裸一貫大脱出 〜バケモノだらけの地下墳墓より〜

@alalalall

地下4階(序)

視界の端の松明がふらふらと揺れる。濡れそぼった髪が肌にべたつく。ぼんやりとこれまでを思い出す。


恐ろしい大雨が降っていた。俺は心配になって畑の様子を見に行った。その途中だ。川の側を歩いていたら、のそのそと地を這うスライムを踏んづけて足を滑らしたのだ。


川へ落っこちた俺は、目を覚ますとここにいた。


見えるのは、ぼろい石造りの壁と床。点在するほのかな松明。ちらほらと見える血痕と何かの骨。おまけにカチャ…カチャ…と人ならざる足音がかすかに聞こえてくる。3つの分かれ道が見える、迷路のような空間。


ある予感が、冷や汗と共に背筋をつたう。


そこでようやく、背中の方がひときわ大きな光で照らされていることに気づいた。恐る恐る振り返ると、大きな松明が掲げられた壁と、棺がそこにあった。


その棺はおどろおどろしい模様が描かれ、頭があるだろう場所には世にも恐ろしいスカルドラゴンの髑髏が置かれていた。


情けなくひっくり返って背中がぺちと床についてようやく、己が裸だと気づいた。


同時、棺の奥に積み重なった4つのドクロが見えた。予感は確信に変わり、すさまじい脂汗が吹き出てくる。




悪しき古代文明の権力者の墳墓。地下4階建て。バケモノの物音多数。


俺はそこに、全裸で放り込まれた。




たまらず、めちゃくちゃに叫んだ。


しばらく叫んで寝転がる。黙っていると、静謐で恐ろしい暗黒に飲み込まれそうな気分になる……。





ガチャガチャガチャガチャ!


寝転がる俺に向かって何かが迫ってくる!振り返ると、折れた剣を振り回す骸骨のバケモノ、スケルトンがこちらに走ってきている!


殺される!怖い!

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