8🏡レイの思い💓
オカン🐷
第1話 お呼び出し
遼平と一之介が通う小学校から呼び出しがあった。
本当は一平に行ってほしいところだが、大きな案件を抱えていて仕事を抜けられそうもないと言う。
結婚後もそのまま同居しているレイにルナを預けて、校長室の扉を叩いた。
そこには遼平のクラス担任と一之介のクラス担任もいて、渋い表情を崩さずに迎え入れられた。
ソラの一件以来、児童福祉局の調べが入って、ルナをクローゼットに閉じ込めたことは学校の知ることになり、そのお仕置きで遼平と一之介に折檻しているのではないかと疑いの目を向けられていた。
というのも、2人の躰に青痣があるのを体操服に着替えるとき級友が見付け、母親に言ったそうだ。
最近、剣道の道場に通っているので、そのときに出来たものだとナオが説明すると、道場主にも確認させてほしいということになった。
一平が子どもの頃から御世話になっている道場主の勝常寺先生は、
「話が大きいなって、勝常寺先生、怒ってへんやろか」
「そりゃ下手な訊き方したら、竹刀持って追いかけ回される」
「ひゃー、どないしよ。学校の先生って横柄な態度とらはるから、心配やわ」
「おれも一度挨拶に行こうと思ってたんだ、先生の好きな酒でも買って行って来るよ」
日曜日のダイニングはコーヒーとトーストの焼ける芳しい香りが溢れていた。
「あら、ルナちゃん、ジャムの瓶に舐めたスプーンを入れたらアカンよ」
「おいちい」
「おいちくても、スプーンは新しいの使ってね。だから、ルナちゃん、またその新しいスプーンを舐めたらアカンの」
ナオはため息をつくと、ジャムの瓶のラベルをしげしげと見詰めた。
「ママ」
「なにっ!」
ダイニングが一瞬で凍り付いた。
ナオは慌てて取り繕った。
「あっ、ママ、考え事してたからごめん。なあに? どうした」
「あの、チーズトーストもう1枚食べてもいい? 剣道行くとお腹が空くんだ」
「ぼくも」
遼平が言うと、一之介も慌ててのっかった。
「いいよ、食パンまだあるから。そうか、剣道行くんだからご飯炊いたらよかったね。日曜だから手抜きしちゃってごめんね」
「考え事って何だ?」
「ルナがジャムばかり舐めるから、一瓶で何カロリーになるんやろって思うて」
「おい、おい」
一平はルナの抱え込んだジャムの瓶に慌てて蓋をした。
「あ~ん、かして、かして、ルナの」
「ブーちゃんになるぞ」
遼平がからかうと、
「ブーちゃんになる前に病気になるぞ」
一平は困惑顔をした。
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