第191話 何かがおかしい
「やっぱおかしくね?」
何かがおかしい、そう気が付いたのは配信が始まって1時間後くらい経ってからだ。
今日は日曜日。
朝から【AFG】でタイマンを張って楽しもうという企画をしていた。
昨日の前夜、女子3人組が入った荒れ果てた配信とはうって変わってコメ欄も割といつも通り。
ただちょうど配信開始から30分を過ぎてからか、マッチする敵の強さが明らかに変わった。
もちろん勝ちは譲らないものの、油断したら負けるんじゃないか?というレベルだった。
「なんか敵強くね?」
ーそれな
ー強い
ー明らかに変わった
ー何かがおかしい
ーなんでだろね
「負けないわけじゃないけどさ、レベルが変わったんよね」
回避盾とはいえ、そろそろ限界も近づいてきている。
同接もいつもとちょっと少ないような…
誰かと配信被ってたっけか?
「まあ気のせいか、次やろ」
まあ考えすぎも良くないか。
とりあえず次のマッチングだ。
一方そのころ、
『さてと、こんぷり~!春陽とひなも居るよ~』
『やあやあ!』
『ふおおおおおおおお』
ーこんぷり!
ーゲリラ!?
ー珍しい
ー1人テンションおかしい
ーオールしたのか?
ー朝早いね
ーちゃんと起きたの
ー早くて偉い
ー今配信していいの?
ーネスイと枠被ってるよ
『あ~大丈夫、というのもね。わたくしプリーム、ドッキリを考えましたの』
『題して、ネスイを負けさせよう!!!』
ーおおお
ーいいね
ーほう
ーなるほど?
ー理解したわ
『私達、皆ネスイに何かしらされてるしやり返そうって思ったの!』
『ホラゲーとかもうごめんだ』
『わ、私何もされてない気が…まあいいや』
ー春陽純粋
ー春陽なんで居るの?
ーホラゲー期待してる
ー草
ーいいなこの企画
『もうさっそく行きます、AFG強いって自信ある人はネスイのゴースティング行け!!』
プリームが大声を掛け、コメ欄は大盛り上がり。
そんなことネスイが気が付くのはもう少し後だった。
『いけえええええ』
『うわ惜しい…ネスイ強くね?』
『こんなんランカーとかしか勝てないよ』
ーあああああ
ーわんちゃんあった
ー惜しすぎ
ー上手いな
ーネスイばけもん
ー俺らだいぶせこい()
ーネスイ0敗なのだいぶやばい
ーがち草
ーラスカ/お呼びしましたか?
『え、ラスカさん!?』
『春陽の知ってる人?』
『AFGめっちゃうまい人!!!!!!』
『え、まじ!?!?』
ーうおおおおおお
ーきたあああ
ーラスカまじ!?
ーあついあつい
ーいけええ
『ラスカさん、ネスイを倒してください!お願いします!!』
ーラスカ/了解
『いけえええ』
ネスイの知らないところで熱い展開が用意されていたのだった。
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そして戻り、舞台はネスイへ
「え、ラスカさん!?」
いやいやおかしい。
俺でも知ってる。
ラスカさんはタイマンなどオフで挑まない。
彼は割と練習熱心だが配信内以外でタイマンはしていない。
つまりこれはおかしい。
「これ裏で誰かやってんな?」
ーあ、まずい
ーあ
ー気づかれた
ーいや知らないっすね
ーなんのことだか
通りで同接が半減してると思った。
どうせあいつら、後で殴りに行ったろ。
「これ勝ったら配信一回閉じて説教配信開くわ」
ーやってくれるのでかい
ーきちゃあ
ー対戦カード完璧
ーうおおおお
ー説教草
「行くか」
ゲームスタートと同時に俺は右側へ走り出す。
今回は1ゲーム先取。
つまり1回でも相手を倒せばその瞬間勝ちだ。
だからこそこの戦いで油断は禁物。
1戦に全てを託さないといけない。
ラスカさんは騎士、それに対して俺は回避盾。
プラスで俺は魔法はだいたい避けれる。だが騎士は割と剣攻撃に長けているためあまり意味がない。
これ不利かもな。
「水刃!」
腰から抜いた小刀を振り水の刃を出現させる。
ラスカさんは騎士特有の盾を使ってなんなく防いだ。
「うわこれきつくね」
何をどう攻撃すればラスカさんのライフを削れるのか分かんない。
ちくちく攻撃したところで剣一発がでかすぎる。
「となると、回避盾を生かすしかないか?」
すばやさを生かした攻撃……ちょっと面白そうだ。
「よし行こ」
とりあえず俺はラスカさんの正面を走り抜ける。
相手も当然剣を構えた。
〈閃撃〉
剣は雷を纏い高速で振り下ろされた。
俺はギリギリでそれを回避し後ろに回る。
「壊乱剣!!」
小刀の刀身を膨張させ、また振る速さを3段階に上げる技。
後ろから突けば行ける!そう思ったのだが、
「うわ間に合うのか」
あと少しというところで盾で防がれた。
俺は一旦下がり態勢を立て直す。
ーキレイに防いでててやばい
ーうっま
ーあれって反応間に合うんだ
ー閃撃よく避けたな
ー一発痛いから避けれてよかった
ーこれどうすんの
ー割と真面目に地獄
「うーむ」
正面突破は不可能、となるとやはり盾が邪魔になってくる。
「盾が結構辛いんよな」
あれさえなければな…と思うがそうはいかない。
おとり作戦とかありだと思ったが、さっきの反応的に防がれる。
流石は神威制覇者、やはりレベルが違う。
盾の裏側に入り込めたら勝てるか。
これしかないな。
「俊足!」
スピードを最大限まで追い込む。
決めるならここしかない。
素早さを上げ敵陣に突っ込む。
正面?いや違う。
「上からだ!」
慣性を生かしたこの技は宙を舞う。
流石に騎士も上からだと反応が遅れる。
「レインビュレット!」
ラスカさんと俺の小刀が当たったその瞬間、剣先から水が溢れだし盾と剣を飲み込む。
水圧が盾を押し込み、俺の剣先には届かない。
これで防ぐのは不可能だ。
騎士とは言え盾が無いとどうしようもない。
レインビュレットは相手に防がれるまで効果は永続。
結果俺の勝ちだ。
正直次ラスカさんと挑むとなると対策されるのでもう勝てないかもだから、この1勝は凄く貴重。
一旦喜んでおくか。
ーつええ
ー作戦勝ち
ー流石にこれはうまい
ー応用力〇
ー慣性働くんだこれww
ー上からは思いつかん
ーレインビュレットTier最下位だったのに
ー盾飲み込むは誰も思い浮かばん。
さて説教の時間かな?
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【後書き】
投稿ペースが一瞬早い((
偉いね
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