第254話 覚醒化

2vs4で迎えた最終局面。


wartとlucusが途中で倒されてしまい、ずっと2人で移動してきた。

キル数は14、順位も2位以上確定


もはや2人で取ったものにしては十分すぎる結果であった。



だが、ここで満足しないのが俺らだった。


『敵はたぶんあそこですよね』


彼女がピンを指したのは、今安全地帯内で一番高い場所。

と言ってもめちゃくちゃ高いわけではない崖の上だった。


「まあそうだろうな」


俺がもし相手の立場なら間違いなくそこを取っている。

高いところを取るというのは基本中の基本だからな。


「ただ敵4人だからな……相手も俺らが2人ってこと分かってるだろうし」


となると、崖に4人居るというのに確信は持てない。

2-2で別々に動いている可能性だってある。


油断は出来ない。


『確かにそうですよね。崖に2人居ると仮定したら残りはどこでしょう』


俺は辺りを見回す。


だが、それっぽい場所が見つからない。

建物自体はあるのだが、もう安全地帯から外れるし隠れている意味もない。

そこまでして人数有利を崩すのは、無駄に等しいと思うからだ。


「ん~微妙だな。どうする?上撃つか?」


場所がばれるなんて時間の問題。

バレる前に先制はこのチームにおいて必要だ。


『撃つしかなさそうですね。』


彼女はスナイパーライフルを構える。

銃口は崖の先。

まだ敵は見えない。


「いや、待て……」


そういや崖に敵が居ると安易に信じ込むのも良くないか?

居る可能性は高い。


でもそれは可能性の話。


人数有利という局面で上を取るのは合理的な判断だが、もしその判断が出来ないのなら?


いや語弊があるな。


その判断をするのが移動上無理だったとしたら?

崖に行くことが難しい、そうなる可能性もあるぞ。


現に敵は未だ現れない。


『おかしいですね……』


「もしかして………」


俺はこの瞬間全てを感じた。

エスパー?いや違う。長年の勘というやつだ。


でも確信しかなかった。



「endm!そっちに敵は居ない!!!!」


「居るのはあの建物だ!!!」


俺は大声でそう言った。


『え!?』


endmは驚く声を出しつつも、銃口の向く先を変えようとした。




でも相手の方が一歩早い。


敵が建物から姿を現した。

そこには4人。

やはり1パーティとして、あそこに居たんだ。


『え、本当に居る………』


endmは呟きつつも、スナイパー弾を放った。

が、敵も警戒心がマックス。

障害物を駆使して動いていたのでダメージも通らない。


「ん?あいつらが向かっているのって………」


彼らの進路方向。

俺らに向かっては進んでいなかった。

どちらかと言えば遠回り?


「あ!崖に行ってるのか!しまった!」


そうだ崖には誰もいない、いわばフリー地帯。

先に取ればよかったんだ。


って反省は後回し。今は対処方法を。


『上を取るんですか………私が攻めます。一世一代の大勝負ってやつです』


彼女が手に持っていたのはスナイパーライフル………ではなく移動アイテム グラップラーだった。


『2人で動いていると使うタイミングがなかったんですけど、一応残してたんですよね………』


「ナイスすぎる…………」


ここに来てファインプレー、そう言いたいところだがあまり戦況は変わらない。

彼女が単身で乗り込むのはあまりに危なくないか?


いやでも、崖を取られると更に危ない展開にはなるだろうが。


「俺は普通に移動するしかない。崖で何秒耐えれる」


『最低で20秒くらいかな』


20秒か。

だいぶ持つな。

だが俺が崖に動くことを考えると案外ギリギリかもしれない。


でも、もともとピンチ。

ならいくら動こうとピンチにはピンチしか掛けられない。


「行ってこい!」


俺はendmを送り出すと同時に走り出した。


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<endm視点>


グラップラーに切り替えると、私は崖の先端を撃つ。

見慣れた動きでスムーズに動くとここからが本番だったりする。


敵は4人。

blancが崖にやってくるまで耐えれるかって言われるとちょっと怪しかったりする。

1vs4、下手すら5秒で散ってもおかしくない。


ここが技量の見せどころ。


スナイパーライフルに切り替えて、見えてきた敵を撃つ。


うーん……当たらない。


やっぱり障害物に阻まれてしまう。



けどここで諦めるのは早い。

ショットガンに切り替える。


相手が油断して近づいてきたところを撃つのだ。


『これなら行ける!…………いや無理かも』


敵4人が攻めてきた。

流石にこれの処理は難しいよ…。


と思ったこのタイミングで、


「グレネード投げた!たぶん当たってくれる!」


blancのグレネードが届いた。

目の前で爆発し、敵は一斉に身を引いた。


「よし!全員に当たってるはず!!!」


これはでかい。

全員ショットガンでワンパン圏内。


こんなの攻めるしかないよ。


『行きます』


私は身を隠していたものから姿を出した。

敵はたぶんばらばらに固まっているはず。


まずは近いところから。


岩陰に隠れている敵は回復中だったよう。

私と目が合った時には武器を構えようとしていた。

でもその動作の時点で私の方が早い。


『1キル!』


そのまま近くの障害物へ。


よし!2キル!!そう思ってショットガンで倒した直線状。


私はスナイパーの銃口と目が合った。

まさかの罠だった。

まずい、これじゃ時間も足りない。

身を引くまでに頭を抜かれてしまう。


『後は任せ…………』


そう言い切る前に、声を出したのはblancだった。


「しゃがめ!!!」


咄嗟の声、考える暇もなく条件反射でしゃがんだ。


そしてその頭上を飛んだのは一つのスナイパー弾。

危ない!なんとか避けれた……そう思ったけど、そうじゃなかった。


「よし!1キル!!残り1人!!」


まさかのblancのスナイパー弾だった。

私が避けると信じて、撃ったんだ。

ミリ秒単位のあの駆け引き、勝ったのは私達。


残った敵は崖下に下がっていた。


『私降ります!』


後を追いかけて崖を下る。


こんなとこで逃がすわけが無いでしょ。


もう建物も安全地帯から外れる。

そこに逃げ場はないはず。

そう思ったが敵は建物に入った。

あれなんでだろ…………。


色々と理由は考えたけれど、そんなことしている暇じゃない。


目の前の敵と向き合わないと。


『ここか!』


建物に入ると、すぐに敵と出会った。

相手は私が来るのを呼んでいたかのように銃を構えている。


ここで倒されるのは嫌だな。

絶対撃ち勝ちたい。


そう思うと、私の中の何かが覚醒した。





ショットガンを構える間に、敵から弾が飛んでくる。

いつもなら食らいつつ受ける。

でも今は何かが違う。


(あれ、弾ってこんな遅いっけ)


弾道がはっきりと見えたのだ。

私はそれを信じてキー入力、弾を横目に見つつもショットガンを撃った。





世界最強の無双劇を見せたこのペアは、ここで1位を勝ち取った。


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【後書き】

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