vtuberの中の姉妹

激 辛

妹視点

 

【神奈って地味だよね。ゲームばかりで】


【私、オタクが、目の前でゲーム壊されたどんなリアクションするかずっと見たかったんだよね】


 



ーーーーーー

 お姉ちゃんはいつも私に優しくて、貧しい私の家を支えてくれて居た。


 ある日お姉ちゃんは急にこんなことを言い出した。


 「お姉ちゃん、彼氏と別れた」


「はぁ??」


思わず声が出た。


 お姉ちゃんと彼氏さんは小さい頃からの幼馴染で凄く仲が良かった。別れたとか全く信じられない。


 つか、それなら、私が諦め意味は



    

ーーーー


 別れたと言い出してから一ヶ月、お姉ちゃんはvtuberを始めた。


 徐々に人気を出し、今ではすっかり有名な配信者になってキャラを確立した。



 そして、私はずっと分からなかった、お姉ちゃんが別れた理由がなんとなくわかり、お姉ちゃんにそのことを聞いてみた


 「お姉ちゃんは、優くんのことはいいの。だって恋愛をしてないって視聴さんにも言ってるし、それにね・・・視聴さんだって大好きだから」


 お姉ちゃんは笑顔でそう私に返した。


 だけど私には分からない。お姉ちゃんは今までvtuberなんて一切興味が無かった。なぜ急に??



ーーーーーーー


 「あはは、また負けたー!!」


「えっ、下手過ぎって??それは褒め言葉かな??」


お姉ちゃんはゲームが大の苦手で


 「何、君も妹さん居るの??えっどんなどんな??」


「へぇー、良いじゃん!!私の妹はね」



大のシスコンキャラとして定着した。


ーーーーーーー


 

 「お姉ちゃん、」


「何??」


「恥ずかしいから辞めてよ、シスコンキャラ」


「えっ、良いじゃん!!好きなんだし」


「でも、話題出されると恥ずかしいよ」


「・・・私はね、好きなことに好きって言いたいだけだよ」


お姉ちゃんは笑顔でそう、私に返す。

 けど分かるこの笑顔は我慢してる顔だ。


「・・・言えてないじゃん!!」


「・・・っ」


「本当は優先輩のこと好きだっんでしょ!!おかしいよ!!こんな急にvtuberやるって言い出して!」


「・・・神奈(妹)」


「何??」


「そんな怒った顔をすると、可愛い顔が台無しだぞ!!」

お姉ちゃんは誤魔化すように顔を触る。


「誤魔化さないで!!」


「やっぱ、怒った顔も可愛いかも」


「もう!!いいから!!それより」


「あ、そろそろ配信始まるからあとでね」


いつもこうやって誤魔化さられる。

ーーーーー

 

 お姉ちゃんの配信を見るとお姉ちゃんは(顔はモデルだけど)楽しそうではあるんだよなぁ。


 でも、やっぱり別れたのが私には理解できない。


 お姉ちゃんには幸せになって欲しいし














ーーーー


 過去編


 お父さんとお母さんはよく喧嘩をする。私達が誕生日の時でも、旅行の時でも、平気で喧嘩をする。


 そして、深夜遅くまで叫び声を上げて、喧嘩をするから私達はいつも眠れないでいた。


 でもお姉ちゃんはそんな時


 「大丈夫、私が耳を塞いであげるからね」


お姉ちゃんはいつも優しくて、こうやって眠れない時は私を安心させるように包み、うるさい音を聞こえないようにしてくれた。


 いつも喧嘩する両親は大嫌いだったけど、私のこと思ってくれるお姉ちゃんは大好きだった。

ーーーー


 ある日、お姉ちゃんは仲のいい男の友達が出来た。


 人見知りの激しい私はその人に警戒して居たけど、お姉ちゃんが私とその男の子を仲良く出来るように上手く会話を繋げてくれた。




 男の子は私達姉妹をとても大切に思ってくれて、私達の両親が喧嘩をすること心配してくれた。男の子は親に頼み、そして私達両親にも頼み、両親が喧嘩する時はその男の子の家に泊まらせて貰うことになった。



 そうやって何回も泊まりを繰り返すうちに私達の関係は強くなった。


ーーーーーー













 















ーーーーー

 私は最近学校に行ってない、虐められるから。もう将来やりたいこととかは特にない。


 でももし、良いなら優先輩と付き合って、お姉ちゃんとずっと居られたらと思っている。




 やっぱりそれでもお姉ちゃんが別れたのは納得がいかない。


 付き合ってる時はいつも優先輩の話題を出してたから

   


 何度も言われたことを思い出す

 「優くんがね、好きって言ってくれて」


 「優くんがね、新しい髪すぐに気がついてくれてね」





優先輩も見るからにお姉ちゃんのことが大好きで相思相愛だったと思う。


 だから、私だって諦めたのに



ーーーーーーーーー


 外に出られないけど、私は動画を見たり、


 複雑な気持ちはあるけど、お姉ちゃんの配信も毎回楽しみにしている。

 顔はvtuberだから違うけど



 「今日は大事なお知らせがあります」


えっ??私何も聞いてない。


 大事なお知らせって今まで使ったことがない。新しいゲームとかコラボ企画の時もその言葉は使わないくらいだったし



 「これ・・・」


  バタン!!✖︎2


バタンと動画からそして、横から音が鳴った。


 私は急いでお姉ちゃんの部屋に行った。


 

