エラーコード:九十九
みさと
プロローグ
始まりの因果
腐敗する肉体、摩耗する精神、人間であれば必ずやぶつかる命の限界。
誰もが渇望する。
永遠の肉体、永遠の命、終わりなき栄華。
古今東西、あらゆる偉人が目指した究極の願望。
その願望をついに、人類は掴み取る。
西暦2177年、人々は肉体という足かせを脱ぎ捨て、永遠の身体を手に入れていた。
オートマトン手術。
機械の身体と電子の思考。
これをもって人類は、寿命という呪縛から解き放たれ、無限の生命体へと進化した。
あらゆる常識が変わり、あらゆる認識が変化したこの世界に、旧来の常識は通じない。
だが、それでも変わらない理が存在する。
それは、魂という存在―――
巨大テック都市トウアンでは、日々秒単位で事件が起こる。
暴走するオートマトン、正気を失った人間、制御不能な機械義手。
警察との衝突は日常茶飯事、区域の封鎖も風物詩。
例え寿命という呪縛から逃れても、人々の欲望と狂気は変わらず猛威を振るう。
そんな中、霊山神社の巫女、霊山クジの元には特殊な依頼が集まってくる。
それらの依頼を分類するとすれば―――
摩訶不思議な依頼である事と、エラーコード九十九という単語。
電子の海に魂はあるのか?
その答えは、彼女たちが知っている。
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