第13話 いたがゆい
けど、もしもおれが真っ黒おじさんなら、絶対にかい中電灯で一本一本照らして行くと思った。
だから、土管のあるところからわきにそれた草むらにこっそり入って行って、バラのツルがいっぱい生えてるところがあったから、そこに伏せた。
心ぞうの音が地面を伝わってドクンドクン聞こえる。体がうくくらい鳴っている。
アセがベトベトする。カがすぐに来る。それでもジッとする。
光が近づいてきた。真っ黒おじさんだ。いかっていた。
「殺す殺す殺す」
小さい声で何度もブツブツ言っていた。
おれは体をかためて、絶対に動かないようにした。
だけど、その時、手の平がもうれつにいたかゆくなった。
すごいかゆくなる針でさされてるみたいで、それが何度も来た。体がはねそうになるくらいいたがゆい。
目の前にアリが歩いてきた。めったに見ないでっかいクロアリだった。
コイツだ!コイツの仲間がかみついてるんだ!
真っ黒おじさんは予想通り土管の中を一本一本見始めた。土管の中をのぞいては「チッ」とかムカついた感じのため息とかをもらしている。
真っ黒おじさんが土管をのぞいたスキに、おれは少しだけ頭と手の平を動かして、手の平を見た。
かみついてるオオクロアリを手の平からとろうと思った。
けど、そこにはオオクロアリはいなかった。
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