 お姉ちゃんが倒れてる。


 「お姉ちゃん、お姉ちゃん!!」




 






   






    

 






 お姉ちゃんは亡くなった。












ーーーーー

 

 もう、なにも希望が起きない。


 お姉ちゃんが居ない日常なんて、ゴミも同然。

 

 最近親は喧嘩はしなくなったけど、もう過去の罪は消えない。お姉ちゃんの治療費も喧嘩ばかりで、働かないで亡くなったし、恨みしかない。


 優先輩も流石にお姉ちゃんがこんな亡くなり方をしたあとだと恋する気も起きない。



 

  



 希望はないけど、良いことはある。それはお姉ちゃんが残してくれた配信


 私は同じ会を何度もずっと見て、



 ずっと見て、


 ずっと見てた。

























ーーーーーー


 数ヶ月後、


 「入るよ」


「何ですか??」


「久しぶりだね」


「・・・今更何ですか??」


「やっぱり、今も見てるんだね。」


「私はこれが生きがいですから」


「そうか、お姉ちゃん子だったもんな」


「私はお姉ちゃんの動画以外興味は何もありません。部屋から出てください」


 「お姉ちゃんの動画なら興味あるんだろ」


「はぁ??」


 「ここに、まだ配信してない動画がある。見たいか??」


そんなの、


 「見たいです!!早く見せてください」





ーーーー


 そこに出たのは、vtuberのお姉ちゃんじゃなくて、生身のお姉ちゃんだった。


 「えぇ、これを見てるってことは今は私はもう居ないよね、あはは」


「これ何ですか??」


「君だけのメッセージだよ」


「言いたいこと沢山あるんだけど、まず一つ!!」


  映像のお姉ちゃんは頭を伏せる


 「お姉ちゃんの病気のこと隠しててごめんね!」


「そして、二つ。お姉ちゃんは諦めて欲しくないの」

 お姉ちゃんお得意の、すぐに話を変えるが炸裂している。今のめちゃくちゃ大事なことなのに


 「神奈はゲームがずっと大好きだったよね」


・・・


「よくさ、優の家に行って沢山ゲームしてたよね。優にゲーム機を貰う程」



【神奈って地味だよね。ゲームばかりで】


【私、オタクが、目の前でゲーム壊されたどんなリアクションするかずっと見たかったんだよね】


「神奈がゲーム機でトラウマを持っているのは知ってよ。でもね。お姉ちゃんは神奈が楽しそうにするゲームをする姿が一番好きだった」


「お姉ちゃん」


「だからね、私は決めたんだ。死ぬ前にもう一度、神奈がゲームを出来るように、前みたいにプロゲーマーが目指せるようになって欲しいって・・・そこで私は考えました!!それは私がvtuberになること」


「どうしてvtuber??」


「まず、神奈はお姉ちゃんのことが大好きです!!大好きで、大好きで堪りません」


「うっ」


「あっ私も勿論神奈大好きだよ!とりあえずね、そこでゲーム配信を思いついたのです!!そうすれば神奈は私の配信を見続ける筈」


お姉ちゃんどこまで私のことをわかって


 「ここまで思いついたんだけど、それじゃあ、神奈が私のゲームやっている所を見てるだけゲームはやらないかも知れない。なにより、プロゲーマーの夢は達成されない。」


 「そこで、天才な私は!vtuberを考えました」

さっきも言った。


 「顔出しもなく、人見知りの神奈でも大丈夫!!何よりプロゲーマーとしても活動が出来る!!あと私が、死んだら、私のモデルをキャラをそのまま託すことが出来るなっと思って、vtuberをやることにしたんだよ」


ドア顔をする。


「お姉ちゃん」


「vtuberはね、やって見たからわかるけど、凄く・・・民度も良くて、トークしてて楽しいし、どうでも妹トークにも凄くのかってくれる。だから神奈も誰かと話したいって言ってから丁度いいと思うよ」


 お姉ちゃんは下を向く

「環奈最後にね、ここまで言っておいて、あれなんだけど、別にやらなくても良いのよ、」


「・・・」


「私は神奈に自由に楽しく、生きて欲しいの、お姉ちゃん・・・お姉ちゃん神奈のこと大好きだから・・・だから神奈の自由に生きて、このまま家でゆっくりするのも良い・・・優と付き合ってもいい・・・vtuberになっても良い・・・私はね・・・私はね、神奈のお姉ちゃんだから、これからも・・・死んでも神奈のお姉ちゃんだから、ずっと見守ってるからね」


そして、最後の泣いてるけどとっても美しいお姉ちゃんらしい笑顔でビデオは終わった。




 「お姉ちゃん・・・お姉ちゃん」


しばらくずっと泣いた。


ーーーーー


 そして、数ヶ月後



 下手くそで有名だったvtuberは天才ゲーマーに代わり、声や話し方もだいぶ変わったが、シスコンだけは変わらないvtuberとして、新しいキャラを確立した。


 「それで妹がね」


「何、やってることがむしろそれ姉じゃないっかって」


「確かに」


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