四月 たこ焼きを食べる
南海難波駅の改札口をでたところにあるコンビニ前で難波零子は宅間優一を待っていた。
「あっ宅間君、お疲れ様。仕事どうやった。うんっうんそれは大変やよな。でもちゃんと働いて偉いわ。うちやったら会社勤めなんか絶対でけへんもん」
「ほんならいこか。前に宅間君が食べたいって言うてたたこ焼き食べにな」
千日前商店街にある居酒屋に二人は入る。
「はい、二人でお願いします。宅間君、個室あるってそこにせえへん。うんっじゃあそこでお願いします」
「ほらっここらしいで。へえっ友達に教えてもらったんやけどおしゃれなお店やな。おしゃれすぎてうち緊張するわ」
「いやいや普段こんなところでご飯なんか食べへんよ。うち、ほとんど自炊やねん。たこ焼きも家で作るから、逆にお店ってあんまり知らんのよね。ほんで友達に聞いたんや」
「うん、ええよ。今度つくったるよ。ほんで他に何食べる? どて焼きがおすすめやって。どて焼きってなすじ肉とこんにゃくをお味噌とお醤油で炊いたやつやねん。へえー食べたことないんや。ほな食べよか。他には? ほれこれ見てみ、紅しょうがの天ぷらもあるねんて。たべてみーへん。けっこう美味しいよ」
「ほんなら店員さん。たこ焼き二人前とどて焼き、紅しょうがの天ぷら。唐揚げ、シーザーサラダ、
店員はかしこまりましたと答えて、その場を離れる。
「えっどうしたん。なになに。小声でようきこえへんわ。もっと大きな声でいうてちょうだい」
「ふぇっ、
零子をなぐさめる宅間。あまりにも恥ずかしそうにしているので宅間はつい頭をなでてしまった。
「ありがとうな。宅間君、なぐさめてくれて。ほんま穴があったら入りたいわ。うんっ頭撫でてくれてるの。なんかええわ。もっと撫でてええねんで。宅間君に頭撫でられたら、めっちゃほっとするわ。って店員さんきてもた。流石に人前では恥ずいわ」
「ほっほんなら食べよか。たこ焼きは熱いうちに食べらな。ほら、かつおぶしが踊ってるで。めっちゃ美味しそうやん。じゃあ、改めて宅間君の就職と大阪への引っ越しを祝ってカンパーイ!!」
「ゴクゴクプハーッ!! 仕事終わりのチューハイは格別やね。コーラも美味しいって。せやな、コーラはいつ飲んでも美味しいドリンクやもんな。それにはうちも賛成やな。ほんでこのたこ焼き食べよかっ」
「なあっ宅間君食べさせてよ。ほら、あーん」
「ふんっふぁふふぁふっ。熱い熱いわ。中とろとろで出てきたで。でも、美味しいわ。この熱いのがたまらんのよ。ほらっ、宅間君もあーん」
「なっ美味しいやら。いっつも家でつくってるんのも美味しいけどお店で食べるのも格別やね。特に誰かと一緒に食べるのはええもんやね。それが宅間君やから、なおさらやね」
ひとしきり飲み食いし、満腹になった二人は会計をすませてお店を出た。
「はーお腹いっぱいや。ほら、見てみこのお腹。妊娠しているみたいやん。お腹でてしもてるわ」
零子は酔っ払い、シャツをめくり宅間にお腹を見せる。
「うんっどうしたん? お酒飲んでないのに宅間君顔真っ赤っ赤やで」
「うわっめくり過ぎておっぱいまで見えてるやん!!」
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