第104話 嘘をついてる時が一番辛い時、ホントのことを言ってもややこしいけどね。

「そっか………香織ちゃんと晃太くん……おじいちゃんに呼ばれたんだ………」


「呼ばれたというか………呼び出しを食らったというか………」

「美味しい食べ物と麦茶をいただいたよ!」

「そこはどうでもいいんだよ………」


食べ物と麦茶を廃水みたいな扱いしてたことについてはいいんだよ。別に。


「あの………姫百合先輩は……校長先生のお孫さんなんですか?」


「……………」


少し沈黙が続くと…………姫百合先輩は口を開き始めた。


「あのね………2人には嘘をついてたんだけど……ね。」


「嘘?」

「どんな嘘ですか?」


「私………姫百合アリスじゃないの。」


「………は?」


「私、姫百合アリスじゃないの。」


「いや、それも聞こえてますよ?え?姫百合アリスじゃない?どうゆうことですか?」


「……………」


また沈黙を続けると……意を決したように話し出した。


「私の名前は………

百合愛 アリス(ゆりあ ありす)。これがホントの名前。」


「百合愛?」


「百合愛ちゃんじゃなかったんだ!まぁ、アリスちゃんには変わりないから大丈夫だけどね!」


そこじゃないだろ……ってツッコミたかったが………ん?っとふと頭の中にちょっとした疑問が……


「百合愛?え、確かこの高校って百合愛高校じゃなかったですっけ?何か……不思議なことも……」


「必然だよ。」


「え?」


アリス先輩は口を開く。


「一個一個解決していくね………」


アリス先輩は忍先輩が用意してくれたお茶を一口含むと話を始める。


「私のおじいちゃんはさっきも言ったけど、この高校、姫島高校の校長、名前は百合愛 源五郎(ゆりあ げんごろう)。」


何かメルヘンな名字と固い名前があるな……


「私の誕生の時に学校の名前を百合愛校長に変えた人物。」


「え?」


「もともと姫島高校だったのが百合愛高校に変えた人。」


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!」


「それに私が生徒会長をやりたいと言ったらこうやって私専用の特別隔離スペースを作った人。」


「隔離?スペース?ちょ、ちょっと情報が……」


「そして私の名前を姫百合 アリスとして他の生徒ととの関わりを限りなくゼロにした人物………」


「関わりをゼロにって………校長は何でそんなことを……」


「私が恋をしないように。」


「へ?」


「私に悪い虫がつかないように、だってさ。」


「……………」


あ、分かった。校長もこっち側の人間なんだ。

頭のネジが外れてる人間なんだな………

晃太は恐る恐るお茶を飲み状況を見るが……

忍先輩は当然知っているのかじっと聞いている。

で、うちの香織はというと………

生徒会室のお菓子を特にチョコを選んで食べながら話を聞いている。いや、昼間の報道番組見てるおばはんじゃないんだからもっとシャキっとしろよ。てか糖分欲しいのはアリス先輩だろ………

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る