第17話:Kick it out!

 お市婆さんの屋敷は、カナダインの私設警察の〝取り締まり〟という名目の攻撃を受けていた。


 だがお市婆さんの人徳は私設警察の攻撃を圧倒していた。地元警察からの〝好意〟の情報提供を受け、近隣の多数の農家や住民が武器を持って集まり、万全の準備で私設警察の攻撃を迎え撃つ用意をしていた。


 さらに謎の勢力までもが加勢に加わり、私設警察の消耗は予想以上だった。劣勢に立たされた取り締まり指揮官のオーガは青い顔で知事に無線を入れる。


「知事、申し訳ありません! 予想以上の抵抗を受けて苦戦中です!」

『わかったよー今そっちに強力な援軍と一緒に向かっているからさー、もう少し待ってなよー。あ、キミ、僕が着くまでに状況が好転してなかったら、死刑ねー』


 そこで、ブツッと無線が切れる。青い顔がさらに青くなり、濃紺の顔になった指揮官は自分の銃を抜いて立ち上がる。


「た、隊長?」

「てめえら、根性見せろ! 逃げたり、おじけづいた奴はオレがぶっ殺す!」

「ヒ、ヒイイイイイイ!」


 取り締まり部隊は最後の意地を見せ始め、攻撃は激しさを増す。


  ◇


「お市さん、連中の攻撃が激しくなった!」


 自警団の一人が声を掛ける。


「あんたら、いざとなったら逃げな。こんなことで命を落とすんじゃないよ」


 杖をついたまま、お市婆さんは落ち着いた声で返す。


「なに言ってんのさ、婆さんはこの不自由な世界の光なんだ……逃げるんなら婆さん、あんたが先だ」

「冗談じゃないよ、死ぬのは年寄りが先さ」


 そう言ってお市婆さんは、自分の右に立つ人物を一瞥する。


「しかし……まさかアンタが加勢してくれるとは夢にも思わなかったよ」


 お市婆さんの視線の先には、いつものおしゃれなスーツを戦闘用ユニフォームに着替えたガゾローニ・モリムラ社長が立っている。加勢に加わった謎の集団は、モリムラ社長の手勢だったのだ。


「金儲けにしか、興味が無いと思っていたけどね」

「なめるな、クソばばあ。うまい米が無きゃあ、うまいスシが出来ねえ。ただそれだけだ」


 モリムラ社長はニヤッと笑いながら、お市婆さんを一瞥する。口ではキツイことを言っていても、お互いを見つめる視線は、お互いを十分に理解しあった者同士のそれだ。


「あんたもよく手配してくれたね、有難うよ」


 お市婆さんの左前には、防弾ヘルメットと防弾チョッキ、防弾のポリカーボネイトの盾で完全防護した〝コーディネーター〟が立っている。


「私だって、大事なお得意様を失うワケにはいきませんから」


 〝コーディネーター〟の防護用品はもちろん自分の為もあるが、もっぱらお市婆さんを守るために用意したものだ。〝コーディネーター〟はお市婆さんの前に立ちふさがり、飛んでくる流れ弾を必死に防いでいた。お市婆さんの支援者たちの武器や、モリムラ社長の応援を手配したのも、もちろん〝コーディネーター〟の手腕によるものだ。


 お市婆さんは満足げにニヤッと笑うと、スクッと腰を伸ばし叫ぶ。


「みんな、気を抜くんじゃない! 金の事しか頭にない連中なんぞに負けるんじゃないよ!」

「オオーッ!」


 お市婆さんの支援者たちの抵抗も激しさを増し、再び戦いは激化していた。


  ◇


「お金になるなら~なんでもするよ~だってお金は~何でもできる~♪」


 自分自身が作詞・作曲したお気に入りの歌を口ずさみながらカナダインは、なんと戦車に乗ってお市婆さんの家に向かっていた。


 戦車と云っても相手が民間人なので強力な戦車砲は必要なく、カナダインは隣の国の博物館から買い付けた、40ミリ連装対空機関砲を装備する旧アメリカ軍保有のM42〝ダスター〟自走高射機関砲に乗ってきていた。


