第137話 latent kingdomⅡ
どれだけ頑張っても、彼女から放たれる必殺技で全てが無に帰す。
攻略法すら掴めることの出来ていない今、latent kingdomの制圧など夢のまた夢だろう。
『どうしましょう』
およそ10回くらいやって、ようやく脅威が分かった。
まずHPが全然減らない。
そのうえで、攻撃力が高い。
攻撃パターンも異常で避けづらい。
そして必殺の対処法がないままにやられてしまう。
「とりあえず必殺の攻略からですね~」
ーやばすぎる
ーちなみにその必殺誰も攻略出来てない
ーそもそもlatentの挑戦権が10人居ないくらいなのやばい
ー他の方も皆そこでやられてる
「皆ここで詰まってるのか…でもこれどうすればいいんだろ」
『流石に攻撃パターンが異例すぎて…どうしましょうか』
とりあえず何度も経験するしかないとなり、何度も挑む。
どれだけ動きを変えたところで、攻撃範囲から外れるところが見当たらない。
ここまで考えると攻撃範囲は全体と考えた方が早いかもしれない。
『絶対対処法はあるんですけどね…』
AFGは割と公平性を気にしている。
ここで言う公平性とは、役職によるクリア不可能などは絶対にない。
一応回避盾という職には[回避]という技がある。
けれど聖魔にはないということから、おそらく対処法ではない。
もしくは、聖魔も何か技を避けるものがあったり…?
「聖魔って技を無効化したり避けれる技ありますか?」
『うーん。いつもなら飛んでると回避できるんだけど、今回の攻撃は上からだからなぁ』
今回の必殺。
神威戦のように剣が上から降ってくる。
だが神威のような技より数倍早く降ってくるため回避方法がない。
だから技で避けるしか方法がなかったんだが…
「どうすればいいんだ?」
正直聖魔の事なんか詳しくない。
だが、詳しい彼女が言うからには無いんだろう。
『ちょっと一つ思いついたからやってみていいか?』
と急に彼女がそんなことを言いだした。
「おっけー。俺も一つ試したいことがある。」
そもそも回避がこの必殺において通用するのか?
通用しないならそれこそ必殺自体を止める方法を考えないといけない。
『ちょっとやってみるぜ』
敵が必殺モーションに入った。
一方で彼女はその場で何も動かない。
まるで剣が降ってくるのを待っているようだ。
《絶望を知るがいい》
さて、始まった。
空中で溜まりに溜まっていた剣が一気に降ってくる。
俺はタイミング良く、回避を使ってみた。
「お?」
すると思った以上に効果があった。
そして、横を見ると、ちょうど彼女も必殺を発動した。
『洗礼の加護!』
彼女が握っていた魔法の杖を上に掲げた。
そして、彼女の周りにはドーム型の円ができ、
剣はそこにぶつかると綺麗に消えていった。
『これだあああ』
ーきたああああ
ーえぐい
ーうおおおおお
ーこっから全世界初見です
ーこの先どうなるんだろ
俺が回避に成功した横で、彼女もまた対処法を見つけていた。
「どうやったんですか?」
思わずそう聞いた。
『剣はオーラから出てるのかな?って。この技はオーラみたいな物理的じゃないものを通さないバリアが貼れる。』
「天才だわ。でもそんな激強技があるんですね」
流石に技を通さないとかなると、バランスが崩壊している気もするのだが…
『EPほぼ持ってかれるけどね』
魔法発動に必要なEP、それが無いと動けない聖魔にとっては結構痛いのかもしれない。
「なるほど」
だが、相手の猛攻はまだまだ続いた。
《ほう。耐えるとはなかなかにやるものだ。だがこんなもので私が終わると思うなよ》
《世界の真よ、我に従え》
今まで帯びていたオーラがより一層強まった。
《始めよう。宴はここからだ》
彼女は地上戦を持ちかけてきた。
それも接近戦。
聖魔じゃ相性が悪そうとみなが下がり、俺がそれに対応して前に出る。
《ははは。よく対抗するもんだよ。そうやって神威も殺したのかな》
「やっば」
今にでも押し切られそうなほどの威圧をかけられ、そして一撃でも当たれば確実に死にそうな威力に俺は片手剣1つで耐えていた。
『やばいです。全然HPが減りません』
『ダメージは通っているのに…』
latent kingdom。やはり神威の後継戦と言える化け物だった。
ただでさえ耐えるのが精いっぱいのなか、ダメージを与えないといけない。
しかもダメージ量は結構多め。これはクリア者すら長いことでない気がする。
《ふっ、お主。なかなかやるようだな》
一方で彼女は俺と剣を交わすとすぐに離れる。
そして急に素早さを上げて突撃してくる。
俺は必死に剣で防いでいるか、今にでも対応しきれない気がする。
「やばい。強すぎる」
ちょっとの油断が命取りともいえるこの状況。
結構まずかった。
《さて、前戯はここまでだ》
急に攻めなくなったと思ったらそう言った。
《我が名はレセルス。この宮殿を支配するものだ》
《神威を倒した理由がなんであれ、我は今この戦いに勝たねばならぬ》
なんだろう。俺の脳内に危険信号が走った。
それはみなも同じのようで、俺と同じように前線で攻撃していたはずがもう後退していた。
《この剣に誓ったのだ》
《我こそがこの世界の支配者であると》
彼女が手を挙げた。
ふと瞬きをした瞬間、いつの間にか大量の剣が浮いていた。
まるで神威戦のようだ…。
『来る!!!』
みなの危険信号とともに俺も反応した。
矛先が俺らに向き、そして急速に向かってくる。
「まずい」
今は回避のクールタイム中だ。
それはみなにとっても同じ。
つまりどちらも避けることができないのだ。
俺は頑張って走って避けてみた。
だが、驚きは続いた。
「まじかよ、自機狙いかよ」
みなが後ろで死んだのは確認しつつ、ひたすら走る。
ちょっとでも減速したら即終わりだ。
《お前は罪を重ねた。ここで償ってもらおう》
俺がチラ見で彼女を見た。
剣は幾千にも増え、そして彼女もまた俺の方へ矛先を向けていた。
《始めよう。断罪を》
俺は何もできず絶望し、あっさりとやられてしまった。
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