アンデッドバスター

村崎愁

第1話 面接

三上は所謂、退治屋というものの面接を受ける。

事務所と呼ばれている部屋の前で大きく深呼吸をする。時間は十時前で、あと十分後には面接に入らないといけない。今ならもう入っても良い時間だろう。

三上は三年前にから母を殺された。

その時は自分が死んでも構わないから、全員殺そうと思ったほどだ。

は新種のウイルスに侵された連中で、ガボウイルスと呼ばれている。由来はわからない。に噛まれたり引っかかれると感染するか死亡してしまう。母は運悪く亡くなってしまった。


ドアをノックするとすぐに女性が開けてくれた。

美しいとはいえないが、愛嬌があり少し母の面影がある。

もう一人女性が奥のソファーに座っている。こちらは綺麗な顔立ちをしている。出迎えてくれた女性は部屋に入ったら、いきなりクラッカーを鳴らしてきた。

口から心臓が出るくらい驚いた。

「ようこそ!アンデッドバスターへ!あたしは順。ここにいるのが親友の玲子!」と叫ぶように話す。

よほど誰も面接しに来ないのだろうか。

「あの、面接を」三上は大人しく聞いたのだが順はドンペリニョンを開けるのに苦戦して聞いてないようだ。

玲子は黙ったまま腕を組み、三上を上から下まで見ている。

ドンペリニョンが開き、「採用だよ!これからよろしくね!」と順は目を子犬のようにキラキラさせて言った。

「玲子、ちゃんと挨拶しなきゃ!」順が促すと、パーカーで隠れた口で「よろしくね、えっと三上君」と履歴書を見ながら言った。かなりのハスキーボイスだ。


その事務所は順の机は散らかっているが、いらない物はなく、代わりに一つの部屋、そしてガラスで出来たシャワールーム、小さな冷蔵庫がある。何に使うのだろう。と、ドンペリニョンを呑みながら思った。

少し酒が回ってきた頃に「明日辺り沢山出るだろうね。玲子」順は急に電池が切れたように言う。

「そうだね。今までの経験からいくと明日かな」玲子は小さな声で返した。

「三上君、デビューだよ!いっぱい倒してね!」

胃が痛い。しかし倒し慣れなければ。と腹を括る。

ドンペリニョンが二本開いたところで順は「三上君、今日はもう帰っていいよ!明日頑張ろうね!八時に来てね!」と言った。

母を殺したあいつらが許せない。「頑張ります」それだけを告げ事務所を跡にした。

三上が帰った後に玲子が口を開く。

「なんだか嫌な予感がする。本当に雇って良かったの?」

「うん、きっと慣れてくれるよ!」くるりと乗っている椅子を回転させた。

「順がいいならいいけど」

「まかせとき!それより残ったドンペリ飲もう!」順は嬉しそうだ。

対して玲子は冷静に何かを考えている。

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