SCP財団管理局職員記録日誌

マターリマターリ

第1話 入社は片道切符

「人類の歴史は長い 25万年だ だが歴史と呼ばれるような物は4000年程度しかないのだ それまでは理外の化物どもに脅かされていたからだ 今は時代が変わった

我々は現代に残る異物、存在してはならない物を確保 収容 管理し人類の繁栄を陰ながら手助けしなくてはならない 我々が負けては人類は猿に逆戻りだ だから今日入った君たちは人類を進化させていくための邪魔な存在を何としても確保し逃がさず管理していくんだ いいかね?」

「「「はい」」」

「よろしい 少し長くなったが君たちは今から配置について貰う それぞれの担当が来るからそれまでそこにかけていなさい」

「「「失礼します」」」

今日SCP財団の管理に携わる事になったニカイドウは説明を受け席についた。

元々記者だがギャンブル好きが高じてしまい破産し借金返済のために裏社会の方々からここを紹介されて入った。

給料はとても言えないレベルで高くここに3年勤めれば借金返済だけでなくお釣りで300万ほど手に入ると考えウキウキしていた。

だが先ほどの説明を受け実物をモニターなどで見た所この世の物ではないナニカを数多く見て気が失せたどころでは無く生きていける気が無くなった。


(どうすんだよ・・・いや・・・これマジで死ぬよなぁ)

「君顔色が悪いが大丈夫かね?」

「ああ・・・説明には聞いてましたが実物を見ると中々迫力がありまして」

「ははは 見せたのは安全な物ばかりだ くれぐれも危険な物の前でびびってくれるなよ この仕事は覚悟を見誤ると死ぬ そしてこの基地と人類が滅びて終わる」

「わ、分かっています」

「それならいい」

そうこう話している内に3人の作業着を着た人間がやってきた。


「君が・・・えーっと・・・」

「ニカイドウです」

「そうそう 大変だけど頑張ろうね」

「よろしくお願いします」

「まあこの基地局はローテーションで色々な物を触れるから死なないように気を付けてね 前任の私のパートナーも死んじゃってねー ミンチみたいになっちゃった」

「ははは・・・そうならないように気を付けます」

「まあ仕事は真面目にやってくれそうだし大丈夫そうだね」

「頑張ります」

「じゃあ付いてきて」

促され女性についていく道中で様々な説明があった。

・今日の担当は危険性はほぼ無い

・ここも相当長く勤めてるがマニュアルを守れば大丈夫

・1年もいれれば後は段々人間をやめていくけど心配するな

どれもこれも不安を内容でしかなかった。

危険は付き物、マニュアル人間であれ、人間を1年でやめれる。

これを聞いて落ち込まない人間がいるなら紹介してほしいと心の底から思うニカイドウであった。


「えーっと・・・そういえばお名前は?」

「トウマだよ よろしくね」

「トウマさんですねよろしくお願いします」

「ってか名札あるんだけどね」

「あ・・・すいません」

「ははは まあいいよ今日はボーナスみたいな日だからゆっくりしよう」

「私としては気は休まりませんがね」

「この仕事抜くとき抜かないと死ぬからね?従った方がいいよ」

「は、はあ・・・分かりました」

てくてくと歩いていくとSCP-014と書かれた部屋についた。


「ついたんですか?」

「うん 今からここの説明をするね」

「はい」

「よろしい ここにはコンクリート男というSCPがいます 安全ですが1937年以降に作曲された曲は流してはいけません 常に流れているのでその心配はない」

「はあ」

「体も動かないし今のところなんの危険性も認められてないから掃除だけして今日は終わろう」

「わ、分かりました」

説明だけ聞くとなんとも漫画に出てきそうな名前ではあるが安全なのだろうと部屋に入る。部屋はすぐに入れるわけではなく準備室のような物がありそこには掃除器具や耳につける翻訳機のような物があった。

掃除道具をニカイドウが持ったことを確認しトウマが部屋に入る。

ニカイドウも慌てて翻訳機を耳につけ掃除道具を持って部屋に入る。



「君たちは何をしに来たのかな?」

「掃除しに来ました」

「そうか・・・悪いね私は体が動かないから助かるよ」

「掃除をさせていただきます」

そうトウマが言うとニカイドウを顎で使い掃除を始めた。


「そこの君は誰かな?」

「・・・」

「無視かい?」

「あ・・・私ですか?私はニカイドウです 掃除をしにきました」

「そうかい 助かるよ」

何とも言えない雰囲気の中掃除しているがどう見ても体が不自由な人にしか思えないまま掃除を行いながら疑問に思った。


(ここは障害を持った人を閉じ込めておくための施設で最初の映像はダミー?)

