まわるまわるゆめのつづきは

ことり

サヨナラの前でいつかまた

あいつの人生は面白かったですか。

あいつはちゃんと不幸せでしたか。


もしも誰かが誰かに手紙を届けてくれるのなら

その二言だけ書かせてほしい。教えてほしい。


だってあいつに言うことなんて何も無い。

あいつに、言葉はもう要らない。

夢に殺されたあいつへの花束なんか、

こんなところに置いていきやがったあいつなんか、

不幸にまみれたフリージアぐらいがちょうどいい。


翼を無理に動かしたから、

半分だけの才能があったから、

見えない蜃気楼に手を伸ばしたから、

とうとうあいつは征ってしまった。


何気なく手を見る。剥がれて、曲がって、痛くて。

何よりも綺麗なのが、拭えない汚れの証明だ。


手にあるのはポケットの小銭で買える才能と

油でも差さなきゃ動いてくれそうもない翼と

あいつが心にねじ込んだしょうもない夢。


どうしたって同じ穴のムジナだったのだろう。

運命共同体なんて綺麗な言葉には荷が重い。

どう足掻いたってこの夢に追いつけない、追い越せない、そんな2人だったのだ。


這い出ようと足掻いた結果死んだのが

あっちだっただけ。

ここで骨を埋めようと諦めた振りをして

殺したのはこっちだっただけ。


そして、きっと次は。


もしもそうなら、

まぁなんと滑稽な昔話でしょうか。

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