 40ミリ機関砲ともなれば個人が携行する機関銃など豆鉄砲にしか思えないほど遥かに強力で、ひとたび二本の砲身から砲弾が吐き出されることになれば、人間はおろかちょっとした装甲車両や建築物でも紙のように切り裂かれてしまうことだろう。かかった金はもったいないが、誰もが恐れおののく力がなければ、逆に金は簡単に手からこぼれ落ちてしまう事をカナダインは知っていた。


「今後、ボクに歯向かうものが出てこないよう、あのバアさんは粉みじんにしてやる……ヘッヘッヘッヘッヘ」


 カナダインは醜い笑みを浮かべた。


  ◇


 〝ドライバー〟とメリージェーンの乗ったGTRは、一路お市婆さんの屋敷に向かって爆走中である。


「〝ドライバー〟!」


 メリージェーンが叫ぶのを聞いて、〝ドライバー〟が前方を見ると検問が見える。周囲に居るのは私設警察の連中ではなく、一般の警察官のようだ。


「なるほど……私設警察の連中がやり易いように、周囲に規制線を張ったか」


 〝ドライバー〟としては、一般の警察官たちとはやり合いたくはない。確かにカナダインの部下ではあるが、彼らは悪事に関わっているわけではないからだ。


 だが、お市婆さんのところに向かっている限り、この検問は突破する以外にない。意を決した〝ドライバー〟は一戦交えるためにルガーを抜くが、目の前で不思議な現象が起こった。警官たちがバリケード代わりの鎧竜をどかし、スパイクベルト(=タイヤをバーストさせる道具)も仕舞ってしまう。その上こちらに向かって敬礼をしている。


 〝ドライバー〟がまじまじと眺めると、そこに居る警官たちはデクマダウン・トオカマチ署の警官たちではないか! その中にはあのアンドレ・ザ・ビッグホーン隊長までも含まれている。


「アイリーン達の差し金か……あいつら……」


 そう、アイリーン達はデクマダウン・トオカマチ署の警官たちに無線で『そちらにもし黒いGTRが行ったら、それはワインディングロードのマスターの関係者なので道を開けるように』と伝えておいたのだ。お市婆さんのところへ向かうならば、デクマダウン・トオカマチ署管内を通ると見越しての配慮だった。GTRは、バリケードの隙間を通り抜ける。


