RED ILLUMINATION ADHESION
JUGULARRHAGE
prologue HELL-BORN1/2
「ホールインワン、こちらアーマーピアシング。コンタクト」
攻撃ヘリパイロットがHMD越しに巨大な怪物を視認。月夜に映える白銀の毛並みに包まれた隆起した筋肉と太い骨格が分厚いシルエットを描く怪物が、瓦礫の上に鎮座する。その周りには似た毛並みのずっと小さい個体も闊歩する。
「アーマーピアシング、こちらホールインワン。武装制限解除、攻撃決定権はパイロットへ。制圧射撃を開始しろ」
「こちらアーマーピアシング。了解」
パイロット、火器管制スイッチ及びマスターアームスイッチをARMへ。システムが各種兵装を使用可能状態へと切り替える。
GUN-300
ROCKET-36
LASER-100
左多目的パネルを操作して火器管制をパイロット単独搭乗モード。続けて自動照準任意射撃へ移行。
火器管制システム、標的指示システムを起動。
TARGET ACQUISITION AND LOCK SYSTEM -ON
同時に火器制御補助作動。
FIRE SUPPORT SYSTEM-ON―LEVEL 2
パイロットが指示方式を視認に切り替えて怪物を見る。
HMD上で怪物にターゲットサークルが重なり、パイロットが目標決定ボタンを押す。
[TARGET LOCK]
GUN-AUTO TRACKING MODE
自動で機首下部の大口径機銃が怪物を捉え、パイロットがトリガーを引いた。
トリガー感圧装置から火器制御装置へ信号伝達、更に下部機銃へ信号伝達。
モーター作動、給弾開始。
30mmCE弾が薬室へと送られ電気遊底が雷管に通電。装薬燃焼、燃焼ガスにより薬莢内圧力上昇、薬室膨張、弾頭を押し出す。
30mm多目的榴弾、発射。
怪物に命中する手前で大気粘度上昇。30mm多目的榴弾保有慣性力僅かに低下。
信管作動。
怪物の右腕部に複数の爆発が起きる。
怪物の外骨格表面に軽度損傷。損傷部修復開始、外骨格主組成物質間に添付物質浸透、結合。
パイロットはサイクリックスティックを左前に倒しつつ、右のアンチトルクペダルを踏み込む。アンチトルク減少。機首が右に回る。
怪物の周囲を旋回しつつ機銃で攻撃を行う。
上空からの攻撃を煩わしそうにしながら銀色に煌めく巨大な怪物が、月明かりの中、暗い夜空に溶け込む黒い機体を見上げた。
「アーマーピアシング、こちらホールインワン。ADFSD及びヘリボーン部隊が作戦エリアから方位160、距離20km、高度1200m。速度630km/hでそちらの後方から侵入、高速極低高度非着陸降下で展開する。目標を引きつけろ」
パイロットが無線通信ボタンを押しながら、
「了解。侵入方向に目標の背を向けさせる」
ペダルを踏み込んで怪物の方向に機首を向けたパイロットが、サイクリックスティックを前に倒してコレクティブレバーを引き上げ、推力増加。
機首が下がり、増速。
パイロット、チャフ・フレアリリ―スボタンを押す。
怪物の頭上を通過していく艶消しの黒い攻撃ヘリのテールブーム付け根あたりから、幾つもの光球が放たれる。
機銃で牽制しつつ旋回、機首を怪物に向ける。
怪物から放たれた鏃状の物体に、サイクリックスティックを後ろに倒しつつコレクティブレバーを下げていく。スワッシュプレートが下がり傾斜、機体右方向のブレードの迎角が上がり揚力増加、左方向が下がり揚力低下。メインローターブレードピッチ角減少、揚力低下。機首が持ち上がって高度が低下。
降下したヘリの上を怪物が投射した硬質な鏃が通過していく。
パイロット、兵装選択スイッチを操作し使用兵装切り替え、レーザーへ。出力選択。
LASER POWER-MAXIMUM
兵装懸架翼端部レーザーレンズ、目標方向へと傾斜。
パイロットが親指をウェポンリリースボタンに当て、押し込む。
レーザーユニット内バッテリーから通電、燃料ガス混合、反応開始。励起フッ素生成。
排気に重水素及びヘリウム噴射。
励起フッ素、重水素、反応開始。励起フッ化重水素生成。
基底状態へと推移。光子放出。
光子衝突、電子が現在の電子軌道から外側の軌道へと遷移、保有エネルギー増加。
電子、再びK殻へ。エネルギー差により光子放出。
励起状態より基底状態へと遷移。
光共振器内レーザー触媒誘導放出を開始。触媒高エネルギー保有状態。反転分布。
エネルギー増幅。
光共振器内光子を外部へと放出。
レーザー照射開始。レーザー波長3.8マイクロメートル。照射2秒。
「こちらシューティングスター。ニ機編隊で作戦エリアより方位160、侵入中、降下ポイントまで十分」
「こちらアーマーピアシング。了解」
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