第73話 この物語は社 晃太だけのモノじゃない。

昼休みが終わり次の授業が始まる中、晃太のライムに一件の通知が。

何故だろう。見なくても誰だか分かる。

そこにたった一文書いてあったのは。


「今すぐ屋上に来い。」





屋上はいい天気でスゴく晴れ晴れしいいい気持ち。そこに正座でこちらをじっと見つめるのは………


「進藤…………お前………」


「香織ちゃんは来なかったな?よし。」


「言ってねーからな。」


「……まぁ。とりあえず座れ。」


「え、屋上で正座?」


「いや、お前は反省の意を込めろよ?」


「なんで!俺なんだよ!犯人は香織だろうが!」


「香織ちゃんの飼い主は晃太、お前だろう!ちゃんと見とけ!」


進藤の言葉に晃太は何故かカチンっときた。


「おうおうおうおう。言ってくれるなぁ?進藤?大体俺が香織の飼い主ならお前は百舌鳥先輩の飼い主だろうが!」


「あ、え、いや…………」


「大体なんだよ!お前彼女出来たなんて言ってなかったじゃねーか!いつ出来たんだよ!てか何で隠してたんだよ!」


「お、お、お、お前に……関係ねーだろ!」


「じゃあ俺らの恋路もあんなに言う必要なかったんじゃねーか?人にはあんな態度とっといて!」


「ひ、人の恋路くらい刺してもいいだろ?」


「人の恋路刺すなら自分の恋路を充実させろや!何だお前?半年も俺に彼女いること隠しておいてその彼女と手も繋いだことない、ハグもしたことない、とか……」


「お、お、お前らのところが進み過ぎてんだよ!」


「そうだよ!俺らのところは進み過ぎてるよ!だけどお前のところは進まなさすぎる!」


「し、知るか!大体お前に関係ねーだろ!」


「関係ねーよ!」


「ならいいじゃねーか!」


「良くねーな!散々人の恋路のことバカにしやがって!」


「バカにはしてないだろ?」


「ネタにはしただろ!」


「ネタ………にはしたけど………」


「じゃあ俺もネタにしていいって訳だよな!」


「そんなルールねーから!」


「じゃあこの場に香織とついでに百舌鳥先輩も呼ぶ。」


「は?」


「4人で会議すればいいだろ?」


「ふ、ふざけんな!何で香織ちゃんはともかく……も、百舌鳥先輩も……」


「お前、彼女にまだ先輩呼びなんかい!」


「悪いかよ!」


「悪くないけど、遅っって思って」


「お前らが進み過ぎて」


「るのは理解してます。してます。その上で俺でもお前の恋愛は進まなさすぎてると思うんだよ。」


「そんなことな」


「ある。だからこの場に香織と百舌鳥先輩を呼ぶ。」


「何でそれにつながるんだよ!」


「お前が俺に隠し事してたこと、プラスお前が俺らの恋路をネタにしてたと思ったからだよ。」


「そんな………べ、別にネタにしてないから……」


「進藤。」


「へ?」


「これは俺の物語じゃねーんだよ。」


「は?」


「人間は60億人。それぞれ自分の世界、自分の物語を持つんだよ。」


「は、はぁ?」


「つまりこれはお前の物語でもあるんだよ。……ってことで百舌鳥先輩呼ぶなぁ~?」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと!」


「大丈夫だって。上手く料理するから」


「ニコじゃねーんだよ!ちょっと待て!」


ライムのスピードの方が進藤の止めより先だった。

さぁ。新たな問題の始まりだ。

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