第57話 人には色々価値観というものがあるがあまりにかけ離れたモノだと同じ人間だと思えない。
「プリクラ………とっても奥が深いモノだったね。」
「そ、そうですね………あ、はい………そうですね。」
「これ………シールになってるんだ?」
「ホントですね………」
「これ、どこに貼る?」
「いや。せっかく会長との写真ですので大切に保管しておきま」
「携帯に貼ろう。」
「はい?」
「け、携帯に貼り付けよう!」
「会長………それは流石に………」
「会長じゃない!アリス!でこれは生徒会長命令だから!守らないといけない!」
「で、ですが………」
「せ、生徒会長の言うことが聞けないの?」
「…………わ、わ、わかりました。貼り付けます………ではどれを……?」
「う~ん…………じゃあこれに………」
「うんうん!いい感じだね!アリスもこの時間で少しずつ進化していってるね!押しが強くなってる!」
「………」
「いい感じ!いい感じ!次は……あれだね!ライムで指示しなきゃ……」
「おい。バカ。」
「え~と、アリスアリス……」
「おい。バカ。」
「あ、アリスあった!百合姫って名前難しいんだよ」
「おい!バカっ!」
「うぉ!ビックリした!どうしたの?晃太くん?」
「反応をしろよ!」
「え?バカって私のことっ?」
「それ以外誰がいるんだよ!プリクラの筐体の中でビリビリバット振り回すヤツが何普通に喋ってるんだよ!」
「それは晃太くんが私の指示を無理矢理変えたから!仕方ない!殺るしかなかったんだよ。」
「やるが殺るになってねーだろうな?」
「まさか♪」
「………」
ジーっと睨みつける晃太。
「あ、そうだ!私たちもプリクラ貼るよ!どれにする?」
「1枚目か2枚目で」
「3番目とか面白いよ?ビリビリバットの威力に完全敗北してる感じが最高に面白いよ?」
「面白さで恥を貼れるか。2枚目!2枚目!2枚目貼る!」
「じゃあ2枚目ね?」
このバックハグの写真がスマホに貼られることが恥と思わなくなった時点で俺は終わってるんだなぁと思った。
「さ!じゃあライムで指示を………」
「忍!」
「あ、は、はい。どうしましたか?いきなり大きな声を出して……?」
「お、お、お。」
「お?」
「お弁当食べない?お腹空いてない?」
場所をテラスに変えた2人(同行者2人)
テラスの端の椅子に座り忍先輩とアリスさんを見つめる。
「じゃ、じゃあーん。わ、私がつくりまし……た………」
「……………」
「朝から準備したんだよ?だからた、食べて?」
「い、い、嫌………これはムリですよ。会長。」
「会長じゃない!アリス!でこれは生徒会長命令!」
毎回言うこの台詞。やっぱりどっか変、というか矛盾してるから。
「な、な、なんで………?」
「私に会長の作ったお弁当を食べる権利なんてないですよ。」
「い、いや………忍のために作ったんだから………」
「それもダメですよ。私なんかのために作るなんて………私以外にもいい人はたくさん………」
ポロ。
少女の目から涙が一筋落ちてきた。
それは卑怯だとも思われる行為だったがアリスさんは感情を出しながら話す。
「せっかく………忍のためを思って作ったのに………」
「で、ですが……私にはそんな資格は………」
「食べられないんだ………私のお弁当……ならこんなモノ!」
「あ、あ!わ、わ、わかりました!食べます!食べさせていただきます!」
捨てようとしたアリスさんのお弁当からハンバーグを掴み取り口へと運ぶ忍先輩。
「お、お、美味しいです。会長、美味しいです。」
「ホントに?」
涙が流れながら彼女は聞く。
「ホントです!」
「じゃあ………隠し味分かる?」
「か、隠し味ですか?」
「うん。隠し味。」
「あまり料理には成通してないのでよくわからないですね……一体何が……」
「私の唾液。」
「「え?」」
おい。今何て言った?唾液?唾液って言った?
「他のモノにも私の毛や爪、涙とか色々入れてあるから!」
一気に笑顔の彼女。
いや………ちょっと待てよ………
晃太は横で絶賛ピース中の香織にチョップをいれる。
「ブイじゃねーよ!バカじゃねーの?」
「やっぱり私式といえばこれは欠かせないからね!」
「ふざけんな!見ろ!忍先輩の顔!絶対引いたって!」
今まではカバー出来てきたけど今回はムリ…
これでデート作戦もしっぱ
「ありがとうございます。」
しっぱい………え?今忍先輩なんて?
「ありがとうございます。そんな自分の身をきる覚悟で作っていただいたお弁当。一粒残さず食べさせていただきます。」
そう言って箸を進め………
嘘だろ………
完食したけど………?
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