蜜蜂獣人の彼女と商人の俺

夢守紗月

この世界は

 俺はルーク、蜜蜂獣人の作る極上の蜂蜜に魅了された商人。

 どうにかしてうちの商会に卸してもらえないかと、交渉のため閉鎖的な蜜蜂獣人の町に滞在中。


 この町の主要産業は養蜂で、しかも1つの巨大な農家が代々牛耳っている。

 農家とはいえ、直接の販売も兼ねているので、農家兼商会の複合企業のお膝元の町、と言ったところか。

 どんな仕事も、この養蜂関連なため、実質町が丸ごとこの家の支配下ということになる。

 

 この家は、代々一族の女性が「女帝」と呼ばれる最高位に君臨している。

 特別措置として、町の全権委任もこの女帝に託されているため、まさに女帝、というわけだ。


 この世界には、俺みたいなヒト以外にも、狼獣人や猫獣人といった哺乳類系、魚の鱗を持つ水棲系、大空を翔ける翼を持つ鳥系など、様々な獣人が住んでいる。あまりに数が多すぎて、ヒト以外は全て「獣人」という括り方をされている。

 彼らは、基本的にはヒトと共生しているが、獣の特徴を濃く受け継いでいたりと、少しずつ文化が違う。

 

なかには第2形態、第3形態のような、より獣化――獣の成分が多くでる形態に変化することもあるが、基本的には第1形態――ほぼ見た目は人間だが、耳や尾、翼などだけ獣化している姿で日常生活を送る者が多い。

 

 第2形態、第3形態は、興奮したときや、より獣の習性を生かしたい時に取られることが多い姿だ。

 例えば、怒った時もそうだし、象獣人が大量の荷物を運ぶために巨大な姿に変化するときもある。

  

 少し珍しいが、俺の蜜蜂獣人の彼女、メルのように虫系の獣人もいる。

 蜜蜂獣人の見た目はほぼ人間だが、ふわふわした髪や透き通る妖精のような羽を持ち、集団で養蜂業を営む者が多い。

 蜜蜂獣人の社会は少し閉鎖的で、特に俺の滞在している村は、蜂蜜の秘伝の製法があることから、部外者の立ち入りが最近まで禁止され、その特別な蜂蜜も村で直接買うしかなかった。



 

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