第153話 綾崎 彗
私はちょっとだけ他の人と違ってた。
私の家には沢山のお金がある。
ちょっとした中小企業の社長のお父さんのおかげで欲しいものは何でも買ってもらえた。
ぬいぐるみ、服、アクセサリー………
そしてそんな私の周りには自然と人が集まってきた。人が集まり自分を祭り上げてくれた。まるで私だけが特別な人間のように。
それがとても、とてつもなく最高だった。
でも。
でも、本当に 欲しいもの が出来た。
本当に 欲しいもの が出来てしまった。
それが彼、社 晃太くんだった。
一目みた時から好きになった。いわば一目惚れだった。彼の優しい顔、彼の活発な姿。全てが愛おしく感じた。
だから綺麗になろうとお父さんにメイクさんをつけてもらったり色々な種類の服を買ってもらって彼の好みになろうと頑張った。
だが彼の目に私が映ることはなかった。
だっていつも彼の目には一人の女子、沢 香織しか映っていなかったのだから。
私よりも遥かに不細工で見た目も悪く服のセンスもない。そんなヤツが何故私の晃太くんの横に?
そこからだった。沢 香織を疎ましく思いいじめを始めたのわ。
水をかけたり服に泥をつけたり物を奪ってみたり様々なことをして彼から香織を離そうとした。だが………それを止めたのも晃太くんだった。いつどんな時も香織が助けを求めなくても助けにくる晃太くん。そして必ずこう話す。
「うちの香織に何してんだ!」
いつもそう言って私たちを退治する。
うちの、
うちの………か。
そのうちに入るのが私になるはずだったのに………うちの彗に、になるはずだったのに………ここで彼との縁は一度切れた。
そして時は過ぎ高校で再会出来た私たち。
これは運命だと神様が仕組んだ運命だと。そう思った……だが……
だけどもう香織と付き合ってて家族公認で香織もめちゃくちゃ美人になってて…………
もう私に手を出すことはほぼ不可能に近かった。
だから私に太刀打ち出来るのはせめてホテルで晃太くんの精子をとるくらいだった。だがそれも失敗し、そのつぎの強行策放送室ジャックでは挙げ句の果てには大好きな人を晃太くんを傷つけて、痛めて刺してしまった。
もう私に恋を語る資格はない。ただの犯罪者の私はもう職員室で話し合いの対象になるんだ。そして少年院か病院に送られ……だからこれで私の恋も人生も全てが終わり。お父さんお母さん、バカな娘でごめんね。あと…………晃太くんこれでさよならだね。ホントに迷惑をかけたね。でももう大丈夫だよ。もう厄介者は消えてなくなるのだか
「綾崎!」
消えてなくなるはずだった。消えてしまうはずだった。
だからほっておいてほしかったのに。
私の好きな人はほっておいてはくれないみたいだ。
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