「ありがとう、助かるよ!」

「あんたらの心意気、確かに受け取ったぜ!」

「「「ごちそうさまでした!」」」


 バリケードの周囲の警官たちは、笑顔で〝ドライバー〟に挨拶を返す。無事バリケードを抜け、加速していくGTRを眺めながら、アンドレ隊長はポツンと呟く。


「〝ソーサラー〟ちゃんも可愛いが……今の助手席の女の子も可愛いじゃねえか……」

「……隊長、懲りないっすね」


 部下たちはあきれ顔を気にもせず、アンドレ隊長はいつまでもGTRのリアビューを見つめていた。


   ◇


「『ごちそうさまでした』? いったい何の挨拶だ?」


 メリージェーンが不思議そうな顔で尋ねてくる。


「帰ったら、ゆっくり教えてやるよ……おい見ろ、なんだありゃあ?」

「せ・戦車? たかが闇米の取り締まりになんてモノを持ち出すんだ! ……あ・あれ、砲塔に乗っているのは州知事のカナダインじゃねえか!」

「生かして帰す気がないんだろうさ、あいつは」


 〝ドライバー〟は300mほど離れた場所で停車すると、クラクションを立て続けに鳴らす。


「んー? 何の音―? 停車してー」


 カナダインは停車したM42の砲塔の上に立つと、後ろを見る。


「なに―あの車―?」カナダインの問いに、照準手が立ち上がって双眼鏡で眺める。

「……〝ロードランナー〟みたいですぜ、知事」

「〝ロードランナー〟? 運び屋ふぜいが、何しにこんなところへー?」


 双眼鏡を覗いていた照準手が、頭をひねって考えている。


「あの車……あの〝ドライバー〟……どこかで見た覚えが……」

「……マイクを貸してー」


 知事は怪訝な顔で少し考えていたが、乗員からマイクを受け取って立ち上がった。


「なにー、〝ロードランナー〟君―。わざわざ、僕のお米を返しに来てくれたのー?」


 だが、〝ロードランナー〟は助手席に居る女と顔を合わせて『ククク』と笑い合ったあと、窓から顔を出して知事に向かって声を張り上げた。


「お前さんに返す米なんざ!」

「一粒もないね!」

「そうですか、そうですか……じゃあ、それ相応の罰を受けてもらうしかないよねー」

「知事、到着が遅れますよ?」

「行きがけの駄賃だよー。あんな車の一台なんか、あっという間に木っ端みじんさー……砲塔をあの車に向けてー」


 M42ダスターの砲塔が、『ウィーン』と音を立てて回っていく。


「〝ドライバー〟、奴はやる気だぞ!」

「……芽里、ちょっと本気出せ」

「……いいんですか?」

「ああ。ただし〝命〟は喰うなよ」

「はーい、努力します! あ、ジェーンさんも手伝ってくださいね?」

「な、何をするんだ?」

「大したことじゃありませんよ、『食べる』だけです」

「ミストラル、あんたは降りろ」

「何でですの? わたくしも参加したいわ」

「あんたの魔力まで加わったら、この辺一帯、灰になっちまうからな」


 ミストラルはしぶしぶ体をひねって、後部座席から降りる。


 〝四人〟がGTRの中でガヤガヤ騒いでいるうちに、M42の砲塔は回転を終了させていた。砲身が水平より下に傾き、砲身の両側に備わった蜘蛛の巣のような照準器はその真ん中にGTRを捉える。


「覚悟はいいかいー? ボクは〝コンボイ〟のライル・ウォーレス保安官と違って、機関銃で済ませてなんかあげないからねー?」


 カナダインの呟きが聞こえるわけもないが、〝ドライバー〟、とメリージェーンは同時にニヤリと笑う。


「向こうは準備OKみたいですよ、〝ドライバー〟」

「おいおい、何が始まるんだ、メリー?」


 メリージェーンはまた一人ボケツッコミで尋ねる。


「まあ、黙って乗っていればわかりますよ、ジェーンさん」

「それじゃ行くか?」

「行きましょう!」


 GTRはホイールスピンで派手な白煙を上げ、M42に向けて突進した。


 その後姿を眺めながら、ミストラルはつぶやく。


「うふふふ……芽里、いつか本気になった貴女がわたくしを〝喰って〟しまう日を楽しみにしていますわ……そのあと残るのはあなたの能力を持ったわたくしかしら? それとも、わたくしの力を吸収したあなたかしら? 楽しみだわ……ふふふふふ」


「馬鹿めがー! 真っ直ぐ突っ込んで来やがる!」


 だがカナダインが叫ぶ前に、GTRには変化が起きていた。助手席のメリージェーンの体から黒い霧が滲み出てくるはず……だったが、滲み出て来たのは金色の霧だった。


「……な・なんですか、これ?……そうか、ジェーンさんの力が加わると、こんな風になるんですね!」

「な、何を言っているのだ、メリー! これは一体何なのだ!」


 GTRを金色の光が包み、全てが金一色に変わる。GTRは今、一発の金色の弾丸となってM42に突っ込んでいく。


「撃て!」


 カナダインの号令一下、二門の40ミリ機関砲が火を噴く。一発で軽装甲車の装甲板も貫通する弾丸が、耳をつんざくような発射音とガラガラと音を立てて落下する空薬莢の音と共に大挙してGTRに襲い掛かる。


