第6話 ぜったいにバツ
恵美には年の近いおばさんがいるという。母親の妹だ。大学生の彼女は奈良市内で一人で住んでいる。
その人が性に奔放で、恵美が遊びに行っても彼を連れ込むこともあったらしい。
おかげで、寝てるふりはうまくなったと恵美は言う。
「だから耳年増なの」
「一人エッチは?」
「お姉ちゃん、あ、佐紀ちゃんが彼としてるの聞こえてくると、つい触っちゃった」
「佐紀ちゃんがおいしそうに飲んだから」
美穂はうがいをした今も気もち悪そうな顔をした。
「ごめん、おいしくない。私は飲めないや」
「うん、俺も出すならこっちがいいな」
亮は恵美の股間に手を伸ばした。
「だーめ」
「なんで、ここまで見せて、舐めて、やりたくない?」
「うーん、やりたい気持ち八割」
「それってほぼやりたいって言ってるんじゃないの」
「うん、でもやったら、絶対に捨てられる」
「なんで、俺そんなことしないよ」
「うそ、だって今誰も付き合ってなさそうだもん、やり捨てたでしょ」
「人聞きわるいなあ、あっちから」
言いかけて亮は口を閉じた。
「って仕向けたでしょ、もしくは体だけの人、それはなさそうだけど」
「もしかして、その人間不信は、おばさんのせい?」
「かなあ、あ、叔母さんて言ったら張り倒されるよ、佐紀ちゃん怖いんだから」
亮は、逢ってみたい気がした。
「そのうちしようね」
「ねえ、住谷君は私のこと好き」
「わからない、でも嫌いじゃないよ」
「正直だなあ、嘘でも好きだって言うもんじゃない」
「さきにいやらしいことしちゃったけど、付き合ってくれないですか」
「うん、いいよ」
女の子から告白されて、袖にするようなもったいないことは、亮にはできない。
まあ気長に付き合ってみるのも面白いかもしれない。
「これからも着替えは見せてくれるの」
「やだ、その代わりここで見せてあげる」
「襲っちゃうよ」
「何となくだけど、住谷君はしないな」
「さしてくれなきゃ、浮気するぞ」
「いいよ、ばれなきゃ。ばれたら絶対やらせない」
そう言って、恵美は笑った。
「でも無理だよね、今も女の子いっぱいいるでしょ。私頑張る、やらなくても住谷君の彼女になれるように」
「あ、学校では内緒ね、みんなにばれたら殺されちゃう。抜け駆けしたって」
「大丈夫でしょ、俺と付き合い始めても、誰もうらやんだりしないんじゃない」
「何言ってんの、住谷君がどうこうじゃないの。あ、もちろん住谷君はかっこいいよ、勉強もできるし。でもそうじゃなくて誰かと付き合うことが問題なの」
そんなものかと思う、女の子はわからんと亮は思う。
じゃ、また明日、と言ってキスをして帰った恵美は、その夜も結局風呂上りの姿を見せてくれた、最後に舌を出して、あっかんべーをした顔がめちゃくちゃ可愛い。
案外いいかも、亮はカーテンの閉められた彼女の部屋を眺めながら、何となく楽しい気分になっていた。
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