第35話 春奈の過去は

 亮は春奈の唇に唇を重ねた。今度はさっきとは違う。口を開かせ舌を絡める。

 春奈は驚いたようだが、舌を吸われる快感を優先したようだ。亮の首の後ろに手を回した。


 身体を使っての調査が始まった。当初は処女ぶっていた春奈だったが、亮の執拗な攻撃で声をあげのたうちまっわって果てた。


 それでも亮は攻撃を止めない、さらに二十分あまり責め、いたぶった後で、亮は自分は放出することなく春奈から離れた


 ぐったりした春奈が恨めしそうに聞く

「何で行かないの」

 亮は春奈の紅潮した顔をじっと見た。

「がばがばだから」


 春奈の顔が一瞬で青ざめたそして怒りに変わった。

「馬鹿野郎」

 座布団が飛んできたが、亮は手で受け止めた。

「加賀谷とやっていることぐらい知ってるよ」


 春奈の顔が一瞬で固まった

「なんで」

「どうして俺と寝ようかとしたことも知っている」


 春奈はいきなり泣き出した。嘘泣きかとも思ったが、そうではなく本心から座布団に顔を伏せて肩を震わせた。

「だって、だって仕方がないじゃない、誰かに守ってもらわなくちゃ」

「それはいい、だけどそのバックを使って下級生をいじめるのは」

「誰がそんなことを、私そんなことしない」


「君がバックにいるから、でかい顔していじめをしている中学生がいるんだけど」

「だれ、そんなことするの」

「名前までは聞いていない、けど、君の知り合いらしい」

「信じて、私絶対にそんなこと命じたりしない」


「じゃ、なんで教師をバックにした」

「それは」

 春奈は唇をかんだ。


「小学生の時、水泳の授業で、クラスの男子たちに」

 嫌な予感がした。

「処女だったのに、みんなにやられて、卒業するまで」

 それだけで亮には十分だった。

「わかった、良い、もう話すな」

 なんということだ、春奈は間宮と一緒だった。だから、大人の後ろ盾が欲しかったのか。


「つらかったんだな」

 亮は春奈の小さな肩を抱きしめた。

「でももうそんなことやめなよ」

「亮くんが守ってくれる?」

「ごめんそれは無理、先約がいる」

「だから出さなかったの」

「まあ、そういうこと」


「あのさ、本当につらいことがあったら、恵美に言え、あいつの彼氏は警察官だから。それと、俺の友人でよかったら、何人か紹介するよ。

「ありがとう、でも」

「私がばがばだから」

 春奈が消え入りそうな声で言った。

「ごめん、言いすぎ、そんなことないよ、十分気持ちよかった」

「ほんと、ほんとに」

「うん、必死だった、いかないようにするのに」

「さ、服着ようよ、誰か来たら」


 着終わったとたんに、誰かが来た。

「なんだ、春奈か、あ、お前誰だどこの生徒だ、ここで」

「加賀谷先生、この人、住谷先生の息子さんです、茶道の師範なもので習うことがあって」

「住谷先生の、本当か、春奈に手出そうと」

 自ら春奈との関係をばらす頭の悪さ、さらに物言いの下品さに亮はカチンときた。

「加賀谷先生、彼女とのこと、奥様が心配されてましたよ、生徒に手を出しまくってるようですが、いい加減にした方が。母も学園長に報告するかどうするか悩んでましたけど」


「お前、学園長とも」

「ええ、よく知っています」

 嘘ではなかった、母親がこの学園が務めるときにあって食事をしている。

「それじゃ、失礼しますね、行こう春奈君」


「あんな情けない人だったの、何かいやんなっちゃた」

「大丈夫、それがわかればもう失敗しないさ」

「ありがとう、下級生の件、ちゃんと言っとくから」

「言わなくていいよ。加賀谷と切れたのがわかれば、たぶん向こうが離れると思うよ。そっちは別の方で何とかするから、春奈はもう関わるな」


「来週友達と俺の彼女連れてくるから、会おうな」

 うんと頷いてた春奈は、最初に見たときよりも魅力的に見えた。

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