 だが、信じられないことに、物理保護魔法すら引き裂く40ミリ機関砲弾は、GTRの周囲を包む金色の霧に触れた瞬間、かき消えてしまった。


「な・なに、あれー? もっと撃って! 撃ってちょうだい!」


 弾倉を交換し、さらなる40ミリ砲弾がGTRを襲うが、結果はまったく変わらない。砲弾はやはりGTRに届く寸前に、かき消されてしまう。


「な・なにーこ・これー!」


 唖然とするカナダインの横で、照準手が悲鳴を上げる。


「ま、まさか! あの車、ボンネットのキスマーク……まさかあれはあの時の! 〝ワールド・イーター〟なのか!」


 ナイラグル・ニイガタ基地でバロンズの元部下だった照準手の悲鳴は、カナダインに届いていなかった。カナダインは目の前に展開する光景を、ただ唖然として見つめるだけだ。カナダインの目には、金色の光の中にあるのは車ではなかった。一人の少女と一体のエルフが跨ったケンタウロスが、金色の光を纏って突進してくるのが見える。


「来るな、来るなぁぁぁぁぁぁ!」


 そしてついに、金色の弾丸と化したGTRはカナダインが乗るM42戦車に激突した。


  ◇


 お市婆さんをめぐる攻防は、膠着状態に陥っていた。お市婆さん側も私設警察側も決め手に欠け、お互い身動きが取れなくなっていた。どちらもが膠着を破るために攻勢に出るか出まいか迷っているさ中、車のエンジン音が轟いてきた。私設警察の連中が振り返ると、〝ドライバー〟のGTRが走ってくるのが見え、私設警察の後方100m付近に停車する。お市婆さんの支持者や私設警察の連中が見つめる中、GTRから〝ドライバー〟とメリージェーン、ミストラルが降りてきた。〝ドライバー〟が声を張り上げる。

「カナダインは来ないぞ!」

「な・なんだって?」


 私設警察の連中に動揺が広がる間に、メリージェーンはその動揺を絶望に変える物をスカハコから引っ張り出す。それはM42に搭載されていた40mm機関砲の一部だった。


 しかしそれは、どうすればそんな形になるのか見当もつかないほど異様な姿に変わり果てていた。ボフォース社が真っ直ぐに鍛え上げた砲身は、醜くストローのように曲がり、堅牢なはずの機関部は虫が喰ったように穴が開いたり大きく欠けていた。それはまるで『一回食べたものを、無理に吐き出した』かのようだ。


「そらよ!」


 メリージェーンは既に機能を失い、ただの鉄クズと化したものを、まるで木の棒を投げるように片手で放り投げる。


「わわわわわわ!」


 私設警察の連中が悲鳴をあげて逃げまどう道路の真ん中に、轟音をたてて突き刺さった機関砲の無様な姿は『もしこれ以上抵抗したら、自分たちはどうなるか』を端的に示していた。


 〝ガチャ〟私設警察の誰か一人が、銃を落として手を挙げた。〝ガチャ……ガチャガチャ……ガチャガチャガチャ〟やがてその動きは広がって、ついには私設警察全員が降伏していた。


