第11話 追って来た

「見ぃつけた」



真っ黒おじさんはうれしそうにニンマリ笑った。


その笑顔を見たしゅん間、体中に鳥ハダが立った。


手がのびてきた。


むなぐらを乱暴につかまれて、草むらからむりやり引きずり出された。


おれはかい中電灯を真っ黒おじさんの顔に投げつけた。だけど、よけられた。真っ黒おじさんは笑みを深める。顔がしわだらけになった。恐怖だった。


おれはもう一方の手に持っていたカブトムシやクワガタ入りのビニールぶくろを真っ黒おじさんの顔に投げつけた。当たった。


「うわ」


真っ黒おじさんは手を放した。カブトムシやクワガタはかたいから思ったよりいたくておどろいたんだと思う。


そのスキに草むらの方へおれはにげ出した。


「待て!」


真っ黒おじさんはすぐに追ってきた。

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