なんてことを思いながら掃除をし終えトウマに終わったと告げる。


「じゃ 行こうか」

「は、はい」

「失礼します」

「し、失礼します」

扉が閉まり鍵をトウマが閉めると噴射口から何かが出てきて2人は何かのミストに覆われた。


「うわ!」

「大丈夫だよ 落ち着いて これは消毒って奴」

「焦った・・・」

どうやら消毒だったようで無駄に焦ってしまい少し恥ずかしくなってしまうニカイドウだった。


「あ、あのトウマさん」

「ははーん 君もしかしてウチが障害者を隠している施設だとでも思ったね?」

「え!?・・・いや・・・えーっと」

「そりゃそうか そう思っても仕方ない でも君最初にいろんなのモニターで見たろ?なんでそう思った?」

「さっきいた人は体が不自由なだけですよ 最初の映像はダミーでしょう?」

「あー・・・なるほどね これ見て見な」

「は、はあ」

奥にあった書類を渡され見ることに。


SCP-014:コンクリート男

オブジェクトクラス:safe

・SCP-014は1915年に精神病棟に隔離され体がコンクリートになると思い込み体が動かなくなってしまった元人間の男性

・30代とおぼしき姿だが年齢は現時点で100歳を超える。

・1930年にSCP財団が収容

・1937年以降の楽曲をかけてはならない

・口や目以外の部分は一切動かず新陳代謝は一切起きない


「に、人間じゃない?」

「ほら映像見て見なよ ズームするからさ」

「・・・一切呼吸をしてないみたいだ なんなんだ?」

「これが我らSCP財団の管理するSCPさ 今日はかなり安全だからね」

「・・・俺はここで生き残れるのか?」

「・・・油断 覚悟 息抜き どれか一つでもダメになったら壊れるね まあ金はいいから命大事に働こうよ」

「怖くなってきましたよ・・・本当に」

「ははは まあ明日からが本番だよ 今日はゆっくり休みな 部屋まで送るよ」

「あ、ありがとうございます」

トウマは無線で連絡を行い業務が終わったことを告げると明日の集合場所と部屋までの行先を案内しつつ飲み物をおごってくれたりした。


「じゃね ニカイドウ」

「明日もよろしくお願いします」

「うん」

トウマが自分の部屋へ戻りニカイドウは疲れたのかへとへとになりシャワーを浴びておごってもらった飲み物を飲みゆっくり休んだ。

食事の時間までスマートフォンで暇をつぶしていると部屋の電話が鳴った。


「はい」

「あー ニカイドウ?ご飯一緒に行かない?」

「分かりました どこに行けば?」

「部屋まで行くよ」

「すいません・・・お願いします」

食事の時間10分前にトウマが部屋に来て一緒に食事を取ることになった。


「ここの食堂はステーキが食べ放題なんだ 体を鍛える上で肉は大事だからね」

「へー・・・いっぱい食べようかな」

「はは ちゃんと体動かしてからにしなよ それまではほどほどにね」

「はい」

トウマの体を見るとかなり鍛えられているようで歴戦のベテランという所が伺える。


「・・・何ジロジロ見ているの」

「あ、いや いい体だなって いやいやいや鍛えてる的な意味ですよ!?」

「ははは ありがとう 何れ君も私ぐらいになるよ じゃないとヤバいから」

「うはー・・・とりあえず筋トレとかやらなきゃですねえ」

「うーん・・・まあそうだね私がしごいてあげるよ」

「ありがとうございます・・・お手柔らかに」

「ははは 本気でやったら私人殺しになっちゃうよ」

「こえー・・・」

そんな話をしながら食事を皿に盛りどうしてここに来たのかという話題になった。


「ニカイドウはどうしてここに?」

「元々記者だったんですがギャンブルで破産しちゃって・・・」

「あー結構かわいいね」

「え!?トウマさんはどうしてここへ?」

「家族というか町が全部SCPにぶっ壊されて財団に保護されたの」

「あー・・・ご愁傷様です」

「いやいいよ物心つく前だからね」

「そういう方々が多いんですか?」

「いやいや少ないよ まあ大体君みたいなものさ」

「ははは まあこういうアットホームな所で安心しました」

「人によってはかなり厳しいからねー 君は良かったかもね でも一番の外れは君」

「え?なんでです?」

「私そこそこ偉いから危険な業務によくつくの」

「あぁ・・・神様お助けください」

「ははは 大丈夫大体油断して死ぬ奴しかいないようにしてるから」

「あ、ありがたい」

そんな話をしているとちょうど食事を食べ終え、部屋に戻ることにした。


「じゃねー」

「ええ また明日お願いします」

部屋へ帰り風呂を沸かしてゆっくりと入りスマートフォンを見てゆっくりしていた。



「にしてもこんな所で生きていけるのかなぁ」

そんな不安を元にニカイドウは眠りについた。

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