第514話 勝負の決まり。ようやくの終焉

最後の最後で急な展開。

ドサッと倒れる2人。さぁ、タッチして……


「確保~!!」


響きわたる母親の歓喜の声。

そしてタイムは………


「残り0.5秒……………つまり…………この延長戦、勝者は、お母様!」


群衆が一気に盛り上がる。何故?何故に盛り上がる?そんな祭典だった?皆これオリンピック見てる訳じゃないよ?W杯見てる訳じゃないよ?バレー見てる訳じゃないよ?あ、後スッゴい盛り上がりを魅せるドラマを見てる訳でもないよ?ただただ鬼ごっこしてるだけだよ?フジテレビの大人気のあの鬼ごっことはまた違うよ?お金も好感度も貰えないよ?ただただバカとバカがバカなことで争ってるだけだよ。


「遂に決まったね。」


「遂にってかもう年貢の納め時だろ。」



「私の勝ちね。心音。」


「ズルい!ズルい!ズルい!ズルい!ズルい!武器とか無しでしょ!」


「武器じゃない。オモチャ。」


「そんなものをアリにした覚えはないよ!」


「だったら延長戦自体を私はアリにした覚えはないよ。」


「…………くっ。」


「アンタ、アタシらがここにアンタが残ってることすら気づいてなければこの延長戦とかもナシにしてたでしょ」


「………………」


「よくそんな汚い手を使ってるのに私のゴキブリのオモチャ1つにそんな文句言えるね?」


「…………ち、チクショウ!!」


姉は地面を叩く。


「ほら、手を貸しな。早く立って。一体何時間ここにいるつもり?」


それは俺が一番言いたいわ。

もうかれこれ5、6時間はいるぞ?コスパいいのか。はたまた悪いのか。てか肉買いに来ただけってことお忘れでは?

家に男性陣置きっぱなのもお忘れでは?

疲れたわ。歌は歌わさせられるし。ツッコミは入れないといけないし。あとギャルの前にも何故か出たし。それにこんな3本勝負プラス延長戦の鬼ごっこまで手伝わされてこっちはもう疲れてる。疲れてるんですよ。


「母さん、早く帰ろ。」


「帰る。帰る。帰るけど行く場所があるでしょ?」


「あ?」


「結婚届。貰いに行かなきゃ。役所に?」


「はぁ?今から?」


「当たり前じゃん?今日出すんだから。」


「今日?出す?もう18時とかだぞ?」


「大丈夫。貰える。貰える。」


「貰える………のか?知らないけど。」


「まぁ、とりあえずみんな車に乗るよ。さぁ、忘れ物がないようにして急いで乗るよ!」


急ピッチで動いても時間は時間だし。まず開いてんのかどうか知らないし、まず貰えるか分からないし。あと今日中とか無理臭いし。でもまぁ、もうここにいる理由もないし、はよ車に行こ。


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