カリフォルニア・ディズ(ただし日本)

麒麟屋絢丸

第1話 出張先は、カリフォルニア(ただし日本


 都内から、ほんの90分のカリフォルニア。



って説明を受けましたもんで


同僚A嬢(営業兼運転手)が、Google mapで、滞在予定のホテルの名前を打ちこんでる(と思ってた)間、浮かれてコンビニで購入した、トロピカルマンゴージュースを片手に、助手席でヒャッハーなわけですよ。


まず外に出る仕事なんて、ないしネー


しかも行き先が、カリフォルニアなんですよ?カリフォルニア!

たとえ日本であっても!

カリフォルニア


アオイソラ

アオイウミ


椰子の木の間を、吹き抜ける爽やかな風♡


ひゅう〜ひゅう〜


カリフォルニアも長い州ですが、やはりここはロサンゼルス!

LA的なイメージですよね。

なんとなく能天気な、パリピな街。


私はパリピではないんですけども、普段の蓄積したストレスが、ここで一発、やってやろうじゃないか!と。

目にもの見せたろか?!と。

もう、鼻息荒く、キタコレ状態になっておりました。


で、念入りに日焼け止めをすりこんで、サングラスなんてかけまして(目が弱いんです)、たとえ服がオフィスカジュアルよりでも、もうね、そこはかとなくロサンゼルス・デ・バカンス。


Aちゃんも「カリフォルニアなんで、このバンドしかないなって思ったんですよ。」

って、レッド・ホット・チリ・ペッパーズというバンドの曲を流したりして。

ご存知ですか?

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ


私は知りませんでした。

なんかこう、催眠効果のあるみたいな、退廃的な感じの曲調で……


泥酔とか?

麻薬中毒とか?


カリフォルニアのイメージも人それぞれなんだなーと思いました。


近い路線なら、ちょこぱこちょこくぃんくぃんの琉球ブギウギの方がまだカリフォルニアな気もしなくもないんですけども、運転手はAちゃんですし、助手席の身としましては、謙虚に受け止めて参りたいと思いました。


あ、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、ご存知ですか?

かの伝説のバンドYMOの細野晴臣氏のお孫氏の参加されているバンドで、脱力感のある風変わりな曲調が魅力です。


皆様のカリフォルニア的イメージの音楽は、どないな感じですか?


で、ペッパーズ効果で、多分東京を抜ける前に意識が無くなって、ハッと気がついたら、世界は田園風景っていうのか、なんていうのか、山と山の合間のところどころに、人の上半身が地面から生えてた。うむ。


もしかして、人ってタケノコみたいに、地面から生えるもんでしたっけ?

或いはこれは、催眠学習的にペッパーズの麻薬効果が脳細胞に染み渡った結果、こんな幻影的な風景が見えるわけでしょうか?


もはや、凝視せざるを得まいっ!


青いレンズのサングラスを上にずらすと、一気にまばゆいカリフォルニア風の陽光がカッ!!!って直撃して。


目の前真っ白。

ホワイトアウト


異世界転生モノとか、そーゆーので、聖女とかの聖なる光でやっつけられる怪物とか、魔物の気持ちに寄り添えそうな気持ちになりました。


でも、今は魔物はいないわけで。

静かに青いサングラスを戻して、目を凝らしてみました。


すると地面から生えてんじゃなくて、腰まで泥に埋まってる人々なんですな。


蓮根畑?

蓮根沼?


あー、こういう風景が、中世の知多の山の中なんだなぁと感激をしつつ、カリフォルニアじゃなくて、桶狭間に思いを馳せておりました。(注:著者は戦国ヲタ)

あとね、美濃戦の十四条合戦とかね?


あ、興味ない?

ごめん。




 で、その日の予定は、まずホテルに荷物を置いて、軽く休憩と軽食を取ったあと、それから相手先へ出かけるという余裕を持った感じでした。


うん。


でした。


つまり、うん。

迷ったらしい。


袖ヶ浦ってとこに、こう、日本のカリフォルニア千葉で、もっともカリフォルニアな道がある?とか?

よう知らんけど。


でも、千葉を横断する道から少し外れるとか?


え?

なんで?


なんでそないなトコ、行かなあかんねん。

いや、行くのかめへんけど、なんで行きしに行こう思うたん?

てか、ナビつけててなんで迷うん?


オマエ ノ スマホ ハ カマボコイタ カ?


とかね、ま、色々頭の中を過ぎるんですけども、何しろ既に迷ってるわけですし、そもそも私はのんびり助手席で爆睡してたわけで。


「ま、とりあえず、ホテル、行こか?」

チャラ男みたいな言い草をするしかないわけです。



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