六月 買い物に行こう

 南海難波駅で待ち合わせした零子れいこ優一ゆういちは買い物をするために日本橋へと向かった。


「東の秋葉原、西の日本橋っていうけどやっぱり秋葉原には一歩及ばへんと思うねんな。まあ、でもうちはこの日本橋って好きやよ。ほらっここらへんからオタロードってよばれる通りなんや」


「ほら見てみ、ソフマップに駿河屋にアニメイトが見えるやろ。トルコアイス屋さんもあるわ。めっちゃのびるやん。あれも食べよな。さあ、全部まわるで、今日は大忙しや」


「そうそう、ちゃんと動画編集用のパソコンも見に行かんとね。優君、新しいパソコン欲しいっていってたもんな」


「ほれ、これ見てみ。この前優君と一緒にとったコスプレ動画。けっこうな再生数いってるわ。これも優君のおかげやね。このコスプレ八月のインテックス大阪のイベントにも着て行こうかな」


「そう、インテックス大阪って言うてな、東京のビッグサイトみたいなとこやね。そこで、さすがにコミケには負けるけどけっこう大きな同人誌のイベントやってるねん。優君も一緒にいこな」


「せやな、名古屋の世界コスプレサミットにも行きたいけど優君休みとれそう?」


「えっマジで。とれそうなん。ほんなら一緒にコスサミいけるやん。いやいや、名古屋やで。日帰りなんて絶対むりやで。少なくても一泊はせなあかんわ。ほんまは一泊ではものたれへんけどうちも撮影あるしなってどうしたん、また顔赤いで」


「なになに泊まりはちょっとって。うちはぜんぜん気にせえへんよ。あっここのゲームショップよってええかな?」


「せやねん、うち最近友達に教えてもらってレトロゲームにはまってるねん。ファミコンのカセットみてみたいねん」


「わあっこれがファミコンのカセットか。いやんこのカセットめっちゃかわいいやん。アイスクライマーやって。この忍者のキャラもかわいいわ。じゃじゃ丸君っていうんや。ちょっと優君ににてるわ。うちこれ買おうかな。なあ、優君の家でゲームやりにいってええ」


「ほんま、うちうれしいわ。ほんならうち特製のたこ焼き作ったるわ。うちのたこ焼き自分でいうのもなんやけどめっちゃ美味しいで。コーン入れたりツナ入れたり、キムチいれたり色々あるねん。お出汁で食べる明石焼きもつくれるで。もうっ出汁でじるっていわへんよ。それ黒歴史やからいじらんといて」


 オタロードで買い物を済ませた零子れいこつかさはなんばシティに向かう。


「なあ、秋葉原とちがって便利やろ。すぐに地下のショッピング街にいけるんやで。ユザワヤよってもらってええかな。コスプレに使う布とかみたいねん。うち裁縫もできるねん。手先は器用なんや」


「手先は器用やのに方向音痴なんやなって、優君それきついで。そんないらんことばっかり言う口にはおしおきいるな。なんもいわれへんようにしたるわ。チュッ」


「ほらこれで静かになったわ。どうしたん、優君、顔がゆでダコみたいやん。あははっほんまおもろいな」

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