第258話 彼の手の中に

「っと、まずはどこに降りるんだ?」


世界大会決勝day2 

スクワッド部門の第7試合目だ。

今俺らは1位に居る。

1日目、一瞬は地獄を浴びたが、それでも世界を魅了し、トップに躍り出たのだ。



この2日目、どれだけ優位にことを運べるかというのが問題になってくる。


『そうだな言ってなかった。

 色々考えたんだけど、結局前と同じ場所が良いと思うんだ』


とピンを指したのはいつもの固定降り。

今大会はほぼここに降りる。

まあ慣れている場所だしな。

異論は出ない。


『了解~!lucus、その後のムーブはどうする?』


wartがすかさず聞く。

俺もちょうど聞きたかったことだ。


『いや、それは後々伝える。というのも色々な案があってな。

この先どうなるかで変わってくるんだ。』


ということらしい。

まあ場合によって策略を変えるというのも大事な一手だな。

俺らは別にそこを詰めたりはしない。


『分かりました。と言っても敵は居なさそうですね』


周りに敵の姿は見当たらない。

俺らの固定降りはフリー地帯となった。


「資源集めれるのはだいぶ楽だが…キルログがちょっと早いな」


1日目と比べると、明らかに戦闘量が多い。

キルログも少し流れるのが早いように見える。


『やっぱりそう来たか。』


lucusはそう言った。


『どうしたの?』


『いや、今この状況における策がいくつかあったんだ。

敵が来ているパターン。

敵が居ないけど近くに居るパターン

周りに居ないパターンでの色々な作戦も考えてきたぜ。』


めちゃくちゃに仕上げてるなぁ。

尊敬する。


「で、どうするんだ?」


全員さっと武器も集め終わったようだ。

戦闘も別に挑んだって良い。


『とりあえず終盤までは生きていたい。キル0でもいい』


『キル0でいいの!?』


wartはそう声を上げた。

俺も口には出さなかったが同じ気持ちだ。

世界大会で、キルを取らないというのはだいぶきついんじゃないか?


終盤で取ることを考慮してでも、それまでにキルがあった方が圧倒的楽だが。


『まあ見てなって。とりあえずこっち行くぞ』


lucus主導で俺らはどんどん先に進んだ。

いつ接敵してもおかしくない!そう思っていたが、一切敵の姿は見えなかった。

wartも反応なし。

まるで敵が居ない道をただ真っ直ぐ進んでいるかの様。

彼はどこまでこの試合を把握しているんだ?


『よし、とりあえずここで待機だな。残り人数見てみろ。』


『残り人数…………あっ!』


俺も思わずハッとなった。

敵数があり得ないほどに減っていた。

激戦と化していたのだ。


『最初に言えばよかったな。俺らはほぼ確定で街がフリーになった。そして敵も近づいてこない。』


そうだな。

今現状1位のやつと、降りる場所を被せてまで戦闘するなんでリスクが高すぎる。

しいて言うなら2位3位のやつらだが、彼らはまた別で降りる場所を固定化しているらしい。

こっちに降りてくる見込みはないんだとか。


『だから裏返せば、俺らは全く敵に出会えないんだ』


『そっか、敵が周りから消えてしまうと。戦う相手すらも居なくなるね』


「ああ……なるほど」


俺は彼の言いたいことがなんとなく伝わった。

今第7試合、2日目の最初の試合でもある。

そんな初動で攻撃的な姿勢を取る必要は俺らにあまりなかった。

だって1位だからな。


なら別にここは様子見にしたっていい。

終盤で攻めれば結果ポイントは入るだろうし、何よりも序盤で戦う相手を無理やり探すのは危険性が高かった。


彼の読みは見事に的中した。

敵の減りも早い。

残り人数も比較すると少なく、順位も悪くない。


『言われてみれば、この状況。私たちにとっては有利なんですね』


endmもまた違った何かに気が付いたよう。


『1位であるからこそ余裕が生まれる。だがそれを怠惰にはせず試合に生かす。

俺が昨日考えたことだ。』


戦術の貴公子、考えることも悪くない。


『ま、この程度は正直誰にでも思いつく。こっからだよ問題は』


彼は何かありげな感じ。

まだ何か企んでそうだな。


「聞こうじゃないか」


俺は面白げにそう答える。

wartもendmもそれに乗った。










彼の提案を聞いて1つ言いたいことがあるとするのであれば、

lucusが白い流星に居てくれて良かった。

考えていることが俺らとは幾重にも違う。


いや、言っていることは分かる。

俺らに伝えたいことも分かる。

だが、空間が違うと言えばわかりやすいのか。


彼の見ている世界は俺らと違うのだ。



全てを聞き終えた後、俺は言った。


「お前、流石にそれは想像がすぎないか?」


『うーん私もこれはlucusの想像の範疇に過ぎないと思うんだけど』


wartと俺は最初訳が分からなかった。

案が奇抜すぎた。

世界大会という状況を省いてもあまり感想は変わらない。


これを本当にするのか?そういう意味の困惑が混じった。


ただ一人だけ反応は違う。



『面白いそうですね…これは通用しますよ』


endmは興味深そうに食いついていた。


「endm、正気か?こんな理想の状況を作り出すのは無理だ。」


俺も流石に言ってしまう。

今回ばかりは違う。

第4,5,6試合で反省したんじゃないのか。

自分達でよく物事を考えて、先を見据えて行動する。

それが例え成功したとしても、それが本当に良い判断だったのか、その本質を知るのが一番重要。


それを知ったはずだ。



だからここで後悔する選択はしたくない。

そんな想いで俺は口を開けた。


でもendmは間髪入れずにこう答えた。


『じゃあblancはlucusを信じないんですか?』


彼女は特に変わったこともなくサラッと言った。


残りパーティ数はこれでも10。

終盤にしては人の減りが早いが、それでも40人近くのプレイヤーが集まっている。


死ぬリスクも高そうだなぁ、



そもそもlucusの意見に外れ値はない。

おおよそが的を得ている。

それは俺の経験則で分かったことだ。


じゃあ今回のこれをどうするか?


『もう一回聞きます、blanc、あなたはlucusを信じないのですか?』


そんな聞き方はずるい……。

答えなんて一つに決まってる。


「やるしかねえだろ」


『だね、私もやるしかない!』


『決まりだな』


全会一致で可決された。


さて、どこまで効くのだ?

我らのリーダーの猛攻撃だ。



------------------------------------------------------------------------------------------------【後書き】

1話で書き切るにはちょっとしんどかった!

内容薄いし中途半端かもだけど、次に繋げたかったから許して!!


lucus、彼の全力はどんなものなんでしょうか

実はあまり彼の描写ってなかったり………

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