第15話 すごく…硬いです
※お詫び。6話にあったバフの色が誤字ってました!ヘイストの色が赤ってなってましたが、あれは緑の間違いです!(現在は修正しております)よろしくお願いします!
リスナー達の冬ちゃんコールが続いた直後、リサが操縦するドローンカメラが配信カメラの前にやってきた。
「は、初めましてっ! ユウマお兄ちゃんの妹のリサといいます! 訳あってこうしてカメラで会話しますけど、よろしくお願いします!」
『声可愛すぎ!!』
『ユウマ氏って妹君がいたんだ?』
『三年間一度も言ってなかったけどな~』
あれ……? 三年間って、ずっと見てくれたリスナーってことだよな……?
「妹はあまり動けない病気で、病院で見守ってくれていたんです。正直に言うと、ダンジョン配信は妹が見れるように始めただけです。でもこうして見に来てくれる人達が増えたので、配信にも真剣に向き合っていきますので、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
『今までボロボロに言われながら配信してたのって……妹さんのためってこと!?』
『おいおい……誰だよ……クソ雑魚スライムハンターって呼んでた奴』
『すまん。俺も冗談半分だけど罵ったことあったわ。まじですまん……』
『ただのマゾ野郎だと思ったら……とんだ優しいお兄ちゃんじゃねぇかよ……』
直後、《応援》の数字が一気に増加し始めた。
「う、うわあああ! ま、待って! みなさん!? 応援ボタンは無理して押さなくていいですからね!?」
「ふふっ。よかったね! ユウマくん」
「よかったのかな……? でも妹を置いてダンジョンに潜ったのも俺が選んだことだし、みんなが言ってくれるような優しい兄ではないから……」
「そんなことない! お兄ちゃんは世界で一番かっこよくて優しいお兄ちゃんだよ!」
「リサ……」
リサの熱い思いが声を通して伝わってくる。
とても賢い子だから俺がダンジョンに潜る理由も勘づいているはず。だから全力で止めたりしなかった。
「さて、そろそろ狩りを始めるわよ~! 配信は三時間しかないからねっ」
「ああ!」
『頑張れ~!』
『初陣だな~』
今日は二度目というか、実際狩りとしては初めてくるBランクダンジョン。
いつもEランクダンジョンなのにまさかこんな難しいところに来ていいのかと思う。
レナにいいからと言われ来たけど、今でも俺なんかが戦えるか心配だ。
ただ、暗黒獣の攻撃を受け止めることはできたので、壁くらいにはなれるかもしれない。
一層を進んで最初に現れた魔物は、赤と青の毛が混じり合ったゴリラだ。
「強そう……」
「そうでもないわよ? ひとまず、私達の力をリーダーに見せておかないとね。冬ちゃん~先にいくね~?」
腰に下げられた刀に手をやると、一瞬でゴリラを通り過ぎたレナ。たった一撃で倒した。
「す、すげぇ……」
次に現れたゴリラは冬ちゃんが相手をする。
「私はあまり戦いたくないので、そういう作戦でお願いしますね。先輩~」
冬ちゃんと一瞬で姿を消してゴリラの後ろに移動した。何が起きたかすら見えなかったけど、ゴリラの全身が八つに分かれて倒された。
『冬様かっけぇ~!!』
『今の動き見えなかった! レナちゃんよりも速くない!?』
『剣神より速いってどんだけだよ……しかも歳も下なんだろう!?』
レナが強いのは周知の事実だけど、護衛としてやってきた冬ちゃんの実力の高さに驚いた。
さすがはグランドマスターの孫というか、強すぎないか……?
「え、えっと、次は私ですけど、まだ
『えっ……ダブル付与術師とか需要あんのか……?』
『まじかよwwここでダブルきたかww』
咲のことで批判的なコメントが目立つ。
でも僕は彼女の強さを知っている。
「咲の力は補助魔法だからね。気にせずに掛けてくれ」
「は、はい! 頑張ります!」
咲が魔法を展開させて俺達に補助魔法を掛けてくれる。
三人同時に二種類それぞれの魔法を掛けられるんだな。
事前に教わった補助魔法は、色で内容が分かる。
赤はストレングスで攻撃力上昇、青はディフェンスで防御力上昇、緑はヘイストで速度上昇、紫はマジカルで魔力上昇、白はエレメンタルで属性軽減上昇だ。
他にも特殊枠がいくつかあるらしいが咲は使えない。付与術師はこの五つを適正に使うのが基本だ。
二人にはストレングスとディフェンス。俺にはヘイストとディフェンスだ。
「あ、私、先輩の実力、まだ見てないです」
「そっか。俺も自分がどれくらい戦えるかまだ見てないから試してみたい」
「ガンバレ~先輩~」
「気持ちこもらなさすぎでしょう!?」
興味なさげにジト目でボーっと俺を見つめる冬様。
ひとまず、三体目の魔物に一人で戦いを挑んだ。
咲のおかげでヘイストが掛かっていると、二人ほどじゃないけど、速く動ける。
ゴリラを斬っては横ステップで避けてまた斬ってを繰り返す。相手の攻撃は全て避けられるので攻撃は受けない。
それを何度も何度も繰り返す。
「…………」
「…………」
「ユウマくん……頑張ってください! 補助魔法は任せてください!」
――――それから五分経過。
『英雄よえぇえええwww』
『五分間一体の魔物と戦う集中力はすげぇわ!』
『そろそろ疲れるんじゃない!?』
「先輩~もういいです!」
「えっ……もういいのか?」
足を止めた時、ゴリラのパンチが俺の頭を叩き付けた。
「先輩ッ! ――――ってなんで吹き飛ばないんですか?」
「えっ? あ、この前、防御力が上がったから。金属スライムの時」
「……?」
ゴリラが全力で俺を殴り付けるが、痛みは一切感じない。
「えっと、それ痛くないんですか?」
「うん。全然痛くないね」
「それなら避ける必要はないんじゃないですか?」
「そう言われるとそうだな」
避けることを止めて、殴られながら斬り付けた。
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