73.ドルグザーテ王
王は立ち上がると腕を軽く振った。すると、真っ黒な大鎌がその手に現れる。なにそれカッコイイ。
「ねぇ、アレ真似したい」
「すごい、厨二病っぽい」
「そういえば、大鎌って使ってる人いるのかしら?」
「うーん、見たこと無いなぁ。普通の武器屋には置いてないし」
「ドワーフの里ならあるんじゃないッスかね」
「手につける熊手みたいな武器もあったにゃ。あそこは変な武器の宝庫なのにゃー」
大鎌かぁ。確かにちょっとカッコイイ。あと、腕を振ると武器が現れるのもいいなぁ。
「よし、皆準備はいいかな?」
「こっちはいつでも行けるわよー」
「強化もオッケーです」
「こっちもOKッス」
「いつでもいいにゃー」
「出撃準備は出来てるぜ」
「こっちもいいぞー」
「バシっときめちゃうよ〜」
「いつでもええで〜」
全員の準備が整ったのを確認して、GOサインを出す。
最初に飛び出すのはネクターとルドガーだ。どうやら二人で敵のヘイトを受け持つらしい。二人が配置に付くと他の三人が飛び出した。
カリンは背後から。カゲとバナナは両横から攻撃だ。カリンが見慣れない武器を装備してるな。手甲に太くて長い爪の付いた武器だ。カゲはいつもの双剣だが…あれ?ちょっと強化されてない?それもドワーフの里でやってもらってたのか。
部長は少し離れた場所から銃撃だ。トリONの銃は弾の装填が必要ないから良いよな。弾数を気にすることなく撃ち続けられる。そういや、ムラサキさんはどこだ?
「あぁ、ムラサキならあそこやで」
「あ、ほんとだ。…何してんだ?」
「大技の準備やね〜。詠唱がちょっと長いんやけど、その分強力なんやで!見た目も派手やから動画映えするんよ〜」
「へぇ、そうなのか」
「下準備が必要やから、使う人おらへんのやけどね。ま、楽しみにしとるとええわ」
ほーん。そんなスキルがあるんだな。見るのを楽しみにしておこう。さて、俺もボーッとしてるわけではない。相手がデーモンなので、聖属性の矢で攻撃しているぞ。
しばらくは通常攻撃をしていたデーモンだが、大鎌の構え方を変えた。なにか仕掛けるつもりだな?
それまでは右手で柄を持ち、鎌の部分を下にして下から上へ振り上げるようにしていたが、両手持ちをして刃を横に向け身体の後ろに引いている。恐らく横一閃に薙ぐつもりなのだろうが…鎌の先に黒いモヤが集まっている。
次の瞬間、予想通り横一閃に薙いだ…が、鎌の先が消えている?柄の先にあったはずの刃が消えて、時空を切り裂いたかのようなエフェクトが残っている。あの先っぽドコいった?!
「うしろだ!!」
部長が叫ぶ。後ろを振り返るとデーモンの前にあるのと同じエフェクトが出現していた。慌てて飛び退くと、俺達がいた場所に大鎌が現れて横一閃に薙ぐとその場で消えた。
デーモンを見ると、大鎌はもとに戻っている。あっぶねーーー!!!
「どうやら鎌の先を別の場所に出現させられるみたいだ。構え方で予測は出来るけど、まだ序盤だし注意しておいたほうが良いな」
「ひぇ〜、こわぁ…」
「移動させられるのは困りますね…」
まぁ、動かざるを得ない時もあるだろうし、こればっかりは仕方ないと諦めるしか無いな。む?デーモンがまた違う挙動をしてるぞ。
今度は床の方に手の平を向けている。すると、ネクター達の足元に魔法陣が現れた。なにする気だ?ネクター達が飛び退くと、その魔法陣が爆発した!ひぇ、足元にも注意が必要なのかよ!…って、次はこっちか!逃げろー!
その後も、背後に現れる鎌と足元で爆発する魔法陣に翻弄される。その隙をぬって、デーモンに攻撃をしていき、相手の着実にHPを減らしていった。
「よし、そろそろ良いかな」
力を溜め終わったムラサキさんが合図を出す。戦闘が中盤にもなると、敵の攻撃パターンも大体読めてくる。後ろに出現する鎌も魔法陣も、連発されることはない。その隙に仕掛けようとしているのだ。
「それじゃ、いくよ!!」
ムラサキさんがレイピアを構えると背後に巨大な魔法陣が現れる。そして、魔法陣から現れたバラの花を咲かせた蔦が真っ直ぐ敵へ伸びて、敵を拘束する。バラの花びらが無数に舞ってすごく綺麗だ。
『
ムラサキさんがレイピアの切っ先を敵に向けて、蔦で出来た道で敵の所まで真っすぐ飛んでいく。途中で光を纏って光線になるとそのままデーモンを貫いた!敵に絡まっていた蔦がバラの花びらとなって舞い上がる!
最後に、貫かれた部分が爆発する!すごい!派手だ!!派手さもあるが、威力も抜群だ!!
「準備に時間が掛かるから、あんまり使えないんだけどね」
ひょぉ〜!カッコイイ〜!流石、攻略系配信者だな。
『グォォォォ…まさか、ここまで余を追い詰めるとは。かくなる上は…っ!』
おっと、まだ戦闘中だったな!さっきの技でデーモンの体力は大分減っているようだ。
『かくなる上は、余の生命を捧げあの御方をお喚びする他ない!異界におわす魔族の王よ!我が生命と、この場にいる者共の生命を贄に暗渠より出て現界へ降臨し給え!数多の生命を喰らい、この地に絶望をもたらし給え!』
デーモンの身体から無数の光が出て、天井に魔法陣を作り出す。これは、魔法陣が完成する前に倒しきらないとヤバいやつじゃないか?!
「魔王を召喚させたらやばい!全力でいくぞ!」
ネクターとルドガーが大技の構えにはいる。カゲ達もそれぞれ必殺の大技を繰り出して、敵の体力を削っていく。うぉぉぉ!間に合えー!!!!
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