学園1の美少女が実は生活力0でした!〜お世話をしている内に「もうアナタなしでは生きていけません」と言われた件〜
腹ペこ。
学園1の美少女の正体
俺の名前は
「みなさん、おはようございます」
教室の戸をガラリと開け、長い銀髪をなびかせた色白の少女が入室する。
その瞳の色は
名を“
「わー、アリサちゃんだー!」
「おはよー!」
「今日も可愛いなー!」
「今日もお美しいですわ……」
「相変わらず胸デケェな!」
アリサは、クラスのみんなの歓声に包まれている。
「やべぇ! アリサちゃんと目が合った! 絶対俺のこと好きだろ!?」
「ばーか、お前振られてんじゃん」
「お前もなー」
彼女は俺が2年生になった際、海外からこの学園に転入してきた。
その初日に、告白待ちの
「ボクも告白したけど、昨日フラれたよ……」
「後、このクラスで振られてないのは、ミナトと“たかし”だけかよ」
「クククッ、貴様は告白せんのか? 我が盟友よ」
クラスメイトの友人である、“
「ばーか、告白しなくても、結果は分かりきってるだろ?」
「クハハハハハ! よかろう、ならば我と共に
「へいへい……」
オレはたかしの中二病を適当に流しつつ席に着く。
「早乙女さん、ちょっといいかな?」
教室の戸を開けてアリサを呼んだのは、Bクラスのサッカー部のエース、
「……何ですか?」
「早乙女さん、俺と付き合いなよ?」
急な告白にクラスがざわつく。
「おいおい、いきなり告白かよ!」
「大胆すぎる……モテる男の自信ってヤツか……」
「きゃあああ! スグルくんよぉ!」
「ああ、なんてかっこいいの……」
「これは
そしてアリサは口を開く。
「──だれですか?」
クラスが一瞬で凍りつく。
「は? 俺だぜ? みんなのスグルちゃんだぜ? 知らん訳がなかろう?」
「知りませんし、お付き合いもしませんから、もうクラスに帰ってはいかがです?」
その瞳は、凍りつくような冷徹さと無慈悲さを秘めていた。
「うわあああああああああん! みんなのスグルちゃんなのにぃぃぃぃ!」
みんなのスグルちゃんは、泣きながら走り去って行った。うわぁ、好きな人にあんな振られ方されたら、俺でも泣くわ。南無。
「ひゃああ、容赦ねぇな、さすがだぜ……」
「あの視線がクセになるんよ」
「ふぅ……たまんねぇな」
アリサはスタスタと俺の席の隣座る。そう、俺とアリサは隣同士の席なのだ。
「おはようございます、
「おはよう、早乙女さん」
イスに座って
俺なんかとは住む世界が違いすぎる。誰が告白するってんだ、この
「へっくち!」
突然、アリサは可愛いくしゃみをした。くしゃみまで可愛いのか……。よくみれば顔全体がほんのりと赤い気がする。
「早乙女さん、風邪かな? 帰ったらゆっくり休みなよ?」
「はい、ありがとうございま……へくち!」
♢
放課後に俺は軽く友人と雑談し、帰宅する。
途中にある公園をふと見ると、そこには見覚えのある女の子がベンチに座っていた。
「早乙女さん……? 公園で何やってるんだ……?」
まぁいいやと思い、帰ろうとした瞬間──
ドサッと言う鈍い音が聞こえた。
「……え?」
音がした方に振り向くと、ベンチに座っていたアリサが横倒れになっていた。
「お、おいおい!」
俺は急いでアリサの元に駆けつける。
「早乙女さん、大丈夫!?」
「……ん?
「待ってて、今救急車を!」
俺はポケットからスマホを取り出すと──
「え?」
アリサがその手を制止した。
「だ、大丈夫……ですから」
フラフラとアリサは起き上がる。
「お、おいおい……」
俺はその様子を近くで見ていたが──
「あっ……」
彼女はまたフラッと倒れそうになる。
「……っと、大丈夫か?」
俺はなんとかアリサを支える事に成功する。
「やっぱり、救急車を……」
「それだけはやめて下さい!」
「っ!?」
いきなり強い口調で言われてビクッとした。
なんでそんなに嫌がるんだ? 単に恥ずかしいとか、迷惑をかけたくないとかか? 仕方ないな……。
「分かったよ。なら──よっと!」
「……え?」
俺は彼女をお姫様抱っこした。
「きゃああ! な、なにやってるんですか?
「何って……。救急車を呼べないなら俺が運ぶしかないだろ?」
「悪いですよ。私、重いですし……」
「ふふっ、どこがだよ」
彼女は思った以上に軽かった。ちゃんと飯食ってんのか心配になるレベル。
「そう……ですか?」
「そうそう。だから遠慮しなくていいよ。すぐ近くの同じマンションだしさ、手間は大して変わんないさ」
俺とアリサは同じマンションに暮らしている。最も俺は一階で、彼女は最上階に住んでいるのだが……。
「
「クラスメイトがこんな状況なら、放っては置けないって」
彼女は少し考え込んだ後、
「じゃあ、お願いしても……いいですか?」
と俺の提案を受け入れた。
「オーケー」
俺は羽のように軽い彼女を抱えて、マンションへと向かった。
♢
マンションの最上階にあるアリサの部屋の前に到着した俺は、アリサをゆっくりと降ろす。
「到着したよ。何かあったら、すぐに誰かに連絡した方がいいよ」
「ありがとうございます。このお礼は必ず返します」
そして彼女はフラフラとした足取りで部屋へと入っていった。
「ほんとに大丈夫かな……」
──ドシャア!
アリサの部屋の中から、鈍い倒れた音がした。
「くっ、やっぱりヤバいじゃねーか!」
俺は無我夢中でドアノブを回し、中へと入る。どうやら、まだ鍵はかかってないようで助かった。
「……へ?」
そこで俺が見たモノとは──
「きゃあああああああ! 見ないで下さい!」
辺り一面、ゴミだらけの部屋だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます