第261話 読める攻撃、読めない攻撃
第8試合、ここから勝負はがらりと変わった。
現時点1位通過である白い流星、リーダーのlucusの指示で俺らは歩んでいく。
「っと、この試合はどうするんだ?」
『んーどうしようかな。降りる場所はここで良いと思うけど』
といつものところをピン刺した。
さっきの前例があるからこそ、今はlucusに頼るべきだ。
そう思ったので彼の指示に従う。
『あれ、ちょっと遠くだけど見慣れない敵が』
wartに言われて周りを見ると、確かに知らない敵だ。
こっちの街に降りてくる気配はないが、どうなんだろうか。
「んー…あそこにも居るのか」
違う場所を見ればまたパーティが1つ。
『こっちにも居ますね、3パーティが近くに居るのですかね…』
妙だな。
第7試合の時は、周辺に1パーティすらも降りてなかった。
何かこの試合で流れが変わったのか?
『まあそうだろうなぁ、順位を上げるために1位を落とすのは重要だし……』
lucusはそう言った。
でも、それって下位プレイヤーには関係ないのでは?
ここで降りる分リスクが高くなる気が…
でも、なんで降りるんだ。
メリットがあるのは2位~5位あたりをマークしてそうな
上位プレイヤーだけ…………
「そういうことか、結構まずくないか?」
『はっきり言うなら結構やばいかもしれない』
だろうな。
直接はこの街に降りてこなかったものの、実質攻めに来ているようなものだ。
『どうしますか……下がりますか?』
endmはlucusに聞く。
少し間があいた後、彼は、
『いやここは勝負に出るべきだ。』
そう言った。
彼の意図がどんなものかは知らない。
ただおそらくだが、さっきの試合はあくまで上位層が一斉に倒されると読んでいたから。
でも今回は、俺らが倒さないと倒されない。
「了解、行くか~!」
急ぎ目で物資を揃えて、対峙の準備にかかった。
『うわぁちゃんと読み通り来てるよ』
wartがそう言った。
俺らじゃまだ何も感じないが、彼女が言うならまあそうなんだろうな。
『敵は4人ですよね?』
『うーん、しかももう1パーティが逆方向から来てるね~』
挟まれているのか…ふむ。
だいぶピンチじゃないか?
仮にもトッププレイヤー、しかも世界大会でのトッププレイヤーは、地域ごとの1位などそれほどの強者しかいない。
いや、そんな彼ら2パーティ分を俺らだけで対応するのはあまりにもきつすぎる。
「本当に行けるのか?」
『ああ、というよりも行くしかない』
まあその返答が返ってくるだろうと俺も思って居たさ。
俺も分かっている、ここが勝負どころだと。
『やっちゃうか~私たちの魅せどころだよ』
『ですね、行きましょうか』
二人は準備万端、どうやら俺だけだったらしい。
「やるか!」
負けられない戦いが始まった。
前方に居る敵はまだ俺らに気が付いていない。
だから、まずはそちらから攻撃を仕掛けていきたい。
『行きますね』
endmの攻撃と共にほら貝が鳴る。
彼女のスナイパーライフルには警戒していたのか、撃たれた瞬間身を隠した。
それでも1キルは1キル、3vs4に変わる。
ここからは特に変わらず倒す…はずであった。
『あ、後ろから来てる~!』
おそらく銃声を嗅ぎ付けてやってきたのだろう。
4vs3だったのが、4vs7になった。
あれ、この展開どこかで…………
そう第6試合に似ていたのだった。
この人数差、前回はlucusとwartを犠牲に振り切った。
でも、今回その作戦は通用しないと思う。
まだあと1パーティがどこかで控えているからだ。
『どうする?思ったより早い段階で来ちゃったみたいだけど』
『うーんそうだな…………』
lucusは歯切れを悪くする。
まあここは悩むよな、後から来るパーティ数も考えたら4vs12、1人削ったとしても4vs11とあまり変わりない。
敵同士の激突はあり得る、そう思う人もいるだろうが、彼らの目的は俺らを討伐すること。
4vs4で勝てないなら、人数有利で押し込むしかない。
なら敵同士の激突よりも、白い流星の処理の方が優先度が上がってしまうのだ。
『まずいよ、来るよ!』
wartは焦っていた。
もう敵はすぐそこに、さあどうする。
『なあblanc』
「ん?」
一瞬時が止まったように見えた。
lucusに声を掛けられた時、久々に昔の思い出が脳内を駆け巡った。
なぜだろう、どうしてだろう、そんなことを思う暇はなかった。
彼の言葉に反射的に応えると
『3人任せられるか』
彼から発せられたのはこの文のみ。
信頼度、重みを背負った重圧感を感じる。
今もなお止まる時空、ただもう俺の答えは決まっていた。
「ああ、任せろ」
もしもの時は俺がサポートする。
何かあった時は俺が全力を出してやる。
その代わり、お前は常に善策を考えてくれ。
それだけでいい、それが大事だ。
lucusに出した条件だ。
そしてそのもしもの時がやってきたというわけだ。
彼の脳内じゃ、良い作戦を思いつくのが難しかった。
俺が
ここで3人を処理できれば、話は変わってくれるのだろうか。
どちらにせよ、意思は一つだけ。
「こんなとこで負けねえよ」
この勝負に勝つことだった。
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【後書き】
だらだら書くと4000文字になるので一回切りました!
カクヨムコン頑張ってるのでぜひ応援よろしく!!
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