No.2 重圧(1)《清華》
自分の誕生日まであと二日になった。
これから女子ショートプログラムが始まろうとしているのがわかっている。
何となく緊張しているような気がする。
伶菜ちゃんも後半チームにいるので、大学生で固められた部屋ではある程度の支度が終わりそうになっている。
わたしは寝ぼけていたけど、スマホを見たときに今日がショートだという実感ができる。
「
「うん」
「お~い。大学生組、遅いからって公式練習は早いんだから」
「はーい。行きます」
先生たちと合流して一緒に公式練習へ行くことにした。
ジュニアの
わたしと
稲生大学のジャージを着ていたのを見ると、別々の大学に通っているなと感じる。
「稲生のジャージっておしゃれだよね。毎回感じるけれど」
稲生大学のジャージはだいたい毎年同じデザインで統一されているけど、刺繍の色が学年ごとに変わるので入学した年度がわかるようになっているという。
伶菜ちゃんは明るいグレーで名前と学校名が入っているんだ。
「それじゃあ、うち公式練習先に行ってくるね。あとでご飯食べよ」
「うん。またね」
公式練習での調子はいい感じでトリプルアクセルも上手くハマっていた。
振付を中心とした確認もできているので、少しだけ体を休めることにした。
整体に通う頻度を上げていることもあるんだけど、体の軸が元に戻っているような感じだ。
四回転ループに関しては成功率もあるのでまだ決めていない。
カメラのフラッシュ音が聞こえてきてこちらに向かう視線が多いかもしれない。
グランプリファイナルで優勝してから注目が一気にきたかもしれないと考えている。
カメラに追われることには慣れてきたような感じがしているけど、まだ質問とかに応える気持ちではないと思っている。
シニア十九歳になる女子選手が四回転跳ぶことはとても難しいかもしれない。
でも、それを実現できるように考えていきたいと思っている。
「
その声が聞こえてくるけど会釈してすぐに歩いていくことにした。
重圧がかかっているような気がする。
たぶん期待とかもあるかもしれない。
でも、いまは自分のことを頑張りたいと思う。
ショートで現在上位に来ているのはトリプルアクセルを跳んだ
でも、それ以上にシニアの魅力的なスケーターも存在する。
一つ前のグループの六分間練習が終わって、すぐに会場内にアナウンスが聞こえていた。
伶菜ちゃんの演技が近づいているけれど、呼吸を整えて衣装を着て歩いていくことにした。
わたしは子どもの頃には笑顔で話しているのが見えているのがわかっている。
「伶菜ちゃんが出てくるのか」
「そうだね。緊張してる?」
「うん。手が震えてくるかも」
そのなかで友香ちゃんは軽くアップを始めていたんだけど、心配そうにこっちを見ている気がする。
「心配しないで良いから」
「わかった。ここからは心配しない」
「うん」
そう言って友香ちゃんはその後に振付確認したりして、大西先生と話しているのがわかる。
イヤホンを外してからすぐに陸上ジャンプを跳んでからすぐに練習をしていた。
そのときに
子どもの頃からすごいなと考えていたけど、みんなが拍手で音がとんでもないことになっている。
わたしはそのときに得点が出てから伶菜ちゃんがリンクに入って滑っているのが見えた。
オレンジ色のとてもきれいな衣装、キラキラとしたものでタイトスカートがとても似合う。
耳にはついこの間佑李くんに開けてもらったオレンジ色のピアスが輝いている。
わたしはシーズンオフになってから病院で開けてもらおうと考えているところ。
『幸田伶菜さん。稲生大学』
そのアナウンスが聞こえて、モニターのなかで伶菜ちゃんがリンクの中央で立っている。
流れてきたラテンの音楽が聞こえてきて笑顔で情熱的な振付を滑っていくのがわかる。
流れてきたのは『マンボイタリアーノ』で誰かが前に使っていた曲だったはず。
最初にトリプルルッツ+トリプルトウループを跳んで確実に降りてから、笑顔でジャンプを決めたりしているのがわかる。
そのなかで歌詞に合わせて演技をしているのが見えているのがわかったりしている。
音楽に乗せて踊るのがとても楽しそうで滑っているのが見えて、難しそうなステップを踏んだりしている。
そのなかでトリプルフリップを跳んでから最後のジャンプをして楽しそうに演技を締めくくろうとしているのがわかる。
伶菜ちゃんの演技はノーミスで暫定二位になっているのが見えたのだ。
「清華ちゃん。そろそろ準備するよ」
「うん。わかった」
友香ちゃんは真剣な表情でこちらを見てから、再びリンクの方を向いていた。
わたしはそれを見て同じように意識を氷上の方へと向けた。
『これより六分間練習を始めます』
会場内から拍手が降り注いでくるのが感じていて、リンクの上で手足が震えるくらいに緊張していた。
アナウンスが聞こえてくるだけでも心臓の鼓動が落ち着かない。
滑り出してから最初にトリプルルッツ+トリプルループを跳んでから、すぐにトリプルアクセルを成功しているのが見えたのだ。
タイミングとかの上手くいかないところがあるけど、一緒に滑ろうとしていたことを考えている。
わたしは全日本のショートプログラムが何となく苦手だと感じているけど、子どもの頃から話しているかもしれない。
それを考えていたときにお父さんがこっちを見て笑顔で見ていた。
「がんばれ!」
そんなことを言ってくれるのは少しだけ恥ずかしい気持ちが緊張よりも上回っている。
子どもじゃないんだからと考えながら、トリプルフリップを降りてから次のスピンへ行く。
「陽太くん」
「うん。調子はいいみたいだね」
「はい!」
「今日は楽しんで」
「うん」
陽太くんは緊張していることに気が付いてわざとそう言ってくれた。
それを聞いてうなずくと他のステップとスピンを練習するためにスペースを確保していく。
そのときに友香ちゃんがトリプルループ+トリプルトウループを降りているのが見えた。
単独はトリプルサルコウの捻挫している部分に負担がかからないようにしている。
そのときに六分間練習の終わるアナウンスが聞こえてきて、
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