空が青くなかったら

@yukikiyou

第1話 出会う

あの日の空も曇りだった。

それは手の届きそうな程、低い空。

そうか....私は1人ぼっちなんだ。


何もない、何もなくていいと思ったのは自分自身なのに、結局、また1人この場所に来る。


そして思い出す。


3年前、確かにいた、大切な人。


涙なんて、枯れ果てたくせに。

思わず下を向く。

顔を上げれば、きっと雲が慰めてくれる。


そう信じたかっただけだった。


立ち上がって、ため息をひとつ。

上を向き、空をみる。大嫌いな空。


「空が青くなかったら、

きれいな思い出にはならなかった。」

つぶやく私の隣には誰もいない。


すこし笑える自分の弱さを振り払い

歩き出した時、

「あの....」

その声にはっとした。


...

「空....」

私の全てをかけて愛した人がいた。



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