かわりゆくもの

薄明 黎

背伸び

 毎日は少しづつでも確実に変わっていく。変化が目に見えていないだけで、変わらないものなんてない。


 きのうよりほんの少し底のすり減ったロファー、一歩踏み込んだ親友の恋バナ、取り壊しの進んだ旧校舎、一日づつ埋まっていく三月のスケジュール帳

 

 私の身の回りでもなにかが変わっていく


 きみの横を私が歩く放課後のこの時間とか、夕焼けに照らされたきみの横顔を見る私の頬の色とか。


 私はこのままでいられたらと常々思う。


 だけどいつか、、、いや、そう遠くないうちに、この関係も変わってしまうのだ。


 だから、その前に自分から変わりにいっても、なにも問題はないはずだ。

 

「ねぇ、明日どこか遊びに行かない?」


 これは少しずつじゃ手遅れになるから、大股で進む気分できみに声をかけてみる。

 そうしたら、きみは頷いてくれたね。

 

 せっかく、きみと遊びに行けるんだ、明日は少しだけ背伸びをしよう、ひとまわり背の高いきみの視界に入れるように。


 きみはまだ気づいていないと思うけど、私はきみのせいで、心臓が張り裂けそうになってるんだよ。


 まぁ、鈍感なきみのことだから、どうせ気付いていないんでしょ。

 だけど、別にいいよ、変わらないものなんてないのだから。

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かわりゆくもの 薄明 黎 @singononote

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