誰がために鐘は鳴る
弓引奏汰
クズの始まり地獄の始まり
「また負けか…」
そう呟くと席から立ち上がる
「やっぱりギャンブルなんて向いてないんだな」
そう思いながら家路につく
"何も知らない弱者は食い物にされるだけ"
そんな当たり前のことすら気が付かず、ストレス発散の為にか欲に負けてか同じ様な日々を繰り返す。
バイトをしてはギャンブルでお金を失う
負のループ
「なんか楽に勝てる方法無いかなぁ」
そんな馬鹿な考えを繰り返す。
有る訳がない、少し考えれば分かるレベルのお話
相手も経営なのだ、ほんの一握り以外が勝てる訳がない。
たった数度の成功体験が脳内麻薬を生み出し中毒にさせる。
ギャンブルとは恐ろしいものだ…
若さと金は判断を狂わせる。
考えることを放棄してただ動く死体のような日々
生きてると思えるのは目の前で「ボーナス」が揃うか「当たる」かその瞬間だけ。
まるで価値のない人間だと思って生きている
何かに夢中になることの出来ない性格、仲間とつるむ以外に何の楽しみも見つけることの出来なかった学生生活、そして社会から弾き出され
惰性でアルバイトをする日々。
そんな時からだろうかギャンブルに興味が湧いたのは「勝ちは人の感覚をあっという間に壊す」手元のお金が3、4倍になる
そんなことが数時間で起きたせいで沼に嵌まった
この男もそんな感じだった。
とある出来事が起きるまでは
この話に深く触れていく前に「この男」がどんな存在なのかを説明しなくてはならない
この男は余り良いと思える人生を歩んで来ては居ない。
親の愛というものとは無縁で歪んだ性格になっていく
小学校でイジメられ中学校で筋トレにハマり暴力というものを知り簡単に手を出すようになる。
叱るはずの母親は外面だけを気にしながら亡くなり
残った父親はこの男に興味を持っていなかった。
高校には辛うじて進学したものの、まともな出席もせずにそういう仲間と共に他人とは少し違う道を歩き始める。
鑑別に行かなかったのは奇跡だと思える。
道を外れつつも仲間がいる高校は出席と名前が書ければ卒業出来るような底辺。
辛うじて卒業しても進学なんて考えるわけもなく、ましてや就職なんて考えてもいない。
果てがフリーターだった。
家に帰るのも嫌で仲間の家か、その時の都合の良い女の所に転がり込むようなクズ。
刹那的と言えば聞こえは良いが金とセックスと暴力と酒とタバコに溺れるような男である。
ギャンブルにハマるのも当たり前だった。
しかし、いよいよ仲間すら失うことになる。
仲間の女に手を出す。
最低の行為である。
そして残ったのは都合が良い女だけ。
だけど男にとってはそれで良かった、元々仲間がいたことが奇跡だと思っていたからそんな行為に躊躇いもなかったのだろう。
男にとって金>女>酒、タバコ>仲間程度の考え。
幸い容姿には恵まれていた、女に困ることはない程度の話術と、どこからくるわけでもない自信だけはあった。
そして何より相手を選んでなかった。
酷い話をするならば女を騙して肉体関係を持ち、話術や見せかけの優しさでキープしているのである。
紐とまではいかないが衣食住を保持すつつバイトだけしてその金でギャンブルをして生きていようとする
まるで紐まがいの生活。
いわゆる「社会のゴミ」でしかなかった。
しかしこれは、この後出会う妙縁奇縁な者たちによって大きく狂っていく。
誰がために鐘が鳴る それは未だわからない
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