学校一の美少女から告白された私は、同性を好きになることは出来ないと言って家に帰って眠った……はずなのに、何故か告白される日に時間が巻き戻っていた

シャルねる

学校一の美少女に告白された

「好きです! 私と付き合ってください」


 そう言って、長い白髪を風になびかせながら、放課後の屋上で私……岩田美月いわたみづきに頭を下げて手を出してくるのは、学校一の美少女なんて言われている、花厳結愛かざりゆあさんだ。

 

 ……同性同士の恋愛っていうのを私は否定する気は無い。でも、私は同性を好きになれないし、そもそも、こうやって、結愛さんに告白されてる意味がわからない。

 だって私、結愛さんと、今日まで口を利いたことがないどころか、挨拶だって、したことがないと思う。

 何かのドッキリだったりするのかな? いや、でも絡んだことは無いけど、結愛さんがそういうことをする人だとは、思えない。正直、私には結愛さんと同じくらい可愛い子がこの学校にはいると思うから分からないけど、学校一の美少女って言われてるくらいなんだから、性格だって、悪くは無いはずだし。


「ごめんなさい」


 そんなことを考えながらも、早く私を諦めてもらうためにも、告白の返事をしないと、と思って、私は結愛さんの綺麗な髪とは似ても似つかない普通の短めの黒い髪を風に吹かせながら、そう言って、頭を下げた。


「な、んで?」


 すると、結愛さんは泣きそうになりながら、そう聞いてきた。

 ……そんな顔をするくらい、私のことを思ってくれてるんだ。……でも、ごめんなさい。


「同性は、好きになれない」


 同性同士の恋愛を否定する気は無い。でも、否定する気がないからって、自分が同性を愛せるかと聞かれたら、話が変わってくると思う。少なくとも、私には無理だ。

 

「…………だめ」

「……? 私、帰るね」


 なにか呟いてた気がするけど、よく聞き取れなかったし、まぁいいかと思って、私はそう言って、屋上を出た。

 ちゃんと告白は断れたし、これ以上、私があそこにいても、結愛さんが私に対して、未練を募らせるだけだと思うし。


 そして、屋上から出た私は、直ぐに学校を出て、家に帰った。

 家に着いた私は、適当に買ってきたお弁当を食べて、お風呂にも入って、すぐに眠りについた。

 いつもだったら、もう少し遅くまで起きてたんだけど、今日は学校一の美少女に告白されるなんてすごい体験をしてしまい、しかもその人の告白を断るなんて体験までしたんだ。こう言っちゃ悪いけど、精神的に疲れた。

 だから、今日はもう寝る。……おやすみ。





 そして、スマホからアラームが鳴って、私は目が覚めた。


「……あれ、私、昨日アラーム、設定してたっけ?」


 目覚めてすぐ、私は呟くように、そう言った。

 ……まぁ、いいや。遅刻せずに済むんだから。

 私は楽観的にそう考えて、アラームを止めた。……あれ? 日付がおかしい。……これ、昨日じゃん。なんで? 

 ……よく分かんないけど、早く学校行かなきゃだし、取り敢えずはいいや。


 そして、ベッドから起き上がって、私はリビングに向かった。

 すると、何故か昨日の朝に食べたはずのパンが置いてあった。

 

「……昨日、食べたよね?」


 スマホの何かだったら、普通にバグってことで片付くけど、これは、流石におかしいよね。

 誰かが買ってきた? いや、私一人暮らしなんだけど。……えっ、怖っ。どうしよ、警察に電話……いや、なんの証拠もないんだから、調査なんてしてくれないよ。

 ……なんか、怖いし、は、早く学校行こう。


 怖くなってきた私は、直ぐに制服に着替えて、置いてあったパンをそのままに、学校に向かった。

 流石に、あんな誰が買ってきたとも分からないパンなんて、食べられるはずがないし。


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