

 次々とポーズをとっていく零子にあわせて、優一はカメラのシャッターを押していく。

「うわっ優君、なんか列できてるわ。えっ写真とらせて欲しいって。うーんどうしようかな」


「せやな、優君の言う通りにするわ。列めっちゃできてるし。ほんなら一人三枚ぐらいでお願いします。あっうん、ネットにあげてもらってええよ。そのかわり悪口はかかんといてな。じゃあ次の人、ええよ」

 列に並んだカメラマンたちはうれしそうに零子の姿を写真におさめていく。

「はあっはあっ……」


「さすがに疲れたわ。いったん休憩させてもらうわ。まだ並んでくれてた人ごめんね。これよかったらうちの名刺やねん。よかったらInstagramとTwitterのフォローたのむわ」


 コスプレエリアをいったんはなれる零子と優一。零子は優一の買ってきたスポーツドリンクを美味しそうに飲む。

「ゴクゴクプファー!! はー美味しいわ。疲れたけどやっぱりコスプレは楽しいな。苦労して衣装つくったかいあるわ。せやで、これうちの手作りやねん。まあ、友達にも手伝ってもらったけどね」


「なあ、さっきの写真みせてくれへん」


「わっーやっぱり優君写真うまいやん。めっちゃきれいに撮ってくれてるやん。やっぱり被写体への愛情が違うからかな。せやろ、優君♡♡」


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