「やったな、相棒!」

「おおよ、相棒」


 ドライバー〟が右手を挙げると、メリージェーンはその右手を力強く叩く。ミストラルには、二人の笑顔はもう何年もコンビを組んだバディのそれに見えた。


  ◇


 真っ裸のカナダインが、同じように真っ裸のオーク・ゴブリンたち四匹と一緒に大の字になって、真夏の太陽に照らされた道路に転がっている。


『世の中には、けっして手を出してはいけない相手が居るんだ……』


 それを思い知らされたカナダインは、真夏の太陽の下では感じるはずのない寒気に震え上がっていた。


  ◇


「もう行くのかい?」


 私設警察の連中が、次々と武装解除で真っ裸にされて放り出されていくのを見ながら、お市婆さんは〝ドライバー〟に話しかける。


「ああ、〝別荘〟で何日かゆっくりしちまったからな……」

「〝別荘〟? 〝ドライバー〟、いつ別荘なんて行ってたんだ? そもそもそんなところがあるなんて聞いてないぞ?」

「いや、そう言う意味じゃなくてだな……」


 〝ドライバー〟が説明に四苦八苦していると、お市婆さんがツッコミを入れる。


「ところでこの娘はなんだい? あんた、また新しい女に手を出したんじゃないだろうね?」

「エエッ? 〝ドライバー〟、本当にそんな女ったらしだったんですか!?」


 お市婆さんのセリフに、メリージェーンは素早く反応する。


「お、お市婆さん……」

「ええ、〝ドライバー〟ときたら〝別荘〟に居る間、わたくしだけでなくいたいけな少女にまで手籠めにして……」

「ミストラル、これ以上ややこしくするな!」

「この、女の敵め!」


 メリージェーンは〝ドライバー〟の頬を叩こうとするが、〝ドライバー〟はひょいとしゃがんで躱すと、そのままメリージェーンを担ぎ上げた。


「この女の敵め! 絶交です! 絶対絶交です!」

「不義密通の罪で、逮捕だ! タイホ!」

「イテテテテ、やめろ、二人とも!」

「じゃ・じゃあ、そういうわけでお市婆さん、そろそろ俺たちは……」


 〝ドライバー〟が誤魔化して逃げようとした瞬間、飛び上がったお市婆さんの杖が目にも止まらぬスピードと角度で、熟練した剣道の達人のような二連撃繰り出す。


「「「おおおー」」」


 お市婆さんの離れ業にモリムラ社長や〝コーディネーター〟を含め、周囲の人間がどよめく中、〝ドライバー〟はゆっくりと道路に倒れ込んでいく。


「お・お市おばあちゃん?」

「あんたの代わりにお仕置きしといたからね。〝ドライバー〟、〝ソーサラー〟を泣かせたら、承知しないよ」

「わかりました……申し訳ありません」


 〝ドライバー〟は頭をさすりながら立ち上がると。お市婆さんとメリージェーンに頭を下げた。


  ◇


「お市おばあちゃーん、また来るぜー!」


 メリージェーンが、全開にしたGTRの助手席の窓から身を乗り出して、手を振る。〝ドライバー〟はお市婆さんとその支援者たちが手を振り返している姿が、バックミラーの中で小さくなっていくのを眺めながら笑みを浮かべていた。メリージェーンも満足したのか、助手席に身を戻す。


 ひと仕事終えた後の余韻かそれとも疲れからか、〝ドライバー〟とメリージェーンの間に沈黙が流れる。静寂を破ったのは、〝ドライバー〟だった。


「今回は助かった……恩に着るぜ」

「何言ってるんですか! 相棒ですから、当然じゃないですか!」

「わ、私は違うぞ! 『義を見てせざるは勇無きなり』と言ってだな!」

「わたくしも、今回は随分と骨を折りましたわ」

「「「お前は暴れに来ただけだろう!!!」」」

「せっかく駆け付けたというのに、冷遇されてますわ!」


 ミストラルはふくれっ面をして、なげやりにGTRの後部座席に横たわる。


「〝ドライバー〟、感謝しているなら、誠意を見せてください! ……そうですねぇ、今週一週間のお昼オゴリならいいです。あ、その中に必ずワインディングロード特製の生姜焼き定食を、二回は入れてください!」

「わたくしも! わたくしも奢って頂きたいわ!」

「私もそれには賛成だ! あと、アラモ・マシン・アンド・ツールスのツケを払ってもらおうか!」

「ジェーンちゃん、意外にガメツイな……それなら絶交とタイホの方が良いよ、オレ」

「本当に絶交していいんですか? 泣きますよ! お市おばあちゃん、呼んじゃいますよ!」

「そうだ! 本当に逮捕していいのか! 一生ブタ箱入りにしてやるぞ! それでも良いのか!」

「二人とも、本当に怖いな」

「「もちろんだ!」」

「やってらんねぇ」


 〝ドライバー〟は呆れたように皮肉っぽい笑顔を浮かべ、メリージェーンを見る。

そんな〝ドライバー〟に向けて、メリージェーンはいたずらっぽい笑顔を返す。


「「約束を守らないと、絶対に許さないからな!」」


 〝四人〟を乗せたGTRは、のどかな田園風景の中をのんびりとエスサァリイ・トウキョウに向けて走っていった。

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