第64話 180度違う人間が目の前にいたらビビる。
「晃太さんは鉄追の鬼って聞いたことありますか?」
「鉄追………鬼?何ですか?何かのゲームのキャラとかですか?」
「いえ、ゲームではなく現実に存在する、いや今となれば存在したと言えばいいのかな、存在です。」
「うん?」
晃太は話がよく分からない……
「それが生徒会長さんと先輩の出会いに何の関係が………」
「その鉄追の鬼こそが
私、五十嵐 忍なんです。」
「………うん?」
今なんて?
「私恥ずかしい話ですが………中学時代荒れておりまして売られた喧嘩を全部かっていたらそんな異名がつきまして」
「ちょっと待ってください!鉄追の鬼っすよね?鉄追の………まさか……不良グループ一つをぶっ潰したって噂が流れてた……あの」
「あ、あれ私です。」
「………」
晃太は昔に流れたちょっとした都市伝説を思い出した。
たった一つのバットと野球ボールだけで数百人いる不良グループを壊滅させた人間がいると。でもこれはただでさえ目撃者が少なく、また壊滅したグループの人が誰一人として話をしないことから嘘なんだろう。と思われていたが………
「本当ですか?」
「本当です。」
にこやかに笑顔をむける元鬼。
「てか先輩………メガネは……」
「あぁ~。あれ伊達なんです。素顔を見られてもし鬼だと知られたら嫌だからですね。まぁ、住んでいた場所からかなり離れた場所にこの高校はあるので知ってる、噂は流れていても顔まで知ってる人は少ないと思うんですけどね?あとピアスもバチバチに空いてましたし髪色も金髪で今とは少し違うので気付かれることは少ないと思いますがね。アハハ。」
「………………」
いや、アハハじゃない。口の中に特大のおにぎり入れられてまだまだ咀嚼しきれない。咀嚼することができない。まだモグモグしてるところだ。
てか昔話を聞く上で一番最初に聞かないといけないことがあるな。
「先輩………」
「さっきから先輩先輩っていうけど普通に忍でいいですよ?」
「いや………それは……」
「大丈夫ですよ!私たちは夫仲間なんですから。」
「夫仲間………それ無しにしましょ?」
「いや、アリスが言っていたので。私たちは夫仲間です。」
「……………」
普通のくくりでいたいんだけど………
「まぁ、とりあえずそれは置いといて……え~忍さん。」
「忍でかなわないのに………」
「じゃ、じゃあ忍?」
「はい!何ですか?晃太?」
なんだろう。ドキドキする。新しい友達にドキドキしてるのか?それとも鬼(元)に怖さがあるのか?
「一番聞きたいこと聞くけど………」
「はい!」
「あの………何でそんなヤンキーだった忍が生徒会なんかに入ったの?」
「あ~、それ気になります?」
「……………」
無言で返したが当たり前だろと思う。元伝説のヤンキーが今となれば生徒会の副会長って180度にもほどがある。
「え~、ちょっと長くなるけど大丈夫ですか?」
「大丈夫です。多分一言で話すとか無理だろうと思うんで………」
「う~ん、じゃあどこから話すか………」
お茶を一口飲み喉を潤してから忍は話しはじめた。
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